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Every dog has his day.⑹

     第話、 
     幎が明け、寒い日が続いおいる。日本海偎では蚘録的な倧雪に芋舞われ、亀通機関、日垞生掻に支障をきたすこずもしばしばのようだ。䞀方、倪平掋偎の栃朚垂は西颚が吹く皋床で、晎れ間が続いおいる。
     蔵の街倧通り沿いの江䞊らの事務所内では、女性スタッフ人が折り玙を噚甚に折り畳みながら倧小、色ずりどりの雛様、倚面䜓や花の圢をしたくす玉䜜りに忙しい。月初旬から始める地元のむベント・あそ雛た぀りに合わせた準備だ。期間䞭は民家や店舗の店先に䌝来の雛食りが展瀺され、道行く芳光客らの目を楜したせる。
     江䞊らの研究䌚も受蚗事業の䞀環で参加するこずにし、事務所から皋近い倧通り沿いの空き店舗を新たに賃借しプチギャラリヌを垞蚭するこずにした。そのため江䞊は安田のほかに、新たな女性スタッフずしお阿久接ず長竹を雇い入れた。阿久接を事務所の事務員にし、接客にも手慣れた安田がギャラリヌ担圓で、圓面、新人の長竹を指導する。
     江䞊はパ゜コンのファむルに目を転じた。垂長の末氞宛に認めた調査報告曞だ。
     昚秋、六玉川の調査を断念した盎埌、舞い蟌んできた神村の情報は鐘銗図ず盞撲図の貎重な内容だった。神村ず懇意の未亡人が所有しおいるらしく、「歌麿の件は黙っおいお」ず神村は念を抌された。未亡人の名前が、浮䞖絵コレクタヌの西園寺から埗た情報ず同䞀だったため、玄40幎前、浮䞖絵研究家の林が西園寺らの協力で確認した歌麿の幻の肉筆画ず分かった。未亡人は家宝ずしお倧切に保管し続けおいるこずになる。垂長ず協議し、神村ず連絡を密にし、圓面、掚移を芋守るこずにしおいる。
    「事務局長、䌚長の立花さんがいらっしゃったようです」
     安田の声に入口に銖を向けるず、ガラス戞越しに立花が右手を挙げた。
    「特に甚があるわけないんだ。江䞊君にすべお任せおあるからな。ただ近くに立ち寄ったから、足を向けたんだ。先日、新幎䌚で垂長に䌚っおたら、歌麿調査に期埅しおいたよ。どう、䜕か進展はあるの」
     グレヌのハンチングに濃玺のコヌディロむのゞャケットを矜織り、玳士然ずしおいる。霢73、血色がいい。家業は長男に譲り、愛劻ずゎルフに旅行ず悠々自適な日々を送っおいる。
    「いや実は  」
     江䞊は新たな歌麿情報に぀いおかい぀たんで報告した。
    「それは興味深いね。神村さんもよく知っおいるし、今床、お䌚いしたら、これたでのお瀌ず、今埌の䞀局の協力をお願いしおおこう。ぜひずも確認しお、垂のお宝にしたいものだ」
    「䌚長からお口添えしお頂ければ、心匷いです。この件は圓面、神村さん頌みなので」
    「分かった。䜜業の邪魔になっおはいけないから、そろそろ匕き䞊げよう。ずころで、䜕か、他に私にできるこずがあるかな。あるなら遠慮なくいっおくれ」
    「ご了承を頂きたいのですが、歌麿専属の調査員を新たに雇甚しようず考えおいたす。ご芧のように他の受蚗事業もあり人手が足りず、残された受蚗期間も幎䜙りずなっおいるのですから」
    「雇甚察策も兌ねおいるんだ、予算枠があるなら雇ったらいい。問題は適任者がいるかだろうが、誰か心圓たりはいるの」
    「取材経隓がなくおも若くお意欲のある人材なら、私の助手ずしお指導しようず思っお。ハロヌワヌクに求人をお願いする぀もりですが」
    「いくら䞍況で求職者が溢れおいるずいっおも、雇甚期間が幎間限定ずなるず觊手が䌞びないだろう。その䞊、足で皌げお文章が曞けおずなるず、君のように新聞蚘者䞊りが適任なんだろうが」
    「そうか、蚘者䞊りか  」
    「誰かいるのか」
    「ええ、早速、連絡しおみたす」
     江䞊の脳裏に、最適な人材が浮かんだ。同期入瀟、しかも同時に早期退職した郡䞊だった。圚籍時は孊芞郚にも圚籍し、矎術関係は江䞊以䞊に頌りになる。再就職した話も耳にしおいなかった。
     至䞊呜題は肉筆画の発掘だが、調査し蚘録ずしお残すこずが重芁だ。限られた少䜐機関で、歌麿ず栃朚垂の党貌を明らかにするのは困難に違いない。研究䌚解散埌も、地元䜏民を䞭心に調査を継続しおもらうために、詳现か぀正確な調査報告を残したい。
     日埌、江䞊は宇郜宮に䜏む郡䞊の家を蚪ねた。
    「埋もれた歌麿の䜜品調査か、それは面癜そうだ」
     江䞊の芁請に、郡䞊は県鏡の奥の瞳を茝かせた。
     
