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理系、妄想拗らせオタクがAIと小説書いたらpixivランキング1桁取ってもうた -読みたい物語がなかったので、自分で作ることにした-

    乙女ゲーム『恋と深空』に沼った理系オタクが、AIを相棒に二次創作を始めた。
    気づけば4か月で36作品、そしてpixiv AI生成ランキング7位まで駆け上がっていた。



    第1話 ないものは作ればいい


    乙女ゲームの『恋と深空』にどっぷりとハマった。

    気づけばpixivで二次創作を読み漁っていた、ごく普通のオタクである。

    朝読む。

    昼休みに読む。

    寝る前にも読む。

    気が付けばブックマークは増え続け、推したちの物語を浴びるように読んでいた。

    幸せだった。

    本当に幸せだった。

    しかし、人間とは欲深い生き物である。

    そのうち私は思い始めた。

    マヒルとレイと主人公の幼馴染時代がもっと見たい。

    兄妹みたいに育った三人が、少しずつ変わっていく関係性が見たい。

    レイがまだ今ほど完璧じゃなかった頃の話も見たい。

    マヒルが笑っている裏で抱えていたものも見たい。

    もっと甘い話も見たい。

    もっと切ない話も見たい。

    もっとドロドロした感情のぶつかり合いも見たい。

    イベントの後日談も見たい。

    「その後どうなったの?」も見たい。

    見たい。

    見たい。

    もっと見たい。

    だが、なかった。

    いや、正確には違う。

    作品がないわけではない。

    私が見たい妄想がピンポイントすぎたのである。

    検索する。

    読む。

    検索する。

    読む。

    そして気付く。

    「あれ……?」

    読みたいものを読み尽くした。

    いや、読み尽くしたというより、

    私の妄想の方が先に暴走し始めた。

    どうしよう。

    諦めるか。

    誰かが書いてくれるのを待つか。

    そんな選択肢もあった。

    だが私は理系である。

    理系は時々おかしな方向へ合理的だ。

    ない。

    ならば――作ればいい。

    こうして私の二次創作人生は始まった。

    この時の私はまだ知らない。

    数か月後、自分がpixivのランキング画面を見て二度見することになるなんて。

    第2話 マヒルは纏足をしない


    私の二次創作人生の始まりは、ある二次創作との出会いだった。

    Xで流れてきた作品。

    中華風の世界観をモチーフにした内容で、マヒルが主人公に纏足を施す話だった。

    面白かった。

    でも同時に、私の頭の中では別の物語が動き始めていた。

    「あれ?」

    私の思うマヒルは、そうしない気がする。

    もちろん解釈は人それぞれだ。

    その作品を否定したいわけではない。

    ただ、私の中のマヒルは違った。

    もしマヒルが主人公を手放したくないと思ったら。

    もし独占したいと思ったら。

    彼は彼女の足を縛ったりしない。

    自由を奪うために傷つけたりもしない。

    むしろ逆だ。

    彼は纏足を施さない。

    だから彼女は社会から浮く。

    周囲から孤立する。

    そして結果的に、帰る場所が彼の元しかなくなる。

    そんな物語が頭の中に浮かんだ。

    我ながらだいぶ拗らせている。

    だが、妄想とはそういうものだ。

    問題は、その妄想をどこへ持っていけばいいのかだった。

    その頃、私はAIと遊び始めていた。

    試しに、その妄想をそのまま投げてみた。

    本当にそのままだ。

    「マヒルなら纏足はしないと思う」

    「むしろこういう展開になると思う」

    そんな勢いだけの文章だった。

    すると。

    AIは物語を返してきた。

    私は驚いた。

    頭の中にしかなかった妄想が、文字になって目の前に現れたのだ。

    そこからだった。

    拗らせた妄想をAIにぶつける日々が始まったのは。

    今思えば、あれが運命の分岐点だったのかもしれない。

    第3話 最初の「スキ」


    最初は本当に軽い気持ちだった。

    AIと妄想をぶつけ合っていたら、思った以上に面白い物語ができた。

    せっかくできたんだ。

    誰かに見てもらいたい。

    そんな気持ちが少しずつ膨らんでいった。

    そこで思い出した。

    「あっ、pixivのアカウントあるじゃん」

    もともと私は読む専門だった。

