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Photo bymaope

景色の中の一部になる


    「ねえ、なんかいいアイデアない?」


    頬杖をついてスマホに問いかける。

    『もちろん!でも、ちょっとだけ教えて。
    「いいアイデア」って――』

    なんのアイデアが欲しいのかと、AIが訊きいてきた。

    暮らしの工夫、人間関係、仕事や勉強のこと。
    悩んでる内容でもいいよ、と画面に記された言葉は不思議と優しい。

    「恋愛関係。どうやったら、あのひとにわたしを認識してもらえる?」

    はじめて彼を見た瞬間、恋に落ちた。
    通学で乗る電車の中で、彼はスマホの画面に釘付けになっていた。耳にはワイヤレスイヤホン。

    画面を操作していないから、動画か何かを見ているんだろうと思った。

    大学の授業にあわせて乗る電車だから、時間はまちまち。
    会えない時の方が多いくらい。
    でも、会えたら一日ハッピーだ。

    だけど。

    彼はいつだってスマホの画面に夢中。
    わたしの存在なんて気づきもしない。
    あたりまえだけどさ。

    彼にとってわたしは、たくさんいる乗客のひとり。ただの風景。
    しかも、日によってはいない時もあるような、ランダムな存在。

    毎日、目に入るようにすればいいって、AIは提案してくれたけれど、通学時間にあわせたらそれは難しい。

    うーん。
    バイトでもする?
    彼が乗る車両はいつでも同じだから、時間さえ合わせれば会えるかな。

    まずは景色の一部から脱出しないと始まらないのはわかってる。

    いや、景色の中に必ずいる存在になる方が先か。


    一歩踏み出したら、なにかが変わるかな。


    (600字)



    #片想い文芸部
    #33日ライラン


    ナルさんの企画に参加です。
    最近はGoogleさんではなくて、AIに聞くことが増えました。
    恋愛相談にものってくれました。

     
     
     
    信州在住の物書き。エッセイ、掌編小説など思うままに綴ります。創作大賞2025 中間選考通過(フード部門)。 2026年は小説『羅針盤の示すその未来(さき)へ』をオールカテゴリ部門に応募。桜や花、航空機、風景などを中心に撮影も。記事中の写真は基本、本人撮影。たまに夫(掲載了承済)。

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