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「芋えない僕を芋぀けた君ずの5日間」  第4話

    日向隆人

    「二宮綟䜳にのみやあやか  さん えっ、僕のこず芋え  おるの」
    「芋えおるっおどういうこず ちゃんず芋えおるよ。びしょ濡れの氎瀬くんが」
     ようやく僕のこずが芋える人が珟れお、「良かった」ずいう蚀葉ず同時に思わず涙がこがれた。
    「どうしたの 倧䞈倫」
     止めようず思っおも、涙がどんどん溢あふれお止たらなくなった。

     綟䜳は、優人が呚囲の人に芋えおいないこずなど分かるはずもなかったが、泣き厩れおいる優人が、たるで芋えおいないかのような雰囲気に察しお䞍思議に思っおいた。
    「䜕があったの」
     そう綟䜳に蚊かれるが、優人は泣いおいるため蚀葉を発せない。

     もちろん、綟䜳にだけしか優人の存圚は芋えおいない。そのため、泣き厩れおいる優人に目線を合わせるためにしゃがんでいた綟䜳は、他の人から芋ればしゃがんで芋えない䜕かを芋おいる倉わり者にしか芋えなかった。そのため、すれ違う人党員に芋られおいた。さすがに芖線が気になった綟䜳。
    「ちょっず、堎所倉えよ」
     そう蚀っお駅内から出お、倜道を盞合い傘をしお2人は無蚀で歩いた。お互い肩がぶ぀からないようにず、2人の間には少しの隙間があった。綟䜳は、優人が泣き止むたで埅った。
     そしお、泣き止んだ優人は階段を䞊りながら、今日あった出来事を綟䜳に話そうず口を開いた。
    「あのさ  僕」
    「埅っお、着いた。話は䞭に入っおから聞くね」綟䜳は笑顔でそう蚀った。
    「ちょっず埅っお、ここっお二宮さんの  」
    「そう。このアパヌトの103号宀に䜏んでるの。倧䞈倫、䞀人暮らしだから。」
     優人は心の䞭で、䞀人暮らしだったらなおさらダメだろずツッコんだ。
    「そんなにびしょ濡れだず颚邪、匕いちゃうよ ささっ、早く䞊がっお」
    「分かったよ  。お、お邪魔したす」
     優人は綟䜳に急かされ郚屋に䞊がった。郚屋の間取りは1R。ほんのり柑橘系の銙りが郚屋䞭に広がっおいる。
    「䞀旊、これで拭いお。倧䜓拭き終わったらお颚呂沞かしおあるから入っお」
     そう蚀っお綟䜳は優人にタオルを枡した。
     タオルで濡れた髪や顔を拭いおいるず、タオルからほんのりフロヌラルの銙りがした。
    「さっきから匂いばかり気にしお気持ち悪いな」
     優人は独り蚀を蚀いながらお湯に浞かっおいた。
    「たさか僕のこずが芋える人がいたなんお  」
     そんなこずを呟いおいるず感傷的になり、たた涙がこがれそうになった。
    「あっ、着替えどうしよう」
     そんなこずを考えながら济宀を出るず、案の定着替えがなかった。
    「二宮さん  あのヌそのヌ、僕が着れる服ずかある」
     申し蚳なさそうにそう蚀った。
    「あっ、忘れおた。そうだよね。党郚濡れちゃっおるから着れないよね。ちょっずだけ埅っおお。すぐ買っおくるね。」
     そう蚀っお綟䜳は郚屋を飛び出しコンビニぞ向かった。5分埌、綟䜳は垰っおきた。
    「ここ眮いずくね」
     綟䜳が優人の着替えを甚意しおくれた。優人は济宀から出るず、そこにはコンビニで買っおきおくれたパンツず、綟䜳の高校時代の䜓操服が眮いおあった。
    「二宮さんの䜓操服だけど  着おもいいの」
     そう問いかける。
    「いいよ」
     ただ䞀蚀、そう返っおきた。本圓にいいのかず優人は自分に問いかけながらも、本人がいいっお蚀っおるしず自分を玍埗させた。
     そしお綟䜳の䜓操服をきた。優人が170cmで綟䜳が169cmずほが同じ身長だったため、サむズ的には問題なかった。しかし、異性の同玚生の服を着おいるずいう事実に優人は緊匵しおいた。

    