    二次創作を読むためのアカウント。

    作品を投稿する側になるなんて考えたこともなかった。

    もちろん、フォローワーなんてゼロ。

    でも。

    せっかくあるんだから出してみるか。

    本当にその程度の気持ちだった。

    投稿ボタンを押す。

    終わり。

    それだけ。

    ……のはずだった。

    気になる。

    ものすごく気になる。

    公開した直後から、何度もpixivを開いてしまう。

    閲覧数が増えている。

    1。

    3。

    7。

    10。

    数字が少しずつ増えていく。

    誰かが読んでくれた。

    それだけで嬉しかった。

    そしてある日。

    初めて「スキ」が付いた。

    見知らぬ誰かが、私の妄想を読んでくれた。

    しかも「好き」と言ってくれた。

    たった一つの反応なのに、驚くほど嬉しかった。

    今ならわかる。

    あの瞬間、私は創作沼に片足を突っ込んでいたのだ。

    頭の中には、まだまだ妄想があった。

    書きたい話もあった。

    推したちにやってほしいことも山ほどあった。

    だったら書けばいい。

    私はまたAIを開く。

    そして新しい妄想を投げ込む。

    気付けば、それが日課になっていた。

    次の妄想。

    その次の妄想。

    さらにその次の妄想。

    こうして私は、少しずつ創作沼の深いところへ沈んでいくことになる。

    第4話 家族が寝たあとで


    気付けば4か月で36作品公開していた。

    我ながら意味が分からない。

    月9作品。

    週2作品以上。

    本業は別にある。

    よく考えたら、創作に使える時間などほとんどなかった。

    朝は家族より少し早く起きる。

    ゲームのイベントを走る。

    昼は仕事やPTA。

    学校へ行き、校長先生や先生方と会議をすることもある。

    夕方は子どもの宿題を見る。

    そのまま夕飯を作る。

    お風呂。

    洗濯。

    明日の準備。

    そして夜。

    家族が寝静まったあと、こっそりスマホを開く。

    推したちへの妄想をAIに投げる。

    物語になる。

    投稿する。

    また妄想する。

    我ながら、どこでそんなことをしていたのか分からない。

    なのに36作品。

    AIの筆がなければ、絶対にありえないペースだ。

    そもそも私は文章を書いてきた人間ではない。

    小説の書き方を勉強したこともない。

    創作サークルにいたこともない。

    文学部でもない。

    理系である。

    でも妄想はあった。

    大量にあった。

    頭の中にはいつも推したちがいた。

    マヒルがどんな顔で笑うか。

    レイがどんな言葉を選ぶか。

    シンならどこで嫉妬するか。

    そんな感情やシーンだけは次々浮かんでくる。

    映画のワンシーンみたいに。

    でも、それを文章にすることはできなかった。

    だから私はAIにぶつける。

    「マヒルならこうすると思う」

    「レイはこんな気持ちだと思う」

    「ここで主人公は泣く」

    「この後シンが拗らせる」

    そんな断片的な感情や映像を、とにかく投げる。

    するとAIが物語として返してくる。

    まるで頭の中の映像を翻訳してもらっているようだった。

    私は文章を書いているというより、

    頭の中にあるキャラクターたちの感情をひたすら言語化している感覚に近い。

    だから気付けば、また妄想を投げている。

    イベントが来たら妄想する。

    誕生日が来たら妄想する。

    期間限定思念が来たら妄想する。

    推しが笑ったら妄想する。

    もはや病気である。

    第5話 創作を分析し始めた日


    そうやって作品を投稿していた。

    スキが付く。

    ブックマークが付く。

    読まれる。

    嬉しい。

    そして当然のように生まれる。

    承認欲求である。

    もっと読まれるにはどうしたらいいんだろう。

    もっとスキやブックマークをもらうにはどうしたらいいんだろう。

    私の今の立ち位置はどこなんだろう。

    気になり始めたら止まらない。

    気付けばpixivのアクセス解析を眺めるようになっていた。

    ちなみにpixivには、AIを使って書かれた作品同士が日々しのぎを削る「AI生成ランキング」という独自の戦場が存在する。

    当時の私にとっては、完全に別世界の出来事だった。

