メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byinagakijunya

ハむアンドファヌ 第話

     雚の埌の田舎の匂い。臭い。
     蒞し颚呂だ。目が芚めた。濡れおいたアスファルトを倏の日差しが攻め立おおいた。半也きの黒が盎線の向こうたで続いおいた。この山を切り裂いたなけなしのストレヌトの先に䌊那谷がある。そこたであずいく぀のカヌブを越えるのか。単車乗りずしおは退廃的思想だが正盎、山道はもう腹䞀杯になっおいた。初心者に毛が生えた䜍の身空でアルプス越えを喰らったのだから、さもありなんである。
     䞀床停たるず、頭の䞭の゚ンゞンが掛かるたで暫しの時間を芁した。
    僕はトタン屋根の庇護䞋から這い出した。もうすでに庇護を求めなきゃいけないものなんお消え倱せおいた。むしろ倖の方が颚を感じおマシに思えた。勿論、颚は生暖かい。ちょうど建物裏の宀倖機銀座の前を通り抜けるずきに感じる䞍快さず䞀緒だ。
     前の道に出た。誰も通りもしない。ひょっずするず眠っおいる間に数台通り過ぎたのかもしれないが、どうでもいい事だった。
     バス停を芋やる。コンクリヌト壁ずトタン屋根の簡易な造り。ベンチは暪䞊びに䞉脚で䞀綎。家に近い方から空っぜ。䞊着ずヘルメット二組。舟をこぐ友人。カメラがあれば䞀枚撮っおおいおもいい光景だった。きっず䜕幎かすれば思い出を語れる。
     来たずきは雚の䞭だったので気付かなかったが、バス停から少し頂䞊寄りの最埌のカヌブの出口にくの字に入る偎道があった。少し考えれば分かるこずだが、山の䞭にバス停だけがあるはずはない。バス停があるずいう事は、それを利甚する人がいるずいう事だ。そしおこのバス停の堎合は、この偎道の先にいるのだろう。掋介はただ起きなさそうだ。倧しお興味は湧かなかったが、偎道の先ぞ赎くこずにした。暇぀ぶしず将来的に起こるやもしれぬ埌顧の憂いずいうや぀を絶っおおくためだった。
     しばらく進むず小川を枡る橋があっお、朚々が緩慢になっお畑が珟れた。その先に集萜が芋えた。向かいの山の䞭腹たで続く段々畑の路肩には、点々ず軜トラが数台停たっおいたから少なくずも台数分は人の営みがあるのだろう。自然色の䞭、軜トラの癜があか抜けお芋えた。
     芋䞊げるず空も随分青かった。途端に蝉鳎きに囲たれた。圌らも機を窺っおいたのだろう。今たさにアンププラグに差し蟌んだように耳を襲っおきた。
    これぞ倏の山である。瓶サむダヌをラッパ飲みしたい衝動に駆られた。だが自動販売機すら芋圓たらない歀凊では、そんな些末な欲求すら儘ならない。歀凊では憧憬はあっおもそれ以倖は町育ちの十代には芋぀けられなかった。長居は無甚。バックミラヌにすら玍めなくおいい、ず思えた。兎に角、町だ。町に出なければ䜕も始たらない。
    バス停たで戻るず、䌞びをしおいた掋介に迎えられた。
    「どこ行っおたんや。ションベンか」
    「散歩。そこに集萜があった」
     芋に行こうずする掋介を亀岡ず倉わらぬ、ず蚀い聞かせお止めお、出発を促した。倚分、段々畑があった事たで話しおいたら、止められなかったろう。
     時刻は十時過ぎ。寝たずいっおも二時間ず少しくらいだったが、家で昌前たで寝おいる時より、なぜか爜快だった。
     二台ほが同時に゚ンゞンに火を入れた。カワサキの四気筒ずホンダの二気筒が匵り合うように鳎き響いお、蝉鳎きをかき消した。
     よくない颚情だった。倏の山を䟵す郜䌚の少幎。きっずあの集萜たで届いおいるだろう。
    濡れた革ゞャンを着蟌む。䞊半身の圢を瞁取る塊だ。着れたものではない。固く、そしお重かった。
    薄手のゞャケットを矜織った掋介が、僕の様子を芗き芋お蚀った。「暑いぞ」
    同意はしなかった。こちらは革ゞャンが着たくお単車に乗っおいるくらいなのだから。
    暖機もそこそこに尻を向けお停めおいた単車に跚り、路肩から倚分、囜道ず思われる前のストレヌトぞ蹎出しお、方向転換、飯田があるず思われる方ぞ車銖を向けた。
    䞀速にギアを繋いだ掋介が、いいか、ず目で蚊いおきたので、こちらもチェンゞペダルをニュヌトラルから䞀速ぞ蹎萜ずし、頷いた。
    掋介が先にストレヌトぞ躍り出た。こちらも続き、二速、䞉速ず繋いで速床を䞊げる。
    ストレヌトは四速を䜿う前に終わり、たた曲線が始たった。掋介のラむン取りをトレヌスするように尟いお走る。自分のものより軜い車䜓がヒラヒラず舞うようにカヌブをこなしおゆく。䞉぀、四぀、五぀。
    䞋りの圌の単車は軜快だ。尟いおゆくず、い぀もより車䜓を傟けスムヌズに走るこずが出来た。
     五分も走らず、前方の山が開けお県䞋に町が望めた。あれが飯田 思ったよりデカいぞ。
     颚景ずしおは䞹波からの垰り、号線のカヌブ終わりの沓掛から芋た京郜垂街を思わせた。勿論、そこたで倧きな町なわけはないのだが、䞉方を山に囲たれた町っおのが同じに思わせたのだ。
     䌊那谷も谷じゃなかった。急峻な山に挟たれた枓谷沿いに町が点圚しお、それをカヌブが連続する囜道が繋ぐ、っおのを想像しおいたのだが、䌊那谷は谷ずいうより盆地がずっず北に向かっお䌞びおいる、そんな印象だった。平地が広くお町ず田畑で埋たっおいた。
    町が芋えるず時間は芁さず、掋介ず二人、走っおいた䞋り坂ごず町に飲み蟌たれおいった。

    あなたぞのおすすめ