
夏の鴨川散歩
30度を超える京都がはじまった。
橋の下には濃い影が落ち、石畳は陽を吸って熱を帯びる。
祇園祭の音色が、街の奥からゆっくりと滲んでくる。
鳶が高く輪を描き、鳩は草むらを歩き、
軽鴨は速い流れを押し分けて泳ぐ。
先日の大雨の名残を抱えた川は、まだ力を抜かない。
それでも鴨川デルタでは、外国人観光客が水際で笑い合い、
清掃ボランティアの人たちは淡々と川を整えている。
ここでは誰しも、ただ「居場所」を求めているように見えた。
ふとした瞬間、河川敷でサンドイッチを分け合うカップルの手元を
鳶が鋭くさらっていく。
彼氏が思わず「うわっ!」と声を上げ、鳶を睨みつける。
驚きが走り、彼女の笑いがこぼれ、風だけが静かに通り過ぎる。
今日も、優しい風が吹く。