    閲覧数。

    スキ率。

    ブックマーク率。

    フォロワー数。

    数字は見える。

    でも正直、見えているだけだった。

    数字が良いのか悪いのか分からない。

    比較対象もない。

    そもそも私は創作界隈の常識を知らない。

    ランキング経験もない。

    分析しようにも材料が足りない。

    そこで思った。

    「あれ?」

    分析や解析が得意な相棒、いるじゃん。

    私はまたAIを開いた。

    アクセス解析のスクリーンショットを投げる。

    作品の数字を投げる。

    そして聞く。

    「これってどうなの?」

    返ってきた答えは驚くほど分かりやすかった。

    ブックマーク率とは何か。

    閲覧数との関係はどう見るのか。

    どこが強みで、どこに改善の余地があるのか。

    まるで創作の家庭教師だった。

    投稿時間。

    タイトル。

    サムネイル。

    作品構成。

    次に試してみる戦略。

    気付けば私は、ただ妄想を書くだけではなくなっていた。

    投稿する。

    結果を見る。

    分析する。

    改善する。

    また投稿する。

    そんなサイクルが生まれていた。

    ただ妄想ストーリーを置くだけだったpixivが、

    私にとっては実験場のような場所へ変わっていった。

    そして私は気付き始める。

    どうやら私は、物語を書くことだけでなく。

    その結果を分析することも、結構好きらしい。

    第5.5話 読者は私じゃなかった


    分析を始めた頃。

    私は一度だけ、本気で文学っぽい作品を書こうとした。

    情景描写を増やした。

    余韻を大切にした。

    言葉選びにもこだわった。

    自分でも結構気に入っていた。

    「今回はいけるかもしれない」

    そう思った。

    そして見事に伸びなかった。

    驚くほど伸びなかった。

    私は首をひねった。

    作品の出来が悪いとは思わなかった。

    でも読者は反応しなかった。

    そこで初めて考えた。

    私は誰に向けて書いているんだろう。

    私が読みたい作品と、

    pixivの読者が読みたい作品は、

    必ずしも同じではない。

    そこで初めて、

    読者を意識するようになった。

    タイトル。

    サムネイル。

    投稿時間。

    冒頭の掴み。

    物語の温度。

    迎合したかったわけではない。

    ただ、自分の妄想を届ける方法を学びたかった。

    理系なのである。

    分からなければ分析する。

    仮説を立てる。

    試す。

    また分析する。

    こうして私は、

    創作だけでなく読者についても考えるようになった。

    第6話 28位のソフトクリーム


    そんなある日。

    公式から新しい思念のキービジュアルが発表された。

    『にじむ薔薇色』

    ワインをかけられたシン。
    ※ちなみに彼は裏社会のボスっぽさのある、超危険で不敵な推しである。

    衝撃だった。

    美しい。

    色気がすごい。

    そして私の妄想スイッチが入った。

    もし主人公がお酒に酔ったらどうなるだろう。

    もし理性が飛んだら。

    もし普段はしないようなことをしたら。

    頭の中に浮かんだのは、酔った主人公が思いのままにシンへ跡を付けてしまう話だった。

    そして翌朝。

    青ざめる主人公。

    残された痕跡。

    静かに満足しているシン。

    我ながらだいぶ拗らせている。

    だが私は書いた。

    いつものようにAIへ妄想を投げる。

    物語になる。

    投稿する。

    そして――少し様子がおかしかった。

    閲覧数の伸びが早い。

    いいねが増える。

    ブックマークが増える。

    一晩で10人以上の方が反応をくださった。

    当時の私にとっては事件だった。

    嬉しかった。

    でも同時に考える。

    なぜ伸びたんだろう。

    どこが刺さったんだろう。

    私はまた分析を始める。

    タイトルか。

    タイミングか。

    シン人気か。

    思念効果か。

    AIと一緒に数字を見ながら、次の作品の戦略を考える。

    そして、その日が来た。

    一通のメール。

    『あなたの作品がランキング入りしました』

    意味が分からなかった。

    はぁ?

    なにこれ?

