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『ナナシス』サービス終了

    『ナナシス』サービス終了に際して

     2026年のゴールデンウィーク明け、DONUTSよりリリースのスマホゲーム『Tokyo 7th シスターズ』が同年8月をもってサービス終了する、というニュースが飛び込んできました。Xで観測する限り、大きなショックの声が多く聞かれた一方で、私含めそれなりの数の人が「ああ、やっぱりそうなったか」という感想を抱いたのではないかと思います。

     『Tokyo 7th シスターズ』、以下『ナナシス』は私の大事なソシャゲ遍歴の一つです。『黒猫のウィズ』『ナナシス』を経て、今の『ウマ娘』に落ち着いていますが、スマホを持ちソシャゲをそれなりに熱心にするようになった時期のほとんどは『ナナシス』とともにありました。記憶が正しければ、『ナナシス』『ウマ娘』を並行してやっていた時期もあったはずです。
     今やっているソシャゲは『ウマ娘』のみです。なぜ『ナナシス』をやらなくなったのか、それは社会人になって忙しくなり、ソシャゲを複数回す余裕がなくなったのも大きな一因ですが、それ以上に単調なゲームシステムに飽きてしまったことがあります。白猫やブルアカなど複雑なゲームはすぐ投げ出すし、単調すぎても飽きて長続きしないし。どっちやねんと言いたくなりますが、『ウマ娘』の育成ゲームというそれまで触ったことのないゲームシステムに夢中になるうち、『ナナシス』に対する熱が冷めていったのが実際のところです。

     私が『ナナシス』を引退したのは2022年ごろです。音ゲーのシステムが「ナナシスの唯一の欠点はリズムゲーム」と音ゲーとしては前代未聞の評価を下されていたそれまでから大きく変わり、バンドリと似たようなものに変わったのがVer.7.0.0で、これが2020年リリース。この新しくなった音ゲーシステムを知っているのと、確かストーリーについても「EPISODE6.0 FINAL」(2021年)の記憶がおぼろげながらあったり、新アイドル奈々星アイたちが実装された(2022年)ことを断片的に知っているので、たぶんやめたのだとしたらこのあたり。2019年に一番推していたユニット・Le☆S☆Caの3人のうち2人が声優交代するというびっくりニュースがあったにもかかわらず、ゲームを続けていた私が、ぱたりとやめてしまった。それはやはり、ゲームシステムの単調さに飽きてしまったからなのでしょう。決して、コンテンツ自体が嫌いになったわけではないということを書き添えておきます。

    そもそも、『ナナシス』は有名ソシャゲではなかった?

     『ナナシス』サービス終了が公式にアナウンスされて以降、『ナナシス』は俺の人生だった、といった強く影響を受けた旨の発言がXで散見されています。私もその一人で、ナナシスの一番盛り上がっていた時期が大学生時分に被っていたことは非常に大きいと思っています。
     一方で、『ナナシス』が社会現象になるほど大きなコンテンツだと言う人は少ないのではないでしょうか。比較対象がコロプラの『白猫』と対をなす『黒猫』だったり、それこそ社会現象化している『ウマ娘』なので分かりにくいですが、少なくとも大騒ぎという感じではなく、今回のサービス終了のニュースも静かな驚きを持って受け止められた、という表現の方が近いと感じています。ウマ娘がステイゴールドとその産駒たちによるGOLD WEEKキャンペーンで湧く裏で、ひっそりと一つ灯が消える。そんな印象でした。
     分かりやすい定量的な指標の一つに、アクティブユーザー数があります。ウマ娘は最盛期で200万人、数々のいざこざを経た今でも50万人はいると言われているそうです。対してナナシスがどうかというと、なんと3000~5000人。ウマ娘の100分の1以下です。毎週行われている累積ポイントを競う系のイベントで、5000位のボーダーがおそらくほぼプレイしていないアカウントのポイント数になっているので、アクティブユーザー数はやはり多くて5000人、というのが事実なのでしょう。各ユニットでライブなどのリアルイベントを多く実施しているとはいえ、大元のゲームに常にログインしてくれる人が5000人くらいしかいないというのはあまりにも辛い。逆によくここまで持ちこたえてきたな、と言うべきなのかもしれません。

    ゲーム運営方針変更(の、危惧)

