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卒業というほど、大げさではないけれど



    人との距離は、
    ある日突然変わることもあれば、
    季節が変わるみたいに、
    少しずつ変わることもある。
    たとえば、朝の空気がひんやりしてきて、いつの間にか長袖を選ぶようになるみたいに。

    前は毎日のように思い出していたのに、
    気づけば、その人のことを考えない時間が増えていた。

    それは薄情になったわけじゃない。

    暮らしには暮らしの風が吹いて、
    人には人の時間が流れている。

    無理に追いかけなくても、
    無理に忘れようとしなくてもいい。

    縁があったから出会えた。

    その事実だけで、
    十分あたたかい。

    あとは、お互いがそれぞれの場所で、
    ちゃんとご飯を食べて、
    よく笑って、
    穏やかに眠れていたらいい。
    湯気の立つ味噌汁をすすりながら、ふと笑みがこぼれるような、そんな日々であればいい。

    そう思えるようになった自分に、
    少しだけ安心している。



     
     
    白瀬ひろ。小さな町で、小さなコーヒー屋を営みながら暮らしています。50代からの暮らし、人間関係、心の揺れや小さな幸せを静かに綴っています。少し肩の力が抜けるような言葉を書けたら嬉しいです。

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