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「ICHI-YO!(イチヨー!)」

    黒木久勝

    長編ファンタジー小説企画「ICHI-YO!(イチヨー!)」

    (あらすじ)
    夭折の天才作家・樋口一葉がラップに出会った!
    筆をマイクに持ち替えて、刻むリリック、流れるフロウ!
    廃校寸前の定時制学校を舞台に、異端児たちがラップで革命を起こす!
    明治を生きた女性作家の草分け樋口一葉。
    24歳という短い生涯の中で「たけくらべ」「にごりえ」といった文学史上に残る傑作を生み出した。
    そんな一葉が時空の歪みに巻き込まれ、なんと、現在の渋谷にタイムスリップ。
    先鋭的なヒップホップ文化や言葉の戦場である「MCバトル」に感銘を受け、自ら「ICHI-YO」として生まれ変わり、天才的な言語感覚を駆使して
    ヒップホップ業界に殴り込みをかける!

    (主な登場人物)
    樋口一葉(20) 
    明治を生きた女流作家。
    生真面目で堅物。男勝りの性格で負けず嫌い。向学心旺盛な頑張り屋。
    亡き父が残した借金によって貧しい生活を強いられているが、夢である「小説家」を目指して懸命に生きている。
    師匠の半井桃水より小説指導を受けているが、固い文体が大衆に受けず結果を出せないでいる。それでも自分を信じて健気に書き続けている。
    (後世に残る「たけくらべ」「にごりえ」などの名作を生み出すのは、一葉が23歳になってからのこと)。
    そんな一葉が、時空の歪みに巻き込まれ現代にタイムスリップ。
    行き場もなく頼れる相手もない渋谷の街で右往左往するが、コンカフェ嬢のキラリに助けられる。
    現代では、身元やタイムスリップの事実を隠して「夏子」として生きることに。
    そして、運命ともいえる「ラップ」との出会いがあり……。
     
    キラリ(20) 
    コンカフェ嬢。
    今時のギャル。大酒飲みの男好きで、言葉使いもチャラい。
    だが、軽薄な外見とは裏腹に熱い魂の持ち主。将来、ラッパーとなって貧困から抜け出したいという夢がある。
    日常の大体はだらしないが、ラップに対してだけは熱心で情熱的。寝る間を惜しんでリリックを真面目に書き続けている。
    家庭の事情で中学校をドロップアウトしたが、今はリリックに用いる言葉を学ぶため真面目に定時制学校に通っている。
     
    正岡良介(19) 
    定時制学校の生徒。
    両親が殺人罪で収監され、幼い頃から児童擁護施設で暮らしている。
    殺人者の息子として施設内では壮絶ないじめを受け、学校にも満足に通えなかった。
    そんな境遇から人生に絶望していたが、定時制学校のクラスメイトとの出会いによって立ち直ることができた。
    今は保護を受ける子供たちのカウンセラーになるため猛勉強中。

    半井桃水(31) 
    明治時代の大衆小説家。樋口一葉の師匠。
    端正な顔立ちで、誠実な性格。
    一葉は女性初の小説家となるため、桃水の弟子となる。
    一途な一葉に対し、誠意を持って小説指導を行う。
    だが、男女の噂が立ったため、一葉の方から交際を断り、二人の師弟関係は終わりを告げる。

    (プロット)
    明治25年。20歳になったばかりの樋口一葉は、亡き父が残した莫大な借金によって貧しい暮らしを強いられていた。
    しかし、「小説家」になるという大きな夢を叶えるため、決して腐らず前向きに生きていた。
    「明治という激動の時代に生れ合わせた者として、何も残さぬまま一生を終えるわけにはいきません。何を成すべきか考え、その道をひたすら歩むべきであり、私にはそれが小説なのです」
    日中働きながら夜は執筆する日々。眠る間もないが頑張り屋の一葉は必死で書き続けた。
    なのに、どこの出版社も作品を採用してくれない。一葉の小説は源氏物語のような文体の古典的文学。出版社が求めるのは大衆受けする通俗的な内容だ。
    不採用ばかりが続くが、それでも自分を信じて新作に取り組んでいる。(名作「たけくらべ」を書いたのは一葉が23歳の時)。
    「私が筆を執るのは真実を求める心からなのです。一度読んだだけで屑箱に投げ捨てられるようなものは書きたくありません。人の真心に訴え、人の真心を書き写したいのです」