     そんな「知る人ぞ知る」状態に近かったナナシスですが、年表を見る中でそういえばそんなことあったな、と思い出す出来事がありました。2021年2月、ゲームリリース当初からプロジェクトを率いてきた茂木総監督が卒業し、同時に運営会社であるDONUTSを退社した、というもの。プロジェクトの総監督が交代するということは、ゲームの運営方針が大きく変わる可能性があるということ。私は『黒猫のウィズ』で、似たようなことを経験していました。これはもう運営陣が総入れ替えしたに違いない、というくらいゲームのUIが変わってしまい、一気に不便になったのでした。折しも、『黒猫のウィズ』はメインストーリーが完結し、あとは定期的に開催されるイベントストーリーが積み重なっていくだけの状態になっており、いわばゲームとして一区切りついていました。UIの変更とストーリーの区切り、この二つが原因となって、私は『黒猫のウィズ』からフェードアウトするように引退しています。ナナシスはリズムゲームの改修を除き、UIの大変更こそ私が引退するまでの間には起こりませんでしたが、メインストーリーに一区切りついたことは同じでした。そして一区切りついたストーリーが次に動きだしたのは、「新アイドル追加実装」がきっかけでした。

    新アイドル追加という転機

     ナナシスのメインストーリーは、伝説の大アイドル・セブンスシスターズの物語をある程度前提に、春日部ハルたち「現在のアイドル」といえる777☆SISTERS(スリーセブンスシスターズ)の話で幕を開けます。セブンスシスターズの6人と全く同じ声を持つTokyo-7th以外の街出身の女の子たちで構成される「AXiS」との対立が描かれるEpisode-4.0を経て、コドモ連合が大学生に成長した「未来」を描くEpisode-5.0へ続きます。この間、AXiSの6人は新規登場しましたが、それを除くとキャラクターの人数はリリース時からほぼ変わっていません。777☆SISTERSの12人、Le☆S☆Caの3人、Ci+LUSの2人、4Uの3人、KARAKURIの双子姉妹……など。
     これはアイドルマスターシリーズにも通じる特徴で、キャラクターを後から新規に増やせないし、仮に増やしたとしてもそれでコンテンツ自体の人気が維持されたり復活したりということがないからなのだと思います。キャラクターを増やしたり、コンセプトの違ったアイドルを同じシリーズから出したいのであれば、初代アイドルマスターからシャニマス、あるいは学マスのように、箱そのものを変えなければならないのだろうと、詳しくないなりに考えています。なぜなら、新規キャラをお出しして人気が出ず爆死すれば何をやっているか分かりませんし、仮に人気が出たとすると今度は既存キャラが蔑ろにされてしまう、というように、どこかの層のファンが必ず不幸になる仕組みだからです。
     そう考えると、777☆SISTERSが新たに「あの時の伝説」になり、それに憧れてアイドルになろうとする女の子を未来の時間軸で、かつ『ナナシス』という同じ箱の中で描くというのは大きな挑戦であったと思います。こと『ナナシス』の場合は777☆SISTERSの12人がメインを張っているのは間違いありませんが、その他のナナスタメンバーも全員どこかしらのユニット・グループでデビューしており、取り残された子がいないうえ、どのグループにも熱心な固定ファンがいます。七花少女がデビューした時は「ついに全員デビューした……!」と思ったものですし、『ナナシス』全体としてだけでなく、Le☆S☆CaやThe QUEEN of PURPLEが単独でライブやファンミーティングを開催していることからも、それぞれのユニットが輝ける場所を用意してもらい、大切にされているというのが伝わってきます。

     そんな新たな挑戦を前に、ついていけなくなってしまった支配人もそこそこいるのではと推察しています。私もその一人です。全員グループでデビューさせて、さあ頑張ろうという矢先に未来の新しい子を出してくるのか、と。
     『ナナシス』は単なるアイドル育成ゲームというより、アイドルとはどういうものか、何がアイドルをアイドルたらしめるのか、と支配人たちに問うたストーリーが魅力のノベルゲーに近い「作品」なので、アイドルマスターシリーズとは全く毛色が異なるのは多くの支配人が理解しているところと思いますが、それにしても暗黙の了解を打ち破りすぎた。仮に『Tokyo 7th シスターズ』という作品を紡ぐのに、未来のアイドルが必要だったにしても、『ナナシス』が普通のアイドル育成ゲームでないにしても、これまで出てきたアイドルたちをもっと大切にしてほしいという気持ちが、おそらく私のどこかにあったのだと思います。新しいアイドルを登場させた分、箱全体にかけられる熱量が増やせるかというとそうではなく、どうしてもアイドル一人あたりにかけられる熱量は少なくなります。そしてその割に、ゲームシステムは単調であり、ガチれる人はいくらでもガチれるが、やる気を一度失うといくらでも離れられてしまうものになっています。サービス終了の情報に触れて思い出を語るアカウントが多く観測されている一方、ゲームのアクティブユーザーはそれほど増えていないようなので、一度ゲームから離れてしまうと復帰は難しいのかもしれません。

