
「大丈夫です。」
日本で、いちばん働かされている言葉かもしれない。
疲れていても、大丈夫。
眠れていなくても、大丈夫。
悲しくても、大丈夫。
便利な言葉だ。
この四文字を口にすると、その場は丸く収まる。
相手は安心するし、自分も説明しなくて済む。
だから、つい使ってしまう。
でも、ある年齢を過ぎて思う。
「大丈夫」が増えた人ほど、
本当は大丈夫じゃない。
頑張ることが上手な人ほど、
助けを求めることは、少し下手だ。
「迷惑をかけたくない。」
「もう少しなら頑張れる。」
そんな思いを何枚も重ねた先に、
最後に残るのが「大丈夫」という言葉なのだ。
だから私は、
誰かの「大丈夫」を、そのまま受け取らない。
「そうなんだ」と終わらせるより、
「本当に?」と、一歩だけ近づける人でいたい。
もちろん、自分にも。
以前は、「大丈夫」で何でも乗り切れた。
でも今は知っている。
無理を重ねた「大丈夫」は、
ある日、体が代わりに答えを出してしまうことを。
だから最近は、
少しだけ正直になる練習をしている。
「今日は、ちょっと大丈夫じゃないです。」
そう言えた日は、
不思議と心が少し軽くなる。
「大丈夫」と言わなくても大丈夫な日が、
本当の意味で、大丈夫な日なのかもしれない。