
雨の子守唄
雨の降る夜。
ザァという音が屋根を伝い、
やがて私の身体へと降りてくる。
眠れない夜は、
雨が静かな子守唄になる。
闇へ溶けていく意識のそばで、
不安をひとつずつ洗い流すように。
「大丈夫。」
そう囁きながら、
母が幼い子の背中を
そっと、トントンと叩くような優しさがある。
梅雨は、
湿った空気に心まで曇る季節。
それでも私は知っている。
この季節にしか聴けない、
誰にも見えない優しさがあることを。
雨は今日も、
眠れない心を静かに抱いてくれる。
雨は空が泣く音ではない。
不安を抱えた人のために、
世界が静かに息をする音なのかもしれない。