    ナナシスが残したもの

     『ナナシス』はTokyo-7thにアイドルとして生きる女の子たちの軌跡を描くことが目的で、どんな形であれ後世に残ってくれればそれでいい、という考え方が根底にあります。ソースを見つけられなかったのですが、総監督かどなたかがインタビューで似たようなことを発言していたかと思います。そしてそれは、サービス終了後もオフラインでストーリーなどが見られるように形を残す準備が進められている、というニュースとともに現実となりました。ソシャゲがサービス終了してアプリストアから消えると跡形もなくなってしまう、というのは昔から散々言われていることなので、こうした形を取ってくれたことは本当にありがたいと思うとともに、それだけただのゲームではなく、一つの大作として製作陣の皆さんが熱意を持っていることが伝わってきます。

     『ナナシス』はアプリそのものが今後も残り続けるだけではありません。オリジナリティの高い曲、ストーリーに加えて、リリース当時はまだほとんど新人だった数多くの声優さんを育てた、という実績が『ナナシス』にはあります。
     これはアイドルマスターシリーズでも同じことが言えるのですが、広義のアイドルものというジャンル被りがある以上、他の作品にも出演している声優さんというのが一定数存在します。ウマ娘でも、「アイマスの〇〇と同じ声優さん」がたくさんいます。ナナシスでも同じことが言え、

    ・春日部ハル(篠田みなみさん)
    →タップダンスシチー
    ・天堂寺ムスビ(高田憂希さん)
    →シンコウウインディ ※知らなかった
    ・アレサンドラ・スース(大西沙織さん)
    →メジロマックイーン
    ・上杉・ウエバス・キョーコ(井上ほの花さん、2代目)
    →アストンマーチャン
    ・三森マツリ(巽悠衣子さん)
    →ヒシアマゾン
    ・逢原ミウ(高野麻里佳さん)
    →サイレンススズカ
    ・浅見ミワコ(優木かなさん)
    →スーパークリーク
    ・鰐淵エモコ(吉岡茉祐さん)
    →ドリームジャーニー
    ・空栗ヒトハ/フタバ(秋奈さん)
    →ドゥラメンテ
    ・御園尾マナ(前田玲奈さん)
    →グラスワンダー

    と、のちにウマ娘を始めて「ああ、この人だ……!」となった声優さんが非常に多いです。中にはナナシスに出演する前からすでに知名度があり、数々の作品に出演していた声優さんもいますが、ナナシスが何人かの声優さんを育てたのは事実。その事実があるだけでも、ナナシスが存在した意義は非常に大きかったと言えます。

    サービス終了しても、消えてなくなるわけではない

     繰り返しになりますが、『ナナシス』はサービス終了後も、オフラインで見返せるように保存する作業が進められているそうです。CDでもサブスクでも、これから先も数々の曲たちは引き続き聞けますし、ストーリーを見返すこともできます。アクティブユーザーもそれほど多くないですし、『ナナシス』を知らない人がこれからどんどん増えていくと思いますが、誰かの心の中に残る、影響を与える物語であり続けるという製作陣の願いは、これからも永劫叶えられ続けるでしょう。私もナナシスの曲をまた聞いてみたり、ライブイベントに行ったことがないのでその情報をチェックしてみたり。ナナシスの情報に4年ぶりくらいに触れてみようと思います。

     
     
    一次創作をメインに、時々ウマ娘の二次創作もやっている物書きです。2026年9月現在、短編420作、長編25作完結済みの実績持ち。ディストピアもほのぼの展開も、バッドエンドもハッピーエンドも何でも書く生き物です。活動場所は小説家になろう、カクヨム、pixivなど。

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