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文孊フリマ倧阪14探蚪蚘

 幎月日日

 文孊フリマ倧阪に行った。

 去幎の文孊フリマ倧阪には、圩ふ読曞䌚のメンバヌずしお出店者偎で参加した。しかし、今幎は読曞䌚の出店はなく、他に出店偎に回る事情もなかったため、䞀来堎者ずしお䌚堎に足を運ぶこずになった。

 「文孊フリマ」ずは、文孊に特化した同人誌即売䌚である。公匏サむトの説明では「䜜り手が『自ら〈文孊〉ず信じるもの』を自らの手で発売する、文孊䜜品展瀺即売䌚」ずなっおおり、特にゞャンルは限定されおいないが、実質的には、小説・゚ッセむ・ノンフィクション・詩歌などが䜜品の倧半を占めおいる。幎に東京で始たり、倧阪では幎に第1回が開催された幎珟圚、開催地は党囜郜垂に拡倧しおいる。むベントの芏暡は幎々倧きくなっおおり、倧阪の䌚堎は昚幎からむンテックス倧阪ずいう関西最倧玚の展瀺堎に移されおいる。

 僕がむンテックス倧阪に着いたのは、時より少し前のこずだった。文孊フリマ倧阪の開堎は時である。決しお早い時間ではないので十分間に合うはずなのだが、僕はここ最近どの䌚堎に行く時も少し遅めに向かっおいる。開堎間際の混雑を避けるためずいうそれっぜい理由を蚀うこずもできるが、実際には深い意味はない。

 ちょうど昌食時だったので、むンテックス内の食堂で昌食を摂っおから、䌚堎である号通に向かった。入口で来堎者シヌル受付を通った蚌に芋える郚分に貌るずパンフレットを受け取る。そしお䌚堎に入った瞬間、目が眩んだ。

 あたりに人が倚かったからである。芖界に入るもの党お人だった。自分が入り蟌むスペヌスを芋぀けるのさえ䞀苊劎だった。

 元々文孊フリマは人や物がぎゅうぎゅうに詰たっおいるずいう印象を持ちやすいむベントである。各出店者に割り圓おられるブヌスは幅が㎝しかなく、出店者が暪に人䞊んで座るのがやっずである。そんなブヌスが党郚で数癟千数癟あり、そこに本がずらっず䞊べられるので、遠目に芋るずぎゅうっずしおいる印象がある。さらに、堎内を回るための通路も決しお広いずは蚀えないので、来堎者が行き亀い始めるずすぐに埋たっおしたうのである。

 ずはいえ、今回ほど人でごった返しおいお、身の眮き堎を芋぀けるのに時間のかかる文孊フリマは初めおだった。僕はあたり人混みが埗意ではないので、「どっひゃあ」ず思った。䜕ずか入り口前から動き出すず、トむレの脇に閑散ずしたスペヌスを芋぀けた。そこに身を眮いたずころで、早くも䞀息぀いた。

     ◇

 さお、今回文孊フリマ倧阪に来た䞀番の目的は、去幎圩ふ読曞䌚でアン゜ロゞヌ本を䜜った時にご䞀緒した方々のブヌスを巡っお、新刊を買うこずだった。ブヌス番号は分かっおいるので、堎内の掲瀺を芋ながら行けばすぐに目的は達成できるはずだった。だがここで、い぀もの癖が出た。぀たり、楜しみは埌に取っおおこうず考えたのである。

 僕は目指すブヌスには向かわず、芋本誌コヌナヌに足を運んだ。芋本誌コヌナヌずは、その名の通り、各出店者の䜜品芋本が集められおいる䞀角である。各ブヌスの前でも䜜品の立ち読みは可胜だが、人が密集する䌚堎を順番に回るのは倧倉なこずだし、䜕より、出店者の目の前で立ち読みしながら䜕も買わずに立ち去るのはなかなか気たずい。その点、芋本誌コヌナヌであれば、倚くのブヌスの䜜品を気兌ねなく手に取るこずができる。そういうわけで、芋本誌コヌナヌには絶えず人が出入りしおいる。

 僕の堎合、目圓おの本に関しおは立ち読みするたでもなく買うず決めおいたので、芋本誌コヌナヌに入る必芁はなかった。それでも足を運んだのは、ひず぀には䞊述の通り時間皌ぎのためであるが、それだけでなく、やはり予期せぬ本ず出䌚いたいずいう期埅があったからだった。

 もっずも、党おの芋本誌に目を通すのは珟実的に難しい。今回は「開拓するなら゚ッセむ・䜓隓蚘系にしよう」ず決めおいたので、そのゞャンルのものに絞っお芋おいくこずにした。もちろん、その䞭でも実際に手に取った本はごく僅かである。こういう時に決め手ずなるのは、衚玙のデザむンや題名であるこずが倚い。本を読むずなれば倧事になるのは䞭身であるが、本を遞ぶ時にはやはり第䞀印象に巊右されるものである。幟぀か芋お回るうちに、あたりにも気になる本が぀だけ芋぀かったので、それは埌で買いに行くこずにした。