    そんなとき、何事にも負けない強い心を持つ一葉が、激しく落ち込むほどの悲しい出来事が起きる。
    小説の師匠である半井桃水との関係であらぬ噂が広がったのだ。
    桃水は新聞小説で人気を得ていた小説家。一葉より一回り年上の31歳。
    端正な顔立ちで性格も実直な桃水に、密かな恋心を抱いていたのは確かだ。
    だが、結婚前に関係を結ぶなどふしだらな女ではない。
    誤解にも関わらず、周囲から白い目で見られてしまう一葉。
    意を決して桃水の家へ出向くと、今後一切会わないと「絶交」を告げる。
    こうして、一葉の片思いは儚くも終わってしまう。

    涙ながらの帰り道、一葉はぽつりつぶやく。
    「分けのぼる道はよしかはるとも、終には我も人もひとしかるべし」
    すると、それが何かの呪文だったかのように、月がどんどん迫って来る。
    一葉はまばゆい光に包まれると、次の瞬間、信じられないことが起きる。
    現代の渋谷にタイムスリップしたのだ。
    「おお、神よ、何と言うお戯れを!?」
    建ち並ぶビル、輝くネオン、舗装された道路、行き交う車やバイク、電車。
    それらを目の当たりにして呆然となる一葉。
    明治に生きていた女が、いきなり現代社会に送り込まれたのだ。あまりの変化に目が回り、頭の中は崩壊寸前となる。

    一葉は、当てもなく渋谷の街を彷徨い続けるが、とうとう力尽きて道端で倒れてしまう。
    「あんたさ、こんなとこで寝てたら危ないよ」
    そう声をかけられ、顔を上げる一葉。見ると、濃いメイクで派手な服装をした女が助けの手を差し伸ばしていた。
    「私、キラリっていうんだけど、つらいんだったら、ウチに来て休む?」
    一葉は、返事をする前に気を失って倒れてしまう。

    一葉が目を覚ますと、1Kの小さなアパートだった。
    「こ、ここは?」
    「私の家だよ」と、奥から素顔のキラリがやって来る。
    化粧を落とすと幼さが残る可愛い顔をしており、一葉はすぐにキラリだと気づかない。
    「あんた、着物とか着てさ、なんかのコスプレ? 今流行りの和装女子?」
    明治から来た一葉は着物姿で、髪は髷を結っている。おまけに古風な言葉使い。キラリが違和感を感じるのは当然だ。
    「それで名前は?」とキラリが尋ねる。
    一葉は、警戒してタイムスリップのことを隠し、名も「樋口一葉」ではなく本名の「夏子」と名乗る。
    キラリの質問攻撃は止まらない。「どっから来たの?」
    「遠くからです。場所は訳あって言えません」
    「で、歳は?」
    「20歳です」
    「私とおんなじじゃん! それで、なんであんなところで倒れてたの?」
    「実は、行き場所がなくて、知り合いもおらず……途方に暮れていました……」
    「じゃあさ、狭いとこだけど、しばらくならウチにいてもいいよ」
    ちょっとバカだが気のいいキラリは、一葉を受け入れる。
    こうして、居候として世話になることに。

    キラリのアパートで新生活を始める一葉だが、堅物の性格から現在社会に迎合することなく、明治時代の生活スタイルや考え方を変えようとしない。服装も髷と着物で押し通す。食事も和食のみ。墨と筆を使って日記を書く(のちの「一葉日記」となる)。

    一方のキラリは、コンカフェ嬢で生計を立てている今どきのギャル。つまり「チャラい」。おまけに、貧乏だというのにバカみたいに服を買い、結婚前というのに男友達と遊び、大酒を飲む。
    生真面目でしっかり者の明治女である一葉は、軽薄なキラリに対して口うるさくお小言をいう。
    「欲を捨て、楽しみを捨てなさい。今日一日の安楽に耽ってばかりいては、この世に生を受けた意味がありませんよ」
    「えー、何それ、意味わかんなーい」
    キラリは、クソ真面目な一葉をうっとうしく思う。

