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ヒガシジャズ研物語 #4

    4th Session
    「4人」
    最初は、
    みんな気づかないふりをしていた。

    「今日休み?」
    「用事やない?」
    「まぁそのうち来るやろ。」

    でも、
    部室の空いたスペースだけが、
    現実だった。

    サックスがいない。

    5人で始まったバンド。
    校内ライブ。
    久留米。
    全部、
    あの5人だった。

    だから誰も、
    簡単に受け入れられなかった。

    ベイサイドのイベント当日。
    海風が強かった。
    ステージ裏では、
    他の出演者たちが騒いでいる。

    TakUmiは、
    何度も入口の方を見ていた。

    来るかもしれない。
    ギリギリで。
    そう思っていた。

    でも、
    最後まで来なかった。

    4人でステージに立つ。
    ぽっかり空いたフロント。

    演奏が始まる。
    音は鳴っている。
    でも、
    何かが足りない。

    TakUmiは、
    その日初めて、
    演奏中に悔しさで頭が真っ白になった。

    ライブ終了後。
    誰もすぐに喋らなかった。

    機材を片付けながら、
    ドラムが小さく聞く。
    「…これからどうします?」

    沈黙。

    そして、
    TakUmiが言った。
    「大会、出る?」

    全員、
    顔を上げる。

    「県大会。」

    軽音楽コンテスト。
    グランプリだけが、
    名古屋の全国大会へ行ける。

    ベースが笑う。
    「いや、無理やろ。」

    TakUmiは真顔だった。
    「でも行きたくない?」

    沈黙のあと。
    ドラムが言う。
    「…名古屋、行きたいです。」

    その瞬間。
    4人の空気が変わった。

    “楽しくやる”
    から、
    “勝ちに行く”
    へ。

    そこから、
    練習はさらに狂気じみていく。

    コピーじゃ勝てない。
    普通じゃ埋もれる。
    歌モノの強豪校の中で、
    インストだけで勝つには、
    圧倒するしかなかった。

    周囲からも言われた。
    「ジャズで軽音大会?」
    「歌無し?」
    「ウケ狙い?」

    笑われた。
    妬まれた。
    でも、
    4人とも、
    もう止まれなかった。

    全国で、
    自分たちの音楽を鳴らしたかった。

     
     
    「みんなヒガシでジャズやろうぜ」でスタートしたヒガシジャズ研。 しかし仲間が集まり、音を重ねるうちに目標は変わっていく。 全国大会へ。 歌もの中心の高校軽音に、インストジャズで挑むTakUmiとヒガシジャズ研。 これは、現役高校生たちの青春と挑戦の記録。

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