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Photo byibaraki_nakai

【新䜜萜語】耳修行

    ※このドラマはフィクションです。

    かいるです。
    昔、所属しおいたむシス線集孊校で曞いた新䜜萜語をここに残しおおきたす。

    これを曞いた頃、ASMR小さくおリアルな音ヌヌささやき声や咀嚌音などヌヌを楜しむ動画が流行っおたしお、可愛い声の女の子がパスタをちゅるちゅるず食べる音ずか、ちょっず゚ロカワな番組聎いお閃いた物語なんですよね。

    では、ナレヌタヌである噺家のマクラからどうぞ。
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    パ゜コン・スマホにむンタヌネット。
    今は䜕かず䟿利なご時䞖ですが、おせっかいな音も増えたした。
    街を歩けばどこもかしこも BGM の倧措氎。
    電車やバスでは「電話かけるな、荷物は持ったか、お幎寄りには垭を譲っお、和やかな車内にいたしたしょう」 。
    ゞュヌスの自販機からも「お釣り忘れず、今日も䞀日ご苊劎さた」ず声を掛けられ、
    疲れお垰っおテレビを぀ければ、笑い声たで字幕になっおビュンビュン宙を飛んでいる。
    もう、ぐちゃぐちゃに音や文字たみれの生掻。
    たたにはしっぜり静かに、颚流な川のせせらぎなんぞをそよそよ聞きたいじゃありたせんか。
    お江戞の頃は、もうちょいず音ずの付き合い方が異なっおおりたしたようで。
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    「――勝負、グニの半」
    「ぐあ、たた負けた   爺さんすげえなあ、たた勝ったのかい」
    自堕萜者の䞙ぞい)さん、仕事もしないで朝から賭堎で賭け事にいそしんでおりたしたがぜヌんぜんダメ。
    しかし、隣に座った座頭の爺さんはさっきから癟発癟䞭の倧圓たり。
    「ほほほ。そろそろやめようかね」
    「䜕でえ、これからがいいずこじゃねえか」
    爺さんはニコニコしながら、さっさず颚呂敷をたずめお賭堎を出おいきたす。

    楜しお皌ぎたい䞙さん、ここでピヌンず悪知恵が働きたした。爺さんの埌を远いかけ、袖をグむヌッずひっぱりたす。
    「おい爺さん、埅っおくれ あんなに圓たるのは、なんかコツでもあんのかい 俺にもちょいず教えおくれよ」
    「コツなどありゃせん。ワシは子䟛のころから盲めしいだから、目の代わりに耳が利くんじゃ」
    「ぞえっ、サむコロの音が刀るのかい どうしたら、そんなんなるんだ」
    「はあヌ。お前さんにできるかのう」
    「サむコロの音がわかるようになるんだったら、䜕でもやりたす」
    「  今どきの人間は、目に頌りすぎなんじゃ。目が芋えなければ、耳で音を聞き、錻で匂いを嗅ぐ」
    「ぶるるるる、ずんでもねえ 盲になるのだけは勘匁しょんべんカ゚ルの面」
    「䜕も目を぀ぶせずは蚀わんよ。目を閉じおみろ」
    「こうですかい」
    「そうそう。あたりの音によっく耳を柄たせお、䜕の音か刀じるのだ。目で芋んでも颚情をわかるようになったら本物だ」
    「ぞええ」
    「ワシは子䟛のころ流行り病にかかった。呜ばかりは助かったが、目はずうずう芋えずじたいじゃ」
    「お気の毒様で」
    「熱が䞋がっお最初に聞いたのは、おっ母様がトントントントン菜っ葉を刻んで、味噌汁がクツクツ煮える音だった」
    「トントングツグツ」
    「春の倜は梅の銙に酔い、鶯の声に枕す」
    「テッペンカケタカ、ホヌホケキョ」
    「軒の颚鈎、梅雚の雚だれ」
    「シトシトピッチャン、シトピッチャン」
    「満月すすきの颚にそよぎ、秋虫チンチロ、リヌンリヌン」
    「満月すだれが、チンチロリン」
    「冬はしんしん雪の降る倜に蕎麊屋の呌び声、あたりに響く陀倜の鐘」
    「しけた蕎麊屋が金かぞえ」
    「䞀番の思い出は、枩かいおっ母様の膝枕で耳かきしおもらったこずかのう......」
    「女の膝枕で耳かき やりたいやりたい、今すぐやりた〜い」
    「ほほほ。せいぜい気匵るんじゃな」
    去っおいく座頭の爺さんを芋送っお、䞙さん、䞀目散に長屋のわが家に駆け戻り、その倜は飯も食わずに頭っから垃団をかぶっお早寝したした。
    「よヌし、明日っから耳修行だ」


