
テール・オブ・エレル 第三話

薄気味悪い機械が並ぶ洞窟。オダルが何かを作っている。
そこに温かい風が吹く。
オダル「フェニックス…!」
遠くの雪山の上をフェニックスが羽ばたいているのを眺めるオダル。
オダル「ついに…見つけた…おや?あの様子は…まさか!」
森の中にあるクーダの城の中。
エレルたちは大きな鉛筆で図形を描いていた。
ユコ「うんしょ」
エレル「重い…」
クーダ「頑張ってねー」
ユコ「なんですかこのえんぴつ」
エレル「何の意味があるんですか?」
クーダ「これは魔法陣の練習」

エレル「魔法陣は杖で魔力をその場所に残せば、完成しますよね?」
ユコ「いちいち重たい鉛筆で書かなくたって…」
クーダ「そこにどんな線を描くかを、しっかり目に焼き付ける事、そしてどことどこが交わっているか、何本の線がそこにあるかをイメージする事、そしてそれを身体で覚える事が、魔法陣を覚える近道なのさ」
エレル・ユコ「はーい」
しばらく、同じ形の線や丸、図形を描き続けていたユコとエレルに、
クーダ「こっちにきて」
クーダが書いた魔法陣の前に連れてこられたユコとエレル。
エレル「これは?」
クーダ「転送の魔法陣」
ユコ「へえ」
クーダ「ユコ。そこに立って」
エレル「あ…」
ユコ、魔法陣の上に立ったらクーダは魔法陣に手を押さえてる。
ユコの足が魔法陣に飲み込まれていく。
ユコ「おーお?」

そして、いつの間にか描かれていた真上にある魔法陣から、ユコの足が出てきた。
エレル「ユコ!」
ユコ「私、何が起きているの?!」
クーダ「転送」
ユコ「うわー!落ちるー!」
エレル「ユコー!」
ユコが下の魔法陣に飲み込まれ切ったところから、上の魔法陣から全身が現れ、
そのまま落ちたかと思うと、また上の魔法陣から現れるというループにハマっていた。
エレル「ユコ、大丈夫?!」
ぶおんぶおんと音を立てながら落ち続けるユコ。
ユコ「なんか慣れてきた!!」
エレル「クーダさんまたユコで遊んでる?」
クーダ「楽しいねぇ」
クーダが、ユコの落ち続けている身体を少しさわり、回転が加わった。
ユコは回りながら落ち続ける格好になった。
ユコ「目が回るー!」
クーダは腹を抱えて笑い出す。
エレル「ユコで遊ばないで!」
クーダ「はいはい」
クーダ魔法陣から手を離すと、ユコは下の魔法陣の上にしりもちをついた。
ユコ「い」
クーダはすかさず回復魔法をかけて
ユコ「たくない」
エレル「大丈夫?」
ユコ「エレルの顔がぐるぐる回ってる」
クーダ「エレルもやってみな。面白いよ」
エレル「私にも落ち続けろというんですか?」
クーダ「落ち続けることにどんな意味があるというんだい?」
ユコ「なんで私は落とされ続けたの…?」
クーダ「エレルは落とす側だよ」
エレル「ユコは落としませんよ?」
クーダ「しょうがないねぇ楽しいのに」
クーダは魔法陣にリンゴを置いた。
クーダ「魔法陣に手を触れて魔力を流してごらん」
エレル「はい」
エレル、魔力を流すが何も起こらない。
エレル「え?」
ユコ「どう言うこと?」
クーダ「まず転送する時はよーくイメージするんだ。その置かれているものが、どんな形をしていて、どれくらい重くてどんな色をしているのか。どんな匂い?そして、どういったエネルギーでそれが形成されているのかも、しっかりイメージするんだよ」
エレル「そんなに難しかったんですね、この魔法…」
ユコ「クーダは簡単そうにやるもんだから、
簡単に出来るのかと思った」
クーダ「そら、私くらいになれば、取り寄せる転送魔法だって使えるのさ」
エレル「取り寄せる?」
クーダ「今は、転送するための二つの入り口と出口に魔法陣を描いただろ?
ユコ「そこで私は落とされ続けたわけ」
トライルが息を切らせながらドアを開け入ってきた。

