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SNSで見つけた服を買いに行った話

    ソファに転がってSNSを眺めていると、一つの投稿にビビッときた。
    ボタンとボタンの間に刺繍が施された白いシャツの写真。
    投稿していたのは、古着屋さんだった。
    調べてみると、車で行ける距離。
    初めての古着屋さんに行くのは緊張するなぁと迷っていたが、妻に写真を見せると一緒に行ってみようと言ってくれた。
    週末、いざ目的の古着屋へ。
    コインパーキングに車を止めて、スマホで地図を見ながら路地を進んでいくと、道の脇に古着屋の看板が立っているのを見つけた。
    看板の奥の階段を登ると、古着の独特な匂いがしてきた。入り口のドアは開け放たれている。2人で恐る恐る店内を覗いてみると、中はとても静かだった。奥で服を畳んでいたご主人が気づいてくれたので、「見ても大丈夫ですか?」と声をかけてみる。
    「え?どういうことですか???」

    僕と妻とご主人、3人で顔を見合わせる。

    確かに、古着屋の看板を出しておいて、見ちゃだめなわけがない。
    どうぞどうぞと勧められたので、どうもどうもと入っていく。
    お店の中はあまり広くないが、服がかかったラックや棚が所狭しと置かれていて、すごくワクワクした。まさに古着屋って感じだ。
    端から一枚一枚ハンガーを捲りながら、目当てのシャツを探す。
    半分くらい見たところで、お目当てのシャツを発見。ちょっと鏡で合わせてみたり、刺繍の部分をじっくりみたりする。やっぱりいいなと思い、値札を探すがどこにもついていない。一旦他のものもみてみることに。
    Reebokの半袖Tシャツや胸に鳥の刺繍があるスウェットなど、目当てのシャツ以外にも気になるものはあったけど、やっぱり刺繍のシャツに戻ってきた。
    すると、ご主人が今日はどちらからと世間話を振ってくれた。このお店はSNSでみつけたことや、途中でどこに寄ったとかを話しつつ、勇気をだして、「このシャツ試着してみてもいいですか?」と聞いてみる。
    ご主人はもちろんですと言って、椅子を持ってきてくれた。試着室はないんだと少し戸惑ったけど、そう言うものかと着ていたスウェットとシャツを脱いで、念願のシャツに袖を通す。ボタンもしっかり全部閉めて鏡を見る。袖が少し長く親指の付け根くらい。丈も少し長いかなぁと思いつつ、鏡の前をくるくるしていたら、妻は似合ってるよと言ってくれた。せっかくなので、ご主人にも聞いてみることに。
    少し大きいですかね?と声をかけると、真剣な顔で、「後ろからとかも見せてもらっていいですか?」と、今度はご主人の前でくるくる。
    「肩は少し落ちていますが、チロリアンシャツは元々それくらいのサイズ感で着るものなので、、、普段から今日みたいに少しゆったりめのパンツを履きますか?」
    これはチロリアンシャツっていうのかぁと心の中で思いつつ、
    「そうですね。こんな感じのが多いです!」
    だよねと妻に目線を送るとうんうんと頷いてくれる。
    「それなら、全然大丈夫だと思いますよ」
    そうこう話しているうちに、別のお客さんが入ってきた。ご主人に挨拶をしていて、常連さんっぽい雰囲気だ。
    「ちなみに値札がついてないんですけど、これっていくらですか?」
    あまり高くありませんようにと願いながら聞いてみる。思ったよりは少し高かったが、持ち合わせでなんとかなる金額だった。
    他のお客さんの前で着替えるのも少し気まずいなぁと思い、「このまま着て帰ってもいいですか?」と聞くと、もちろんですと言って親切に着ていた服を入れる紙袋も出してきてくれた。
    代金も少しおまけしてくれて、また是非と声をかけてくれた。

    店の階段を降りると、妻が僕の顔を覗き、新しいシャツに目を落とす。
    「目当ての服、買えてよかったね。」

    1人だったらきっと来なかったから、妻のおかげで買うことができたと言っても過言ではない。
    外はシャツ一枚ではまだ肌寒かったから、車に戻るとすぐに着替えてしまった。
    もう少し暖かくなったら、このシャツを着て、妻をモーニングにでも誘おうと思う。

     
     
    ちょっとした思いつきを物語に、小さな日常をエッセイにしています。 ショートショート|エッセイ|動物|古着 1999年生まれ。妻と息子と3人暮らし。

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