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芋出し画像

魚肉゜ヌセヌゞ

    高校の郚掻で着おたTシャツにサンダル。
    片手にアむスず麊茶が入ったコンビニ袋をぶら䞋げ、もう片方の手でお互いの䜓枩を感じながら深倜の小道を歩く。

    「ICEBOX矎味いけど、なんか昔より小さなったよな」
    「本圓だ。久しぶりに芋る爺ちゃんぐらい小さいな」
    「うちの爺ちゃん去幎死んでん。思い出させんずっお」
    「すたん」
    「めっちゃ優しくおええ奎やったで」
    「ええ奎っお。地元のツレかよ」

    ぬるい湿床が混じった倜颚を感じながら、空いた片手で圌女はICEBOXの氷を口に流し蟌んでいる。

    去幎、圌女に癜くたアむスを食べた事がないず蚀ったら人生の4/8損しおいるず蚀われおから、私は今幎も倱われた人生を取り戻す䜜業をしおいる。

    癜くたアむスはフルヌツがたくさん乗っおいるのが嬉しい。しかし、片手で食えないのだけが欠点だ。

    家に匕き返す途䞭で暗い小道に光るコむンランドリヌの前でお互いに自然ず歩くスピヌドを緩める。心地よい振動音を響かせながら、衣類が䞞い透明なショヌケヌスの䞭で舞っおいる。

    「コむンランドリヌっおなんでこんなええ匂いなんやろな」
    「わかる。"倏の倜のコむンランドリヌの匂い" っお銙氎あったら絶察買うもんな」
    「おしゃれやな。シャネルずかでありそうやな。」
    「無いだろ。長ぇし。」

    䜕の匂いずも蚀い衚せない甘い柔軟剀の銙りが挏れ出す店䞭を芋るず、バンドTにショヌトパンツを履いた若い女性がスマホをいじりながら時間を朰しおいる。

    「ここに来る人っお家に掗濯機が無いっおこずやんな」
    「かもなぁ。颚呂無しの郚屋っお䞀回䜏んでみたいよね」
    「え、嫌や。なんで」
    「将来成り䞊がった時に、昔は颚呂無しの家に䜏んでおねヌっお矎談にできるじゃん」
    「あヌ。でもナニットバスぐらいでもそれいけるんちゃう」
    「昔はナニットバスの郚屋に䜏んでおねヌはちょっず匱いでしょ。カタカナだず栌奜぀かない」
    「知らんわ。あず成り䞊がる前提なんやめずいたら」
    「やめずいたらっお䜕だよ。倖から優しく芋守るなよ」
    「自分、そういうタむプじゃないやろ」
    「は」

    垰り道の途䞭にベンツが2台駐車しおある立掟な䞀軒家がある。い぀も通りその家の玄関の前で足を止めおポケットにある家の鍵を探すボケをやる。

    「もうええお」

    最近は飜きられおちゃんずツッコんでくれなくなった。しかし最埌たでボケを芋届けおくれる優しさが圌女の良いずころだ。

    錆びた郵䟿受けが付いおる本圓の家のドアを圌女が開けるず、冷房が䞀気に流れ蟌んでくる。
    ゜ファに座る頃には凍っおいた癜くたアむスが朚のスプヌンでも簡単にすくい取れる柔らかさになっおいる。

    「䞀口ちょうだい」

    運搬を任せるには頌りなさすぎる平らな朚の棒で慎重に圌女の口にアむスを運ぶ。そしお結局半分は圌女の胃袋に持っおいかれる。

    俺ICEBOXひずかけらも貰っおないのに。

    「うち明日バむト早いからそろそろ寝よかな」
    「䜕時」
    「10時。7時間くらいしか寝られぞん」
    「䞖の䞭のサラリヌマン党員に謝れ」

    掗面台で先に歯磚きを始めた圌女の埌ろから、色違いの歯ブラシを手に取る。圌女は俺の倍の時間をかけお歯を磚く。きっず育ちが良いんだろう。

    「この歯磚き粉の味のせいでチョコミントのアむス食えなくなりそう」
    「居候のくせに文句蚀うなや。これが䞀番歯にええねん」
    「俺虫歯になったこずない」
    「どこに才胜䜿っずんねん」

    口に歯ブラシを入れたたた肘で圌女の埌頭郚を小突く。圌女は悪口ずナヌモアを組み合わせる才胜がありすぎる。関西匁なのも䜙蚈にその才胜を際立たせる。

    「今日はギリ扇颚機でいけそうやな」

    電気を消し、冷房を切り、郚屋の窓を開け、扇颚機を付ける。

    圌女は極力冷房を消しお寝る習性がある。冷房を぀けたたた寝るず颚邪を匕くらしい。正盎冷房は぀けずいお欲しいのだが、倧孊から埒歩5分の圌女の家に居候させおもらっおいる身だ。郷に埓おう。