    一葉は、現在の価値観や習慣に慣れず、街を歩いても腹の立つことばかり。
    露出度の高い服装や、男女が身を寄せあって歩く姿に眉をひそめる。
    「色に迷う人は迷えばいい。情に狂う人は狂えばいい。私欲に心を奪われ、利他の精神を忘れた世界はなんと無残で見苦しい……」

    また様々なトラブルにも巻き込まれる。
    道に迷っていたらサラリーマンに騙されラブホテルに連れ込まれそうになったり、信号を間違えて車に轢かれそうになったり、ひったくりにお金を盗られたりと散々だ。
    風紀が乱れ、義理人情を失った現代の日本に失望を感じるようになり、自分が暮らしていた元の時代に帰りたいと強く願うようになる。
    「つまらぬ、くだらぬ、面白くない、情ない悲しい心細い中に、何時(いつ)まで私は止められて居るのかしら。これが一生か、一生がこれか、ああ嫌だ嫌だ」

    そんな時、一葉は、キラリのアパートで一冊のノートを見つける。
    開いてみると、細かい文字でぎっしり書かれてある。
    「これは何を書かれているのでしょうか?」
    「リリックだよ」
    「りりっく?」
    「ラップだよ、ラップ!」
    キラリの夢はラップで成功し貧困から抜け出すことなのだ。
    一葉は「ラップ」など知る由もない。
    「いいよ、聞かせてあげる」
    キラリは立ち上がると、激しいビートに乗せてマシンガンのように言葉を発してラップを披露する。
    訴えるのは、今キラリ自身が抱えている不安、怒りのメッセージだ。
    いつもは軽薄なキラリだが、一転して気迫溢れる姿を見せる。
    キラリが魂を込めて吐き出すリリックに一葉は強い衝撃を受け、「ラップ」に心を鷲掴みにされる。現在カルチャーに開眼した瞬間だ。
    明治は女性の自己主張が難しい時代。だが、現代を生きるキラリは言葉に想いを込めて、自分の存在意義を必死で訴えている。そこに感動したのだ。
    そして、ラップで己の哲学やポリシーや社会への怒りや不満を訴えるキラリの姿から、一葉が小説に捧げる情熱と同じものを感じる。
    「源氏物語は立派な作品ですが、書いた人は私たちと同じ女性です。紫式部には天賦の才があるとしても、人である以上、私たちと何の違いがありましょうか。すべての女性が声高々に主張するべきなのです。言葉は、人に感動を与え、その感動が一生を貫き、さらには百代に渡って、風雨霜雪も打ち砕き、その一語一句が世のため人のためになるのです。キラリさんのラップにはその可能性を感じました」
    「よくわかんないけど、褒めてるんだよね? ありがと……」
    生まれた時代や環境の違いで対立していた二人だが、ラップによって距離が一気に縮まる。
    と、お互いに友情が芽生え、一葉とキラリは行動を共にするようになる。
    頑なに現在社会を拒絶していた一葉だが柔軟な考え方ができるようになり、キラリを介して世界を広げ、若者カルチャーを吸収していく。
    (一葉も、ヒップホップの集会に参加したり、ダンスを習ったり、裏で密かにリリックを作り始めたりする。だが、服装は頑なに髷と着物のままだ)。

    今まではキラリの軽薄な部分しか見てなかったが、実は、しっかりと将来のことを考えていた。
    コンカフェで働く傍ら定時制学校に通って勉強をしていたのだ。
    中学時代に両親が離婚してから学校には行かず、渋谷で自堕落に遊んでばかりいた。
    だが、ラップと出会って生まれ変わった。
    ラッパーを目指してリリックを考えるようになったが、あまりに言葉を知らない自分が嫌になって一年前から定時制学校に通い出したのだ。
    一葉は、教科書を使って勉強するキラリを見て、現代の教育に興味を持つ。
    「夏子も勉強したいの? だったら一緒に学校来る?」
    「私も行ってよろしいのでしょうか?」
    「うちらの学校はさ、勉強したいって気持ちがあれば、何歳でも外国人でも誰だってウェルカムだからさ」
    こうして、一葉もキラリと共に定時制学校に通うようになる。

