
【疑似エッセイ】白と据え膳
先日、仕事関係の方から、二十一枚の奇妙なメモを頂きました。
自宅マンションの屋上から飛び降り自殺した、三十一歳の男性が残したものだそうです。
そこには、「白い部屋」と「ひとつの据え膳」についての記録が、数日にわたって残されていました。
警察の記録では、彼の部屋にも、その周囲にも、白い塗料の跡や、食べ物が置かれていた痕跡は見つからなかったそうです。
それでも、それが「存在しなかった」とは言い切れません。
彼が過ごした数日間と、彼の前に置かれた「据え膳」は、いったい何だったのでしょうか。
一日目







二日目







三日目



四日目以降?




彼が見た白い部屋は、現実か幻か。据え膳は、救いか罠か、それとも罰か試練か。
彼は、最後まで据え膳を食べなかったのでしょうか。それとも、食べたあとに死を選んだのでしょうか。
私たちには、何ひとつ確かめられません。
ひとりの男性が亡くなり、彼が書いたメモが確かにある。残された事実は、それだけです。
最後のページの端には、書きかけて消したような線が残っていました。迷って手を止めた、その痕跡かもしれません。
きっと、あなたの前にも、据え膳は置かれています。
――あなたは、その据え膳、食べますか?
ひらがなひめか