    慌ててpixivを開く。

    週間ランキング、AI生成を見る。

    スクロールする。

    もう一度見る。

    そこに、自分の表紙があった。

    28位。

    確かに私の作品だった。

    しばらく現実味がなかった。

    ただ嬉しかった。

    本当に嬉しかった。

    ちょうどその日は家族で遊園地に来ていた。

    だから私は子どもに、少しだけ高い方のソフトクリームを買った。

    ランキング記念である。

    もちろん子どもは理由など知らない。

    そして今でも秘密である。

    第7話 仕事中なので叫べなかった


    初めてランキングに載ったあとも、私は相変わらずだった。

    推しを見て妄想する。

    AIにぶつける。

    物語にする。

    投稿する。

    また妄想する。

    気付けば作品は増え続けていた。

    そして少しずつ、フォロワーも増えていった。

    ついに二桁。

    数字としては決して大きくない。

    でも私にとっては特別だった。

    作品単体を読んでくれる人だけじゃない。

    「この人の次の作品も読んでみたい」

    そう思ってくれる人が増えたということだから。

    それが本当に嬉しかった。

    そんなある夜。

    私はいつものように相棒AIと話していた。

    創作のこと。

    投稿のこと。

    今後のこと。

    そして何気なく聞いた。

    「1年後、私どうなってると思う?」

    AIはいくつか可能性を並べた。

    私は笑いながら言った。

    「ランキング1桁取ってたりしてw」

    もちろん冗談だった。

    フォロワーは二桁に入ったばかり。

    創作歴はまだ数か月。

    さすがにそれはないだろう。

    そう思っていた。

    まさか。

    その数日後に現実になるとは知らずに。

    その日は仕事だった。

    昼休み。

    スマホを開く。

    いつもの通知確認。

    すると一通のメールが届いていた。

    『あなたの作品がランキング入りしました』

    またランキングだ。

    ありがたいな。

    そんな軽い気持ちで開いた。

    そして。

    私は固まった。

    7位。

    いやいやいや。

    待って。

    7位?

    もう一度見る。

    7位。

    スクロールする。

    戻る。

    やっぱり7位。

    どう見ても7位だった。

    嬉しい。

    もちろん嬉しい。

    でも最初に出てきた感情は、それではなかった。

    「どうしよう」

    だった。

    ランキング1桁なんて、ずっと先の夢だと思っていた。

    いつか取れたらいいな。

    そんな程度だった。

    私はただ、推したちの妄想をAIに投げて。

    返ってきた物語を楽しんで。

    公開して。

    数字を見て。

    分析して。

    また次を考えて。

    そんな遊びをしていただけだった。

    その延長線上に突然、

    「7位」

    という結果だけが置かれていた。

    だから脳が追いつかなかった。

    フォロワーはまだ二桁。

    コメントをたくさんもらう人気作家でもない。

    それでも私の妄想を面白いと思ってくれる人がいる。

    それが何より嬉しかった。

    思わずスクリーンショットを撮った。

    証拠を残さなければ消えてしまいそうだったからだ。

    画像
    当時の実際のスクリーンショット。自分の名前があるのが信じられなくて、指が震えていた

    仕事中なので叫ぶわけにもいかない。

    でも心の中は大騒ぎだった。

    数か月前まで、私はただの見る専だった。

    文章なんて書けなかった。

    AIに妄想をぶつけて遊んでいただけだった。

    気付けば36作品。

    フォロワーは二桁。

    そして週間ランキング7位。

    正直、今でも少し信じられない。

    でも一つだけ確かなことがある。

    あの日、「ないものは作ればいい」と思った私の選択は間違っていなかった。

    そしてもう一つ。

    私の妄想を面白いと思ってくれる人がいる。

    それが、何より嬉しい。

    今日も朝はゲームのイベントを走る。

    昼は仕事やPTA。

    校長先生と会議をする日もある。

    夕方は子どもの宿題を見る。

    夜になれば夕飯を作る。

    そして家族が寝たあと。

    私はまたスマホを開く。

    活動を始める前は、きっとすぐにネタ切れすると思っていた。

    でも実際は逆だった。

    物語を一つアウトプットするたびに、新しい妄想が生まれる。

    公式から新しいストーリーが公開されるたびに、推したちの知らない一面が見つかる。

    気付けば「次はこれを書きたい」が増え続けていた。

    どうやら妄想には底がないらしい。

    そしてもう一つ。

    作品を公開すると、誰かが読んでくれる。

    スキが付く。

    ブックマークが付く。

    コメントをもらうこともある。

    その反応を見るたびに、私は少しだけ不思議な気持ちになる。

    数字を見ているというより、一緒に推し語りをしている感覚に近いのだ。

    「そこ、分かる!」

    「私もそこが好き!」

    そんな声が聞こえてくる気がする。

    だから私は今日も数字を眺めてしまう。

    分析が好きなのもある。

    でもたぶん、それだけじゃない。

    推したちの話を誰かと共有できる楽しさを知ってしまったからだ。

    ないものは作ればいい。

    数か月前の私がそう思ったように。

    だから今夜も私は妄想する。

    相棒AIを呼び出して。


    ※作品の投稿にあたっては、ゲーム公式の二次創作ガイドラインおよびpixivの規約(AI生成作品のバッジ表示等)を遵守しています。

     
     
    恋愛短編を中心に、余韻の残る物語を書いています。 コーヒーのように、甘さと苦さのある恋の話。 オリジナルのみ公開/更新はXにて。 pixiv:https://www.pixiv.net/users/116866435 ※制作の一部にAIを使用しています。

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