    定時制学校は、国からの支援を受けたボランティアが、公共施設を借りて
    授業を行っている自主夜間学校。いつ入学してもいいし、年齢も国籍も境遇も一切問わない。
    授業は週二回。夕方5時20分に始まり、給食をはさんで夜9時まで。
    一葉はそこで多様な人々と出会う。両親の借金のせいで学校に通えない16歳の少年、いじめを受けた14歳の引きこもりの少女、シングルマザーのヤンママ、内戦から逃れてアフリカから来たハーフの青年、戦争経験者の老僧侶……。
    みんな、病気や貧困など現代が抱える様々な社会問題によって義務教育を受けられなかった人たちだ(キラリも親から虐待を受けた過去がある。今も身体には殴られた痣が残っている)。
    義務教育を卒業していない若者は就ける職種が限られる。卒業証書がないと調理師や理容師やマッサージ師の試験を受けられない。また、読み書きの出来ない老人は役所の通知が読めず、法の保護を受けられないでいる。
    なので、定時制学校の生徒たちは困難な現状を打開しようと必死で勉強をしているのだ。

    授業では、一つの教室で全生徒が一緒に勉強をする。
    授業内容が分からない生徒がいたら、理解するまでみんなで教え合う。
    みんなで助け合って落ちこぼれを出さないのが教育方針。
    給食も、みんなで料理を作って一緒に食べる。
    そこでは、勉強のこと、家庭環境、恋愛相談、迷い、悩みなど世代や国籍を超えて率直に話し合う。
    こうして共に時間過ごすことで、なんだか家族のような関係になっている。
    一葉も彼らと机を並べることで、改めて学ぶことの素晴らしさ面白さを再発見していく。
    「人間社会はつまらぬ階級を作り出し、偉いとか賎しいとか言ってます。天地間の全ての者は平等であるべきなのです」

    定時制高校では、一葉の心を揺さぶる新たな出会いがある。
    正岡良介だ。
    会った当初は、毒舌でつっけんどんな良介に嫌悪感を感じる。
    だが、階段の上り下りが苦しそうな老人に手を貸したり、対人恐怖症の女の子に積極的に話しかけたりとクラスメイトに優しい良介の意外な一面を発見し、徐々にその距離が縮まっていく。
    ある時、教室で一番優秀な一葉に、良介が「国語(古文)を教えてほしい」と頭を下げる。資格の試験が迫っているが学力が足りないのだ。
    こうして、一葉と良介の猛勉強が始まる。
    一葉はスパルタで厳しく教えるが、良介は懸命に学んでいく。
    個人授業の合間で、良介の壮絶な過去も知ることになる。
    両親が殺人罪で刑務所に収監され、身寄りのない良介は児童擁護施設に預けられた。殺人者の息子として施設内で壮絶ないじめを受け、中学にも満足に通えなかった。
    人生に絶望し自殺も考えた。
    だが、偶然通うようになった定時制学校で、良介の人生は大きく変わる。
    助け合い励まし合う教育方針のおかげで友人や理解者ができ、立ち直ることができたのだ。
    今では、保護を受ける子供たちのカウンセラーになりたいという目標がある。
    資格のため必死に勉強する良介に、一葉はつい心惹かれてしまう。
    「恋とは尊くあさましく無残なもの成」
    儚さと尊さ。その両面を備えた恋というのは、確かにあさましく、あっけないものだが、それでも人は恋をすることをやめられない。と、一葉は思う。

    そんな時、定時制学校にある問題が立ち上がる。政府からの支援金が減らされ、このままでは経営が立ち行かなくなり学校が閉鎖されてしまうことに。
    この危機に、一葉とキラリ、そして良介が立ち上がる。
    3人はラップグループ「FROM日没」を組んで、優勝賞金100万円の「MCバトル全国大会」へ出場するのだ。
    賞金はもちろんだが、ここで、フリースタイルラップで定時制学校の素晴らしさ、世間一般のレールから外れてしまった者たちにも学ぶ機会を、と訴えるのだ。
    優勝すれば、注目を浴び、自治体も補助金の打ち切りを考え直してくれるかもしれない。
    一葉は決意する。「道徳はすたれ、人情は紙のように薄くなり、政治家も私利私欲ばかりを追及し、国家の発展を考える者もなく、世の中はどうなってしまうのでしょうか。力もない女が思い立ったところでどうにもならないことは分かっています。ですが、私は今日一日だけの安楽にふけって百年後の憂えを考えない者ではありません。僅かでも人の心を持っている者が、生涯の情熱をそそいで、死をもいとわず、天地の法則に従って働こうとする時、賢人であろうと愚者であろうと、男であろうと女であろうと区別などないのです!」