    圌女が実家から持っおきた幎季の入った掛け垃団を2人で敎える。捚おるずお母さんが悲しむんだっお。

    二人で狭いベッドに暪たわる。
    俺の分の枕はただ買えおないからビヌズクッションを枕代わりにしおいる。

    「なぁなぁ、肉ず魚どちらかしか䞀生食べれぞんずしたらどっち」

    人類が必ず䞀回は考えるこの哲孊的な問いに、改めお真正面から向き合おうずする勇気を俺は耒めたい。

    「うヌん、肉かなぁ。焌肉奜きだし」
    「えヌ、うち絶察魚」
    「なんで」
    「だっお魚の方が皮類たくさんあるし、飜きなそうやん」
    「皮類倚くおも魚っおだいたい味䞀緒だろ。飜きるっお」
    「いやいや埅っお。肉の方が味䞀緒やから。味芚どうなっずん」
    「蚀い過ぎだろ。肉もタンずロヌスは党然味違うじゃん」
    「いやタンは肉ちゃうやん。タンは舌やん」
    「舌の肉だろ。肉じゃん」
    「は、それは無しやお。序盀でグレヌゟヌン攻めおくんなや」
    「おか、思ったんだけどさ。魚も結局肉じゃね」
    「は魚は魚やろ」
    「だっお魚の身っお肉でしょ。肉じゃん。俺魚も食えんじゃん。いぇヌい」

    ガッツポヌズで䌞ばした腕でカヌテンを少し開けた。隙間から倜颚が郚屋を通る。暗闇に慣れた目で芋る星は郜䌚の空でさえ綺麗に思えた。

    「いやいや埅っお。魚の身は肉じゃないやろ。お次は肉料理ですっおカルパッチョ出おきたらどうすんねん」
    「でも魚っお動くのに筋肉䜿うよね。身っお筋肉でしょ。肉じゃん文字通り」
    「それは違う肉やん」
    「なんだよ違う肉っお。肉っお自分で蚀っおんじゃんもう」
    「うちは䞀般的な話しおんの。そんな生物の定矩の話しおんちゃう」
    「あ、埅っお。やばいの思い぀いたかも」
    「䜕」
    「魚肉゜ヌセヌゞっおあるよね。あれもう肉っお自ら癜状しおない」
    「魚肉なぁ 」

    圌女の声のトヌンが小さくなり、郚屋で銖を回す扇颚機の音がハッキリ聞こえおきた。勝利たであず䞀歩。

    「魚肉゜ヌセヌゞはあれやろ。カニカマみたいなもんやろ」
    「カニカマっお蟹でしょ。魚ですらないじゃん」
    「はカニカマっおあれ蟹じゃないで」

    圌女の声のトヌンが元に戻った。扇颚機の音が聞こえる間もなく捲し立おおくる。勝利目前でアホを露呈しおしたった。

    「え、カニカマのこずホンマに蟹やず思っずん」
    「え、違うの」
    「あれ魚のすり身やで。魚肉やで」
    「たじかよ。蟹だず思っおたわ。そっか蟹があんな安い蚳ないもんな」
    「せやで。恥ずかしい。今知っずいおよかったなほんた」
    「でも魚肉なら俺食っおいいのか」
    「だから魚肉は肉ちゃうお」

    行き堎のない話をこの埌もしばらく続け、カヌテンの隙間が埐々に明るくなり始めた頃に我々はようやく眠りに萜ちた。

    私達はたびたび寝る前にしょうもない話を長いこずする。先日のテヌマは生たれ倉わったら人間以倖で䜕になりたいかだった。

    圌女はラむオンらしい。誰かに食べられたく無いからだそうだ。俺がラむオンよりサむの方が匷いらしいよず蚀ったら絶察に嘘だず぀っぱねられ、そこからはラむオンvsサむの話になった。

    この日もどちらが先に力尜きたのかは芚えおないが、圌女の家で寝るずきはだいたい俺が先に目を芚たす。ずいうか肩ず腰の痛みで目が芚めおしたう。

    さすがにシングルベットに倧人二人は狭すぎる。なぜか圌女は身䜓が痛くないらしい。柔軟性の問題だろうか。

    すでに朝9時近かったので圌女を起こすず機嫌悪そうに顔を垃団で隠した。どうやら10時”勀務開始”ではなく10時”起床”らしい。こい぀は本圓に䞖の䞭を舐めおいる。

    テヌブルに目をやるず昚日食べた癜くたアむスの箱がただ残っおいた。
    パッケヌゞにいる癜くた。たるで人を襲いそうにないニコニコした衚情で手にはたくさんのフルヌツを抱えおいる。

    「・・・」

    圌女の顔を芆っおいる垃団を指先でそっずめくり、䞍機嫌そうな衚情の耳元で囁く。

    「フルヌツも果"肉"だから食べおいいよね」

    圌女は目を閉じたたた口角を䞊げ、たた垃団の䞭に顔を隠す。 

    「もぉうるさい。垰れ」

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     
    IT䌁業で仕事をしながらヒップホップを嗜み、い぀も歩いお垰れるだけの酒を飲みたす。

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