メインコンテンツへスキップ
見出し画像

あの日のベルリンの壁


    #創作大賞2026 #エッセイ部門


    画像
    1970年当時のベルリンの壁


    この写真を撮った時には、
    これが、どれほど特別なものになるか、
    わかっていなかった。

    フライトでハンブルグに飛んだ。
    ハンブルグに1週間ほど滞在した。
    その時、4か月間一緒に飛んだ数人のクルーと、
    ベルリンに行こうという話になった。

    私は、正直言って、
    ちょっと遠出する、
    ただの観光のつもりだった。

    「ベルリンの壁」
    その存在は、当然日本でもよく知られていた。
    でも、決して観光地としてではなく、
    歴史の負の遺産として。

    大きな門の向こうには、
    銃をかかえた兵士が二人、
    こちらを見ていた。

    ほとんど、人はいない。
    当然ながら、
    ドイツの人たちが喜んで見る場所ではない。

    あの壁の向こうに、
    まだ、家族や親族がいるという人も
    大勢いただろうから。

    私たちから、
    笑顔は消えていた。

    どうしようもない歴史の流れの中で、
    多くの人が、その中に
    取り残されていったのだと思う。

    平和な日本で育った私には、
    それを本当に理解することは、できなかった。

    「分断」
    その重みを、初めて肌で感じた。

    私は、空を飛んでいた。
    空の上から見る地上には、
    国を分ける線など存在しない。

    でも、地上では、
    渡れない橋がある。
    越せない山がある。
    目の前に見えていても行けない場所がある。

    地球は丸い。
    どこにも壁はない。

    でも、見える壁も、
    見えない壁も、
    私たちの世界には存在する。

    壁は、いつから生まれたのだろうか?
    壁は、いったい誰が作ったのだろうか?

    そして、この壁が
    ベルリンの壁のように、
    無くなる日は来るのだろうか?

    その答えを、私はまだ知らない。


     
     
    元CAの保育士。プリスクール園長。子ども達と向き合ってもう40年以上。平川裕貴名で商業出版3冊あり。書くことが止まらない日々。YouTubeチャンネル『平川メソッド』『ゆうきのおはなし工房』『ひらかわゆうきの本棚』本業はhttps://lilliput-jp.com/

    あなたへのおすすめ