人の話 #115|人は、まだ言葉にならないものを違和感と呼ぶ
「なんとなく嫌だ」
「なんとなく、この人とは合わない」
「なんとなく、ここにいたくない」
人は、ときどき理由を説明できないまま
何かを感じることがある。
その感覚を、
私たちは「違和感」と呼んでいる。
でも、本当に感じているものは
「違和感」という一つの感覚なのだろうか。
声の調子。
表情。
距離感。
その場の空気。
身体の緊張。
ほんの小さな変化をいくつも感じ取って、
それをうまく言葉にできない。
だから最後に、
「なんとなくおかしい」とまとめてしまう。
もしそうだとしたら、
違和感とは感覚そのものではなく、
まだ言葉になっていない感覚なのかもしれない。
そして、その小さな違和感を
人より早く、強く感じ取る人がいる。
そういう人を、
私たちは「直感が鋭い」と呼ぶことがある。
何か特別なものを感じているのかもしれない。
あるいは、
他の人が見過ごしている小さな変化を
無意識のうちに拾っているだけなのかもしれない。
どちらなのかは、
簡単にはわからない。
ただ一つ言えるのは、
自分の中に生まれた
「なんとなく」を
すぐに気のせいにしないこと。
そこには、
まだ自分でも言葉にできていない何かが
あるのかもしれない。
自然体でいるということは、
自分の考えに従うことだけではない。
考えるより前に、
自分が何を感じているのか。
それを感じ取れることも、
自分を知るということなのかもしれない。
