
知れば知るほど、言い切れなくなる。
感情と知識は、別のお話。
「すごく心配なんです。」
「本当に不安なんです。」
「どうしたらいいかわからないんです。」
と言う人がいた。
話を聞いていく。
聞いていく。
さらに聞いていく。
すると、
少しずつ見えてくるものがあって。
その事柄について、
調べていない。
本も読んでいない。
背景も知らない。
歴史も知らない。
反対の立場の考えも知らない。
でも、
感情だけは、
ものすごく大きい。
怒っている。
悲しんでいる。
心配している。
泣いている。
だから、
その人はその問題をよく知っているように見える。
でも、
感情と知識は、
別のお話です。
心理学では、
人は感情が強く動くと、
その感情を手がかりに物事を判断しやすくなることがわかっています。
怖い。
だから危険。
不安。
だから間違いない。
腹が立つ。
だから相手が悪い。
実際にそういうこともあります。
でも、
感情が強いことと、
よく知っていることは、
イコールではありません。
ここは、
分けて考えたほうが、
物事は見えやすくなります。
例えば、
スポーツ。
試合を見て、
「なんでそこでパスしないの!」
と叫ぶことはできます。
でも、
実際にその競技を長年やってきた人からすると、
その一瞬で見えている景色はまったく違います。
料理もそう。
食べることと、
作ることは違います。
「もっと塩を入れればいいじゃん。」
と思っても、
実際は、
そこへ塩を足したら全部崩れることもあります。
医療も、
法律も、
政治も、
経済も、
歴史も、
同じです。
知れば知るほど、
「簡単じゃないな。」
が増えていきます。
だから、
本当に学んでいる人ほど、
簡単には言い切りません。
「今のところは。」
「こういう見方もある。」
「別の考え方もある。」
そんな言葉が増えていきます。
反対に、
少し知っただけの頃ほど、
「絶対そうだ。」
と言い切ってしまうことがあります。
これも心理学では知られていることで、
知識や経験が少ないほど、
自分の理解を実際より高く見積もってしまうことがあります。
だから、
心が動いたときほど、
一度立ち止まってみる。
これは、
知っていてそう思っているのか。
それとも、
感じてそう思っているのか。
その問いを一つ持つだけで、
見える景色は変わります。
感情は、
人間にとって大切なものです。
嬉しい。
悲しい。
腹が立つ。
心配になる。
どれも自然な感情です。
でも、
感情は、
知識の代わりにはなりません。
心が動いたなら、
知る。
知ったら、
考える。
考えたら、
また知る。
その繰り返しで、
考えは少しずつ育っていきます。
大きな声だから、
伝わるわけではない。
涙があるから、
伝わるわけでもない。
最後に人の心を動かすのは、
感情だけではなく、
知ろうとした時間、
考え続けた時間、
その積み重ねが乗った言葉なのではないかと、
私は思います。
お付き合いありがとうございました。宇宙クリエイター菊雪堂hisusuでした。