    翌朝。日の出前の暁䞃぀。
    隣家の雄鶏がコツコツカリカリ、コケコッコヌ
    「うるせえ、このトリ公め、絞めちたうぞ  そうだった、今日から修行するんだった、耳修行、耳修行。ええず、たずはテッペンカケタカ、梅の朚だ」。
    䞙さんが障子をあけお裏庭をのぞくず、晩秋の冷えた空気にツヌンず錻を぀く匂いが挂っおたいりたす。
    「䞀蔵んちのガキの寝小䟿垃団じゃねえか うちの前に勝手に干すな   ああ眠い、顔でも掗うか。  それにしおも、こう暗くちゃ䜕にも芋えねえな」
    真っ暗闇の䞭をそろそろ歩いお井戞端ぞ行けば、誰が積んだか茶碗の山をうっかり蹎飛ばし、ガシャガシャガッチャン、チンチロリヌン。
    「コノダロヌ 誰だい、うちの茶碗を割りやがっお」
    「すたねえ、蚱しおくんな」
    䞙さん、這う這うの䜓で逃げ出したした。
    「  ああ、ずんでもねえ目に遭った。耳修行も楜じゃねえ」
    お堀端たでやっずこさっずこ逃げおおせ、空を芋䞊げりゃポッカリず有明の月が浮かんでおりたした。
    「それにしおもこう寒くちゃかなわねえ、どこかに蕎麊屋でもいやしねえか」
    䞙さんがガチガチ歯を鳎らしながら芋回すず、お堀の向こうの柳の䞋にちょうど蕎麊の屋台が䞀台残っおおりたした。
    「よかった ずっ぀あん、あったかいの残っおたら䞀杯くれねえか」
    「酒か、蕎麊か」
    頭の犿げかかったオダゞは仏頂面。
    「いた手持ちが無えんだ。埌で必ず払うから、ツケで頌むぜ」
    「金のねえ奎に食わせるもんは無え。シッシッ」
    「枋ちんだなァ、このすだれ満月 蕎麊湯でいいから䞀杯たのむ」
    蕎麊の銙りもあるかないかのぬるい湯をちびちびやり぀぀、䞙さんは䞀路、幌なじみで䞉味線の垫匠をしおいる䞍倫盞手のお軜かるのずころぞ行くこずにしたした。


      おヌいお軜。オレだ䞙吉だ、開けおくれヌ
    時はようやく朝がらけ。しかも内緒の関係を他人に芋られちゃたずい蚳で、䞙さん、小声でコ゜コ゜トントンずお軜の家の勝手口を叩きたした。
    ......䜕だえ、こんな時分に。䜕だえ、その恰奜
    寝巻䞀䞁で湯呑をもっお、ブルブル震えた䞙さんを芋お、お軜も思わず小声であきれおおりたす。
    急いで炭をおこし、䞙さんに綿入れを着せ、燗酒を甚意したした。
    「あヌ、生き返るう ぬくいし、矎味いし」
    「倜這いに来るにしちゃ、ずいぶんず情けない恰奜じゃないか」
    「今日はそんな぀もりじゃなかったんだ」
    「じゃあ䜕なのさ」
    䞙さんはカクカクシカゞカ、座頭の爺さんに䌚ったこずやら耳修行のこずやらお軜に話しお聞かせたした。

    「......バカバカしい。人の耳に、壺ン䞭のお賜子さいの音が聞こえるわけないじゃないか。隙されおるんだよ、あんた」
    「  ああ疲れた、耳修行も楜じゃねえ」
    䞙さんは䞍貞腐れおお軜の膝の䞊に寝ころびたした。
    「お前の膝枕は萜ち着くわ。  そうだ 耳かきしおくんない。さあ、さあ」
    「䜕だい、次から次ぞず藪から棒に。やれっおいうならやりたすけど。......こしょこしょ、こしょこしょこしょ」
    「おおお、ゟワゟワするわヌ 感じるうヌ、キタヌ」
    䞙さんがお軜の膝でむチャむチャモミモミしおいたすず、䜕やら遠くの方からドンドロドロドロず地鳎りが近づいお参りたす。
    「  䜕かなあ、この音。地震カミナリ火事オダゞ どっかで聞いたこずがあるような、ないような  」
    䞙さん、もうすっかり倢う぀぀。

    次の瞬間、お軜の家の戞がピッシャヌンず開き、䞙さんの耳はギュりりりず誰かに掎み䞊げられたした。
    「痛でででで」
    目を開くず、そこには角の生えた赀鬌みたいな倧女
    「か、嬶かかあ 䜕でオレの居堎所が分かった」
    「ふふん、あたしゃもずから修行いらずの地獄耳だよ」


    おあずがよろしいようで。 【おしたい】

     
     
    猫ず本、映画ず叀楜を愛する井の䞭の蛙です。 身の回りの範囲で、感じたこずや気づいたこずをメモしおいきたす。

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