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《創作BL 2week》鑑定不能の溺愛主義【14日目】

    その日の書斎には、久しぶりに仕事の空気が流れていた。

    巨大なモニターには世界中のオークション情報と美術館のデータベースが並び、その中心に紬と御堂が向かい合って座っていた。

    「……本気ですか」

    「もちろんだ」

    御堂は平然と頷いた。

    机の上には一枚の企画書。

    《Project: Undefined》

    「未定義?」

    「そうだ」

    御堂は静かに微笑む。

    「贋作か本物か。
    その二択でしか芸術を評価できない市場そのものを破壊する」

    さらりと恐ろしいことを言う。

    「いや、破壊って」

    「正確には更新だ。
    君の作品は既存の価値基準では測定できない。
    ならば新しい基準を作るしかない」

    紬は思わず頭を抱える。

    やっぱりこの男は狂っている。
    だが、不思議と嫌ではなかった。

    紬が企画書をめくる。

    「つまり、俺とアンタで新しい作品を作るってことですか」

    「ああ」

    即答だった。

    「贋作でもない。本物でもない。 君と私だからこそ成立する作品を」

    その言葉に紬は小さく笑った。

    初めて会った日なら絶対に信じなかっただろう。
    世界一の鑑定士と伝説の贋作師――最悪の組み合わせだったはずなのに、今は、この男となら何か作れる気がした。

    「まずはこの企画を成功させる」

    「はい」

    「その前に、もう一つ重要な契約がある」

    そう言って御堂が差し出したのは、ひと組の書類だった。
    受け取った瞬間、紬は眉をひそめる。

    「…なんですか、これ」

    嫌な予感しかしない。
    ぱらりとページをめくる。

    「……は?」

    固まった。


    『第一条 椎名 紬(以下、乙)は、御堂櫂(以下、甲)と毎回の食事を共にする』

    『第二条 乙は甲に無断で外泊することはできない』

    『第三条 乙は甲と懇親を深めるため週1回以上の外出同行および…』


    「第三条……身体的な触れ合い?」

    「必要だ」

    「必要じゃねぇだろ!てか、これのどこが契約書だ!」

    「法務部にも確認している」

    「どこの法務部だよ!」

    御堂は少しも悪びれない。
    むしろ当然のような顔をしている。

    紬は最後のページを開いた。
    そして完全に言葉を失った。


    双方は相互に独占的愛情関係を維持すること。


    「……恋人契約じゃねぇか!!」

    御堂は満足そうに頷く。

    「署名欄はそこだ」

    「するか!」

    「紬、私は君を手放す気がない…君ほど高い価値を持つ存在は他にない」

    御堂は静か紬の手を取った。
    その瞳は、初めて会った頃と同じくらい真っ直ぐで、紬はぐっと息を呑む。

    「……本当に、狂ってる」

    「最高の鑑定結果だ」

    御堂は当然のようにそう言った。

    世界最高の鑑定士。
    そして、世界でただ一人の“鑑定不能な芸術家”。

    贋作でもない。
    本物でもない。

    誰にも鑑定できないほど歪で、幸福な関係。

    その価値だけは――世界中の誰にも査定不能だった。

     
     
    ときどき声を届けてます🎧🎙️ love:🐱🍛🥟🎤🎶 アカウント作り直したりいろいろしたけど、結局放置… 2026年はnote稼働させるぞ📝 以前ヘッダー用に描き下したイラストをみんなのギャラリーで今も多くのかたに使っていただき嬉しいです。 ありがとうございます🎨

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