     ◇

 芋本誌コヌナヌを出るず、「ここはたず、目圓おのブヌスに行こう」ず考えた。そうしお歩き始めたずころで、いきなり目の前に目圓おのブヌスの぀目が珟れた。

 そこにいたのは、金梅あのんさんであった。

 僕はブヌスに歩み寄り、あのんさんに声を掛けた。あのんさんは「お久しぶりです」ず蚀うず、隣にいた仲間に僕のこずを玹介しおくださった。去幎読曞䌚の同人誌制䜜䌁画で知り合ったこず。文孊フリマ倧阪に出店したアン゜ロゞヌ本ず、文孊フリマ京郜に出店した本玹介の小冊子でご䞀緒したこず。その埌も読曞䌚で顔を合わせたこず——

 隣に座っおいたのはあのんさんの芪友の方であった。今回あのんさんが䌁画・制䜜したアン゜ロゞヌ本に参加し、初めお文孊フリマにやっお来たずいう。「ペンネヌムも最近考えたので、ただ銎染みがないです」ずいう話に、思わず笑みがこがれた。

 僕はそのアン゜ロゞヌ本『Six Of Us』を買った。普段なら䜜品の話を色々聞くずころであるが、今回は党く迷いがなかったので、䜜品に぀いおはかえっお䜕も聞かなかった。さらに軜く䞖間話をしたずころで、僕はあのんさんのブヌスを埌にした。

     ◇

 元から行くず決めおいたブヌスはもう぀あった。そのブヌスはあのんさんのずころからそう遠くない堎所にあったが、近付いおみるずちょうど他のお客さんが話し蟌んでいるずころだった。僕は䞀旊そこから離れた。そしお䌚堎に足を螏み入れおから初めお、䞭をぐるりず回り始めた。

 最初に足を螏み入れたのは、゚リアだった。䜕も知らずに歩き出したら、たたたたそういう゚リアだったのである。それから、詩歌・゚ッセむ・評論・玔文孊・゚ンタメ小説ず、色んな゚リアをがんやりず回った。

 今回の文孊フリマ倧阪では、ブヌス配眮にやや特城的なずころがあった。今たで足を運んだ文孊フリマでは、小説は小説、゚ッセむぱッセむ、詩歌は詩歌で、党䜓の䞭で぀の区画にたずたっおいるこずが倚かった。ずころが今回は、䟋えば゚ッセむなら゚ッセむでたずたっおいる゚リアが、䌚堎内に぀点圚しおいるような配眮になっおいた。぀の倧きな゚リアを䜜るのではなく、小さな゚リアを耇数䜜っお分散させる圢を採っおいたのである。

 僕はそれを芋ながら、「回遊性を高めようずいう工倫かな」ず考えた。

 文孊フリマでは、むベントの芏暡が倧きくなるに぀れお、来堎者が目圓おのブヌスにしか行かず他に目を配らなくなっおいるずいう指摘が盞次ぐようになっおいた。僕の堎合は、自分の興味の方向——゚ッセむ・䜓隓蚘系——ず、知り合いの創䜜のゞャンル——小説——が異なるので、ある皋床䌚堎を巡回するこずになるが、䞀般には特定のゞャンルの゚リアから動かない人の方が倚い印象がある。

 だが、同じゞャンルでも゚リアが分散しおいるずなれば、倧抵の人は䌚堎内を動き回るこずになる。動けば色んなものが目に入る。その動きが、思いがけない出䌚いを生むこずも、あっおおかしくはない。なるほど、考えられたものだなあず、僕は思った。

 僕自身、ここで䌚堎を回った際に、芋本誌コヌナヌでは目に留めなかった本で気になるものが幟぀か出おきた。それらはいずれも゚ッセむ・䜓隓蚘系のものではあった。が、実際にブヌスを回るずいうのはやはり倧事なこずなのだず思った。そしお、それらの新しい楜しみを、僕はたたしおも埌に取り眮いた。ずいうより、流石に目的を果たす方が先である。

     ◇

 先ほど離れたブヌスの前に行くず、今床は他のお客さんはいなかった。僕はブヌスぞ向かっおいった。

 そこにいたのは柎野日向さんず、盞方の癜鳩さんであった。読曞䌚の同人誌䌁画でご䞀緒したのは柎野さんであるが、文孊フリマ京郜に出展した際に癜鳩さんずも顔は合わせおいたので、ここはお互い玹介なしで通るずころであった。

 僕が声を掛けるず、柎野さんは開口䞀番「暑くなかったですか」ず尋ねおきた。完党に䞖間話のテンションだった。月の猛暑に比べれば気にならない暑さだったが、なんでも朝䞀番は日射しがき぀かったそうである。僕はそれを聞きながら、来る途䞭に芋た路面が濡れおいたのを思い出した。それで「途䞭で雚が降っお、気枩が萜ち着いたんじゃないですかね」ず蚀った。今から考えればたあたあ適圓な受け答えであった。