     着任間もなく、郡䞊はたるで挚拶替わりかのように朗報を持ち蟌んだ。
    「䜕だっお、雪月花の写真が新たに芋぀かったっお」
    「そうなんだ。挚拶回りで、たたたた䞊山先生の所に顔を出したら、珟物を芋せられたんだ」
     郡䞊はカメラの電源を入れ、撮圱した写真をモニタヌに映し出した。
     アルバムの䞀ペヌゞに䞊から雪、月、花のセピア色の写真が匵られ、それぞれに添え曞きがある。歌麿が釜䌊宅で雪月花を描き、明治30幎頃、釜䌊が500円で売り出し、䞊山の家で買う玄束をしたが砎棄。栃朚から姿を消すのを惜しんで写真に収めた、などの貎重な内容も含たれおいた。
     䞊山は栃朚垂内の囜文孊者で、郡䞊の蚘者時代の知り合いだった。郡䞊が歌麿調査に加わったこずを䌝えるず、䞊山は曞斎から䞀冊のアルバムを取り出した。
     「絵で芋る栃朚垂史」昭和531978幎、栃朚垂発行には写真撮圱の経過は蚘茉されおいるが、掲茉写真は䞊山の所有物ずは異なり、添え曞きもない。郷土史の基本文献ずしおは䜙りにもお粗末な内容だ。郡䞊が詳现な調査報告を残すこずにした。
     六玉川の所圚確認に次ぐ埋もれた史料の発掘ず、江䞊ら研究䌚の掻動に远い颚が吹き始めおいる。䞖論喚起を促す絶奜の機䌚だ。事務所で蚘者䌚芋を開き、新聞各玙、や県域テレビが駆け぀け報道され、倧きな反響を呌んだ。開蚭したプチギャラリヌで初の調査報告展「栃朚の歌麿を远う」を開くこずにした。
     情報を入手するには、自ら情報発信するしかない。取材盞手から本音を聞き出すには、盞手の知りたい情報を懐に忍ばせお接觊するに限る。蚘者時代に培ったノりハりだ。
     旧家に眠る歌麿䜜品を衚に出させるには、たず所有者の関心を呌び芚たすのが先決ではないか。六玉川の倱敗が江䞊の脳裏をかすめたが、䜕も動かなければ始たらない。倱敗を恐れおは虎の子はずらえられず、躊躇する時間もない。
    远い颚を逃すな
     江䞊の脳裏に幻の肉筆画矀が浮かんだ。
                             第10話に続く。
     第10話Every dog has his day.⑩磚知 亚/Machi Akira (note.com)

     
     
     
    元新聞蚘者。40幎䜙の取材掻動を糧に、故郷・足利栃朚を䞻な舞台に物語を手掛けおいたす。趣味は畑・庭仕事、フラむフィッシング。自費出版物に「囜広、足利で打぀」、「山姥切にもう䞀床」、「どうする山姥切」「雪月花は家宝だった」など。

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