トライル「姉さん‼真紅鉱石とサラン真珠、菌根バラがない!」
クーダ「…まずいな」
ユコ「何がまずいんですか?」
トライル「以前、城にオダルが忍び込んだでしょ?」
エレル「はい」
クーダ「何か理由があってこの城に入ったはずだが、何を盗られたのか、わからなかったのさ」
エレル「ずいぶん荒らされていましたから」
トライル「片付けながら何が盗られたのか調べていたの」
ユコ「で、その盗られたものがわかったと」
トライル「その盗まれた物でできる魔法が」
クーダ「とてつもない破壊力をもった爆破魔法よ。一瞬で一つの国が滅んだと聞いているわ」
エレル「そんな…」
トライル「でも安心して、一つだけ足りないものがあってね」
クーダ「それは中々手に入らないものなんだよ」
ユコ「じゃあ、安心だね」
エレル「もう一つは何なんですか?」
トライル「フェニックスの羽」
ユコとエレル「ピーヨ!?」
クーダ、魔法陣を描く。
ユコ「何をしているんですか?」
クーダ「お取り寄せの魔法陣。これで取り出せたらいいんだけど」
エレル「盗まれたものがイメージ出来るから、取り戻せるのか!」
クーダ、魔力を流すが出てこない。
クーダ「オダルは結界を張っているようだね。そりゃそうか」
エレル「どうしよう!」
ユコ「ともかくピーヨを連れてこないと」
トライル「ピーヨは今、どこ?!」
エレル「たぶん屋根の上でひなたぼっこ」
ピーヨ「ぴーよー」
ユコとエレル「ピーヨ!」
ピーヨが窓からエレルたちがいた部屋に飛び込んでくる。
エレル「よかった!」

ピーヨの後ろで爆発が起きる。
窓の内側にクーダ防御壁の魔法を掛ける。
オダル「まさか、最後の素材までこの城に集まってくるとは、因果なものだな」
オダル、箒に上に立って乗っている。
エレル「オダル!」
オダル「エレル、少しはいい面構えになったじゃないか。修行は捗っているようだな」

エレルたち後ろへ下がる。
クーダ「大丈夫。この防御壁でオダルはこの部屋には入ってこられな」
?「ガー!」
魔法陣から火を噴きながらドラゴンが出てくる。
ガース「ガー!」
クーダ「ちぃ」
オダル「お前の転送魔法陣を使わせてもらった」
エレル「ピーヨはあの部屋に隠れて!」
クーダ、ピーヨの入った部屋に防護壁を置く
クーダ「ドラゴンの方は頼む!」
ユコ「ドラゴンを相手に出来ると思う?!」
ガンガンがんどんどんどん!ばんばん!
オダルが、無数のハンマーや剣を使って、
クーダの防御壁を打ち破ろうとしていた。
クーダ「じゃ、ユコ、こっちをお願い」
ユコ「ドラゴンなんかに負けないぞー!」

トライル、部屋中に蜘蛛の糸を張り巡らせる。ガース、多少、足を取られるが糸を引きちぎりながら、クーダの近くに歩み寄る。
クーダに噛みつこうとした瞬間、防御壁が出現した。
クーダ「エレル、有難う!」
エレルがクーダの防御壁魔法を模倣したものだった。
エレル「クーダさん、この魔法、めちゃくちゃ大変…!」
クーダ「壁の硬さは意思の堅さだよ!」
オダル「面白い。成長しているじゃないか、エレル」
エレル「う、耐えられない」
エレルの防護壁は破れるがユコが床を氷つかせ、トライルが蜘蛛の巣で引っ張ってガースを転ばせる。
ユコ「危なかった…」
ガース「ガーアー!」
トライル「まあ、転んだだけだからね」
ガース「ガー!」
ガース、炎を吹く。
ユコ「あちぃのきらい!」
トライル「蜘蛛の巣が溶ける?!」
エレル「それなら!」
エレル、火を突風で消す
エレル「よし」
クーダ「よくやった!」
オダル「よそ見か?」
オダル、無数の剣やハンマーで攻撃する。
防御壁は砕ける。すかさずクーダ防御の姿勢をとる。
クーダ「く…手数が多すぎる…」
エレル「クーダさん!」
ガース「ガー!!」
ユコ「エレル後ろ!」
エレル、ガースの爪の攻撃をギリギリかわす。
エレルのほほに一筋の血が流れる。
トライル「速い…」
ユコ「くらえー!」
ユコ、氷でガースの足を凍らせるが、すぐに氷は砕ける。
ユコ「え!」
エレル「ドラゴンの力、強すぎ…」
オダル「これで終わりだ!」
オダル、クーダを相手にしながらエレルたちに剣を振りかざす。
ユコ「やばいよ!」
エレル「守らなきゃ!」
エレル、防護壁を出して剣を抑えると後ろからガース、エレルに向かって勢いよく爪を突き刺す。
クーダ「エレル!」
オダル「フッ」