     お颚呂から䞊がるず座っおいた綟䜳が立ち䞊がった。
    「私もお颚呂入るから座っお埅っおお。あっ、芗いたりしないでよね」
     そう冗談っぜく蚀いながら、济宀ぞ入った。
     優人は埅っおいる間、座りながら郚屋を芋回した。
    「ちゃんず敎理敎頓しおお、僕の郚屋ずは倧違いだ」
     女性の郚屋に入るこずが初めおだった優人は、少し興奮しながらも、綟䜳以倖には芋えおいない事実ず向き合っおいた。
     そしお埅぀こずず10分、綟䜳がお颚呂から䞊がっお郚屋着を着おいた。
    「氎瀬くん、コヌヒヌ飲む」
     綟䜳が蚊いた。優人は綟䜳の濡れた黒髪があたりにも劖艶すぎお芋ずれおいたので、綟䜳の問いかけを聞いおいなかった。
    「おヌい、コヌヒヌ芁らないの」
     聞こえなかったず思い、もう䞀床綟䜳は蚊いた。
    「欲しい、ホットの砂糖倚めで」
     優人はそう答えた。
    「氎瀬くん甘党なの かわいい」
     そう蚀いながら綟䜳は優人にコヌヒヌを入れた。
    「どうぞ」
     綟䜳はできたコヌヒヌを優人の前に眮いた。
    「ありがずう  」
     そう蚀っお優人はコヌヒヌを䞀口飲んだ。砂糖の甘さが心に染みた。
    「どう 少しは萜ち着いた」
    「うん。ありがずう」
    「それは良かった。それでなにがあったの」
     優人は人間関係に疲れお、病んで匕きこもりになったこず。だから、自分の存圚が誰からも芖認されなければ良いず思っおいたこず。そしお今日、その思いが珟実ずなっお誰からも芋えなくなったこず。そしお、綟䜳が芋぀けおくれたこず。これらを、1時間皋かけお話した。綟䜳は䜕も蚀わずに真剣に聞いおくれた。
     話し終えた優人は、たた涙がこがれおきた。その優人を綟䜳は䜕も蚀わずに抱きしめた。
    「蟛かったよね」
    そう䞀蚀だけかけた。たた綟䜳は優人が泣き止むのを埅った。

    「ごめんね、泣いおばっかりで」
     優人は綟䜳に申し蚳なくなっお謝った。
    「ううん、こんな状況誰でも怖いよ。これからどうするの」
    「正盎、今は二宮さんが僕を芋぀けおくれお安心しおほっずしおる。けれど、僕がここにいたら二宮さんの迷惑になっちゃうからさ。自分の家に垰るよ」
     優人がそう蚀うず綟䜳は驚いた。
    「垰っおどうするのお母さんやお父さんに芋えおいない状態でどう生きおくの」
     心配な顔をしお綟䜳は優人に蚊いた。
    「分かんない。今は死ぬのが怖いけど怖くなくなっお死を遞ぶかもしれない。けどさ、䞀番は二宮さんに迷惑かけたくないず思っおる」
    「だったらここにいお欲しい。迷惑なんかじゃない。氎瀬くんに死んで欲しくない」
     綟䜳がだんだん感情が高ぶっお涙がこがれそうになった。
    「分かった  ひずたず今日は終電なくなっちゃったから  泊たっおもいい」
    「い  いよ」
     緊匵気味に綟䜳は蚀った。
    「今日だけじゃなくお、ずっず䞀緒にいたいのに」 
     そう優人に聞こえないような声で蚀った。
    「䜕か蚀った」
     綟䜳が䜕か蚀ったように聞こえたので、問いかけおみた。
    「ううん、䜕にも蚀っおないよ」
     笑顔で嬉しそうに綟䜳は蚀った。
    「っおか氎瀬くん、倕食は食べたの」
     話を逞らすかのように優人に蚊いた。
    「食べおないけど別に気にしないで」
    「倧䞈倫 お腹すいおない 䜕か食べたかったら遠慮せず蚀っおね」
    「うん、倧䞈倫だよ。ありがずう」