    大会に備えて、一葉は「ICHI-YO」となり、キラリからフリースタイルラップの熱血指導を受ける。
    最初は慣れないラップに悪戦苦闘するが、そこは言語の天才。努力の末にコツをつかむとマシンガンのように言葉を放つようになると、思いをライムに乗せて解き放つようになる。

    いよいよ全国大会の幕が切って落とされる。
    日本中から人気と実力を兼ね備えたラッパー達が集められICHI-YOとキラリ、良介の「FROM日没」が、強敵に挑んでいく。
    3人は、クラスメイト達の熱い声援を背にフリースタイルラップを披露する。内容は、定時制学校で知った現代社会の問題を、決して悲観することなく希望や勇気で乗り切るといったもの。定時制で良かったこと、今がとても充実していること、勉強の大切さ、風変わりだが愛すべき仲間たちのことを歌う。
    一葉の言葉は小説からラップに変わっても、多くの人々の心に響き深く突き刺さる。
    「FROM日没」は全くの無名でダークホース的な存在だったがあっという間に多くのファンを集め、どんどん勝ち抜いていく。
    そして、強敵との激戦を勝ち抜き、とうとう決勝戦までたどり着く。

    だが、決勝を前にして突如暗雲が立ちこめる。
    良介とキラリが、国語の教科書に描かれた「樋口一葉」の肖像画に気づいたのだ。
    「これ、夏子とそっくりなんだけど」
    自分の肖像画に驚く一葉。
    「ねえ、本当のこと言って。夏子って何者? 嘘はやだよ。私たち友達でしょ?」
    と、キラリが迫る。
    一葉は、真実を告げる覚悟を決める。
    「私は樋口一葉。明治から来ました」
    現代にタイムスリップしたこと、明治では作家を目指していたことなど全てを正直告白する。
    良介が早速wikiで調べる。
    と、「樋口一葉」は、後世に残る名作を生み出し歴史的作家となるが、「24歳に肺結核で死亡」と書かれてある。
    自分の運命を知って激しく動揺する一葉。

    なおも試練が一葉を襲う。
    決勝戦で思わぬライバルが立ちふさがる。相手は、小説の師匠であり、唯一心から愛した人、半井桃水だ。
    桃水も一葉と同様に現在にタイムスリップし、ラップに魅了され、この大会に出場していたのだ。
    なんという宿命!
    時を超え再会する二人。まるで、神の思し召しのような出来事だ。
    桃水を前にして、一葉の焦がれるような恋心が再び燃えあがる。
    だが、定時制学校の仲間が教育の場を失うなど決してあってはならない。例え相手が最愛の人でも負けるわけにはいかないのだ。
    「私は、世の中にある痛み苦しみや失望を慰めるため生まれ出た詩の神の子。思い上がった人々の驕りを押し止め、悩む人々を救うのが任務。私のリリックが人々の命の糧となるでしょう!」
    命が24歳で途切れるとしても、生きた証を残すため、言葉に魂こめてぶちかますのみ。
    百年の時を超え、一葉の熱いリリックが炸裂する。

    決勝戦の行方は!?
    「FROM日没」は、定時制学校の閉鎖を阻止することができるのか!?
    一葉の恋の行方は!?  
    果たして、明治の時代に帰れるのか!? 
    それとも現代の渋谷で死を迎えるのか!? 
    一葉の運命やいかに!

    #創作大賞2026 #ファンタジー小説部門


     
     
     
    2007年、塚本晋也監督作『悪夢探偵』で脚本家デビュー(共同 脚本 ) 。 主な脚本参加作品としては、北村一輝主演、連続ドラマ『猫侍』(13)など。15年、時代小説「鬼がらす恋芝居・剣客花道」で小説家 デビュー

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