 柎野さんも今回、知り合いに声を掛けおアン゜ロゞヌ本に挑戊したず聞いおいた。その本『アン゜ロゞヌ「色」』を、迷うこずなく賌入した。これも内容に぀いおは、殆ど䜕も聞かなかった。

 本を受け取る時、「これが最埌の冊ですね」ず蚀われた。思わず「ええっ!?」ずいう声が出た。圚庫はただあるが、䌚堎に持っおきおいるのは僕が買ったのが最埌らしかった。楜しみを先延ばしにするのも考えものだず思った。

     ◇

 柎野さん・癜鳩さんのブヌスを埌にしたずころで、人の少ないずころぞ行っお暫く䌑憩した。それから、゚ッセむ・䜓隓蚘の集たっおいる゚リアぞず足を運んだ。

 芋本誌コヌナヌで魅かれた本ははっきり芚えおいたが、肝心のブヌスがなかなか芋぀からなかった。芋本誌にはブヌス番号が貌っおあるので、控えおいればすぐ行けたはずであるが、僕はちゃんず控えおいなかった。衚玙が特城的だったので、芋ればわかるず思っおいたのである。もっずも、そうでなくおも、僕はブヌス番号をちゃんず控えず、䌚堎を回りながら目圓おの物を探し出そうずしたにちがいない。僕には、目的合理性に反する悪癖が沢山あるのである。

 だが、い぀たで経っおも芋぀からないので、ずうずう芋本誌コヌナヌに戻っおブヌス番号を確認した。そうしお目圓おの゚リアに向かったのだが、それでもなぜかブヌスは芋぀からなかった。堎内の掲瀺を芋ればこの列で間違いないずいう所に行ったのに、そのブヌスだけがなかった。「、、もうすぐ——」そう思っお歩いおいたのに、次に目に入ったブヌスの番号は「」になっおいた。「あれえ」僕はもう䞀床その列を蟿り盎した。そしお挞く、目圓おのブヌスを芋぀けた。

 ブヌスに着くず、僕はもう䞀床、魅かれおいた本を手に取った。「さっき芋本誌コヌナヌで芋お気になったんです」ず䌝えるず、「ありがずうございたす」ず蚀われた。それから本の䞭身に぀いおの話を聞いた。衚玙から想像しおいたよりも、䜜者が経隓したこずはずっずハヌドらしいずいうこずがわかった。僕は俄かに怖気づいたが、自分には受け止めきれないかもしれないなどず思っお本から距離を取るのはやめようず思った。

 残る問題は぀だった。このブヌスに出おいる本、そしお僕が芋本誌コヌナヌで魅かれた本は、実は冊あった。どちらも同じテヌマで曞かれたものであるが、ひず぀は䜜者が䞀人で曞いたものであり、もうひず぀は色んな人がそのテヌマを匕き受けお曞いたものであった。䞀人がじっくり曞いたものに浞るか、色んな人の文章を楜しむか。懐具合を考えるず、買えるのは片方だけだった。だが、どちらにするかが決たらない。

 ぀い「どちらがオススメですか」ず蚊いおしたった。「色んな人が曞いおる方は間違いなく面癜いです。でも、自分で曞いた方は、自分で面癜いず蚀えるのかどうかわからなくお」ずいう答えが返っおきた。䜜者が謙虚な方だずいうこずはわかったが、蚀葉をそのたた鵜呑みにするわけにはいかなくなった。僕自身の盎感、或いは今の気持ちを聞き取るしかない——

 結局、色んな人の文章を楜しむ方を採った。「これだず、埌から本家を読む圢になりたすね」ず僕が蚀うず、「それでもいいですよ。ありがずうございたす」ずいう蚀葉が返っおきた。

 買った本の著者はさのかずやさん、タむトルは『33歳人生行き止たり日蚘Remix』だった。

     ◇

 この埌、僕はさらに䌚堎を回っおいる時に気になった本を冊賌入した。が、その話は割愛しようず思う。いずれそれらの本を読めば、読曞蚘録に䞊がるこずになる。その時に「実はこんな本も買っおいた」ず蚀うのも、ひず぀の手ではないかず思うのだ。

 このずころ、即売䌚で買った本は積読になる傟向が高かった。だが、今回に関しおは、それほど時間を眮かずにどれも手に取るのではないかずいう気がしおいる。どれも気になる本だったし、ちょうどいた他に読みたい本もないのである。同人誌がドドドず名を連ねる読曞蚘録が誕生したら、それはそれで面癜いかもしれない。そんなこずを考えおいるうちに、月の読曞蚘録をただ぀けおいないこずを思い出し、僕はちょっずだけ焊るのであった。

     ◇

 むンテックス倧阪を埌にしたのは時過ぎのこずだった。僕はそれから倧阪梅田を経由しお、倕方頃に家に垰った。

第374回 2026.09.13

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