クーダ、エレルの後ろに防護壁を出しかばうが、
オダルが手で持っていた剣でクーダの腕を切り落とす。
部屋中の防御壁が消える。
ピーヨ「ぴーよ!」
クーダ「んっ!」
トライル「姉さん!」
トライル、クーダの千切れた腕にむかって、クモの糸を大量にまきつけ、止血した。
トライル、クーダのそばに寄った所、オダルに石像にされる。
ユコ「トライルさん!」
ピーヨ「ぴーよ!」
エレル「あぁ…」
エレルたち挟みうちにされる
オダル「これで終わりだ!」
ピーヨ「ぴーよ…」
エレル、ぎゅっと目をつむる。
ユコ「諦めないで!」
ユコ、氷でドーム状の壁紙を作る。
エレル「ユコ!」
ユコ「エレル、あなた、どんな時もあきらめちゃダメって自分で言ってたじゃない」
ユコ倒れる。
エレル「ユコ!」
ユコ「これは特別な氷でね、炎でも溶けない密度の高い氷なの」
エレル「うん」
ユコ「その分、魔力をふりしぼったから、私はもう動けない…」

エレル「うん」
ユコ「あとは、任せたから…ね?」
ユコ、ぐったりする。
エレル「ユコ、ありがとう」
オダル「溶けないなら、壊すまでだ!」
オダルは無数の剣とハンマーで。ガースは鋭い爪で、氷を削り続けている。
エレル「まかされたよ、ユコ」
ピーヨ「ぴーよ!」
氷のドームに亀裂が入った。
エレル「この時を待っていたの」
オダル「終わりだ!」
氷が割れる。
ガースが大きな口を開けて、炎を出そうとしたその時、
エレル「ユコ、ありがとう!ピーヨ、よろしく!」
ピーヨ「ぴーよ!」

ピーヨ、丸い氷をガースの口に入れる。
ガース「ガッ!」
オダル「まさか!」
ガース、火を吹こうとした瞬間、大爆発を起こす。
エレル「うわー!」
オダル、この隙にピーヨを捕まえる
ピーヨ「ぴーよー!」
エレル「ピーヨ!」
オダル「これで!完成だ!完成させるぞ!全てが終わり、
そして、全てが始まるんだ!!」

オダル、ピーヨの羽を毟ろうとしたとき、
オダル「ど、どういうこと…だ?」
ピーヨが、石化していた。
掴んでいたオダルもピーヨを触っていた手から石化していく。

エレル「一度見せてもらった魔法は使えるんです。前にも言ったけど」
オダル「くそ!!」
エレル「あなたには聞きたいこと一杯あるから、一旦、石になってもらいます」
オダル、空間に剣を出現させて、自分の両腕を切る。
オダル「くそー!」
エレル「え…?」
オダル、剣を蹴り上げ、それに乗り、
オダル「今回はエレルの機転にやられた事を認めよう」

オダル、剣の柄を足で挟み、剣の刃からエネルギーを噴出させ、
飛んで消えていった。
エレル「やった…」
エレル倒れる。エレル、意識を失う。
時計の針が何周かしたのち、
ピーヨ「ぴ、ぴー、ぴーよ!」
ベッドの上で気が付くエレル。

エレル「ぴーよ!」
クーダ「おはよう、エレル」
トライル「よかった、エレルずいぶん眠っていたわよ!」
エレル「お、おはようございます、トライルさんクーダさん…」
ピーヨに突かれるエレル。
エレル「ああ、ぴーよも、おはよ…!あ!」
クーダとトライル「あ?」
エレル「オダルは!?」
クーダ「エレルが追い返したじゃない」
エレル「クーダさん、腕は?!」
クーダ、エレルの前に両腕を出して握ったり開いたりしてみせた。
クーダ「この通り。元通りよ。まあ、まだ痛いけどね」
エレル「よかった…」
トライル「私のとっさの止血がよかったみたい」
クーダ「自慢の妹よ」
トライル「姉さん!」
クーダ「それにしても、よくもまあ、ピーヨを囮に石化魔法をかけるなんて思いついたわね…?」
エレル「あの時は必死だったから…あ!」
クーダとトライル「あ?」
エレル「ユコは!ユコは大丈夫?」
クーダとトライル、目を視線を落とし、
クーダ「ユコは…」
トライル「ああなってしまうとね…」
エレル、ベッドから立ち上がり、
エレル「ユコ!一体、ユコに何が!?」
?「エレル!」
扉の向こうから聞き覚えのある声が。
エレル「ユコ!」
ユコ「エレル、目が覚めたのね!」
扉が開くと、そこにはユコ…っぽい人が。
エレル「ユコ?」
そこにはまるで雪だるまのように丸々太ったユコが。
クーダ「魔力を使い切って気を失ったユコは」
トライル「目覚めてから、食欲にも目覚めて」
クーダ「食べてばかりで…こんな姿に」
ピーヨ「ぴーよ」
エレルに抱き着くユコ。
ユコ「よかった!諦めないでよかった!」
エレル「苦しい、ユコ、肉が厚くて息が出来ない…」
ユコ「生きてるって素晴らしい!」
エレル「今、死にそうなんだけど…」

クーダ「生きてるって素晴らしいね」
トライル「そうね、姉さん」
テール オブ エレル 終