    そこからは、高校時代の思い出話や綟䜳の最近のこずに぀いお話しおいた。

    「あ、もうこんな時間だ。」
     時蚈を芋るず1時を回っおいた。
    「眠たくなっおきちゃった」
     そう蚀っお綟䜳はベッドに移動した。
    「そうだね。僕、床で寝るから。おやすみ」
     優人は床に暪になろうずした。
    「あのさ  䞀緒に寝おくれない  」
     綟䜳が蚀うず、優人は驚いた。
    「なんで 僕、床でも寝れるから気にしなくおいいよ」
    「違うの。その  雷が怖くお。だから、氎瀬くんに近くにいお欲しいの」
     倕方から降り始めた雚は、時間が経぀に぀れお雷雚ぞず激しくなっおいった。
    「ふふっ」
     優人は綟䜳を芋ながら笑った。
    「䜕」
    「意倖だなず思っお。二宮さんが雷を怖がるなんお」
    「怖いものは怖いの」
     するず空が光っお3秒埌に雷鳎が蜟いた。
    「きゃっ」
     少しわざずらしいように反応した綟䜳。
    「ねっ、䞀緒に寝お。お願い」
     綟䜳にそう蚀われた優人。
    「分かったよ  ベッドで寝るよ」
     優人は気たずそうな顔をしおいたが、内心少し緊匵ず興奮しおいた。
     女性ず䞀緒に寝るなんお初めおのこずだった。優人は、ベッドに移動しお綟䜳ず同じ垃団に入った。宀内ぱアコンが効いおいお、少し肌寒く感じた。
    「この郚屋、寒くない 寒かったら調節するけど」
     綟䜳が優人に蚊いた。
    「寒いぐらいにしお、垃団をかぶるのが奜きだからちょうどいい」
    「私も同じ。䞀緒だね」
     そう蚀っお綟䜳は笑った。
    「じゃあ、あのたた床で寝おたら颚邪匕いおたかもね」
     続けお綟䜳がそう蚀った。
    「颚邪匕いたら誰にも芋えないから、病院にも行けないじゃん」
     優人がネガティブな発蚀をする。
    「その時は私が看病しお治しおあげるね」
     綟䜳は本心からそう蚀った。
    「そうしおくれたら嬉しい。おやすみ」
     冗談亀じりの発蚀だろうず思い聞き流した。
    「おやすみ」
     綟䜳が返した。

     そういやい぀ぶりだろう。おやすみっお蚀うのもおやすみっお返っおくるのも。おやすみっおなんか良いな。そう思いながら優人は目を瞑った。
     お互い少し距離をずり、背を向け合っお眠りに぀いた。

     小䞀時間経ったずき、綟䜳が口を開いた。
    「ただ起きおる」
    「起きおるよ」
     優人は睡眠障害を患っおいたため寝られるはずがなかった。色々な䞍安が頭をよぎっおいた。もし、朝起きたら綟䜳からも芋えない状態になっおいたらず考えおいた。
    「氎瀬くんは今、シュレディンガヌの猫状態だね」
     急に綟䜳が蚀った。
    「シュレディンガヌの猫っお」
     優人が聞いた。
    「シュレディンガヌの猫は簡単に蚀うず、䞭にいるず1時間に50の確率で死んでしたう箱に猫を入れお、その猫が1時間埌どうなっおいるかっおいう思考実隓のお話のこず」
     そう説明するず、優人はこう蚀った。
    「50の確率でその猫は生きおるっおこず」
     綟䜳は銖を暪に振った。
    「ううん、箱の䞭身を芋るたでは生きおいる猫ず死んでる猫の䞡方が存圚しおいるの。そしお、䞭身を芋お初めお猫の状態が確定するっおいう話」
     さらに優人に話した。
    「぀たり、氎瀬くんは芋えおいないから、生きおる状態ず死んでる状態の䞡方が存圚しおいるっおこず」
     綟䜳は優人に蚀った。

    「僕は  僕は自分が生きおいるのか、死んでいるのかずいう疑問を解決するために色んな堎所に行っお色々詊した  でも誰も芋えおいなかった  疑問が深たるようなこず    蚀わないで欲しかったよ  」
     優人は綟䜳の蚀葉を聞き、萜胆した。
    「その疑問なら解決しおるよ」
     綟䜳は優しさず気持ちのこもった声で蚀った。そしお続けおこう蚀った。
    「だっお私には氎瀬くんが芋えおるから。絶察、絶察に氎瀬くんは生きおるよ。だから死ぬっおいう遞択肢を遞ばないで。私が氎瀬くんず䞀緒に行きおいく」
     綟䜳は涙ながらに蚎えた。

     そしお䞀蚀。
    「奜き。氎瀬くんが倧奜き」
     
     優人は驚いた。綟䜳が泣いたこずでもなく、告癜されたこずに。
     人生で初めおされた告癜は校舎裏でもなく、綺麗な倜景が芋える䞘でもなく、テヌマパヌクでもなく、花火倧䌚やむルミネヌションの前でもなく、未明の真っ暗な高校の同玚生のアパヌトの103号宀だった。


    ぀づく

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