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恋愛エッセイ№02 新作が投稿されない【揺れ】

    新作が投稿されない。

    オンラインの海に漂う、顔も知らないあの人の新作が。そんな日が、1週間も続いたのは初めてのこと。

    あまり好きではないけれど、顔も知らないあの人にメッセージを残していく人たちの様子を、そっと見にいった。

    …だれにも返事がないみたい。
    オンラインの海から、ふっと姿が消えたんだ。

    明るく装った応援メッセージ・私の小さな声も、波にさまよい続けるのみ。

    返事がない1週間のあいだ、 私は勝手に沈んで、勝手に浮かんで、 勝手に揺れていた。

    仕事が忙しいの?
    体調が悪いの?
    それとも、このまま海には戻ってこないの?

    通知がないと分かっていても、祈る気持ちで画面を確かめる。

    「明日は、月曜日か…。こんな気持ちのまま、これから1週間つづくのかな」

    シャワーでサッパリ汗を流したはずなのに。
    憂鬱な気持ちで髪を乾かし続けるけれど、いつまでたっても、髪も心も湿り気を帯びたまま。

    「~♪」

    スマホの通知が軽快に響いた。

    「もしかして–––」
    すぐに画面を確認する。

    「返事が遅くなって申し訳ない。…実は」

    顔もしらないあの人が、オンラインの海に戻ってきた。
    「返事が遅くなって申し訳ない」 その一文だけで、 ネガティブなすべての感情が吹き飛ぶ。


    そっか。創作したくない時期があるんだね。
    睡眠不足はダメですよ。
    仕事、たくさん入れ過ぎですよ。
    話、私で良かったら聞きましょうか。

    顔も知らなければ、どんな声かも知らないあの人に、画面越しに、はじめて小言を呟いた。


    私、どんな顔してるんだろう…。

    少しだけ–––ううん、ここ1週間でいちばん口角が上がった。

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    七夕に生まれた作家、平賀恋逢(ひらがれんあい)です。 現実と妄想のあいだで物語を紡ぐエッセイスト。

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