メインコンテンツへスキップ
見出し画像

欲しがりで嫌になるな~

    思いつきで親知らずの抜歯をしてから4年ほどが経った。それからは3ヶ月に1回の定期健診だけでお世話になっていた歯医者に、初めて『診察』という形で訪れたのは数日前のこと。

    朝起きたときから歯茎に違和感があって、鏡で痛むところを確認すると、ぼんやりと腫れている気がした。

    仕事をしていても気になる。痛いわけじゃないけど、腫れてるし、つっぱってる感じがする。思い切って歯医者に電話すると、お昼休憩の時間のようで電話は繋がらなかった。

    電話が繋がらないと、余計に気になってしまう。なんだかさっきより腫れている気さえしてくるから不思議だ。

    診察が再開する時間にアラームをセットして、時間になってすぐに電話をしたら、先着に負けて繋がらない時間が数分あったけど、少ししてから電話が繋がった。

    繋がっただけで、なぜかホッとする。

    とはいえ、本題はここからなので、痛みについて軽く説明をすると「ちなみに15分後に来れたりしますか?それか19時ならキャンセルが出たので大丈夫です」と言ってもらったので、仕事をある程度のところまで片づけて、実家に戻ることにした。

    帰宅すると、タイミングよく母が仕事から帰っていたので、電動自転車を貸してもらい、少し遠い場所にある歯医者へ到着したのが18時50分頃。

    「定期健診じゃないのにここの歯医者に来るのは、親知らずを抜くとき以来だな…」と思いながら、待合室の椅子に腰かけたら、なぜか異様に悲しくなった。

    『悲しい』という表現があっているかは分からないけど、かなり落ち込んでしまって、ぼーっとしてしまう。

    ハッキリとした理由は分からないまま、ただ悲しい気持ちを抱えながら待っていると、名前が呼ばれたので診察してもらう。

    歯の状態をチェックしてもらったり、CTを撮ってもらったりしたけど、結局明確な原因は分からないまま、『歯茎が荒れている』という事実だけがぽつんと取り残された。

    「風邪とか、免疫力がさがってるとかね。いろいろ考えられるので、歯磨きはもちろんですが、ビタミンとったり、健康には気をつけていかないと」。

    そんなことを言われた記憶だけが残っている。

    帰り道、20時前の空気は涼しくて、なんだか心地がいい。「もう夏だな~」と思った。

    お昼は少し雨が降っていたから、ほのかに地面が濡れているような感じもして、雨が乾く前のアスファルトの匂いは独特だ。

    停めていた自転車を専用のエレベーターに乗せようとしたら、エレベーターの前に中学生ぐらいの女の子たちが4人いて、すごく楽しそうに笑ってた。

    あまり急いでなかったから、この子たちが降りるのを待つか…と思っていたけど、一向に降りる気配がなくて、さすがに行くか…とエレベーターの前につくと、ちょうど上がってきたエレベーターに彼女たちの友達が乗っていたらしく、みんなで「わっ!!」っと驚かせていた。

    あまりにもバッドタイミング。私があともうちょっと待てていたら、みんなもっと楽しかっただろうな。ごめん……という気持ちを抱えながら、エレベーターに乗り込もうとすると、一人の子が「ほら、早くして、すみません!」ってすごく謝ってくれた。

    「全然大丈夫ですよー」って答えたけど、「すみません」はこちらの方なので、本当に気にしないでほしい。

    「楽しそうだったな」って思いながらエレベーターを降りて、電動自転車にまたがると、風が本当に気持ち良くて、「せっかくだから長めに自転車を漕ぎたい。ちょっと遠回りしようかな」と思ったけど、5秒ぐらいで「いや、さすがに面倒だからやめよう」って思い直して、いつもの道を走っていく。

    ホルモンバランスだね、結局。年を重ねている、それも確実に。

    今までなら考えたことも無かった場所にニキビができるようになった。メイク前に化粧水を塗ると、驚くぐらいおでこがザラッとしていてドキッとする。あれ、もしかしてこれ、肝斑ってやつ?

    そういう不調に気づく機会が本当に増えた。

    年を重ねることが嫌だとは思ったことはないけど、「こんなに分かりやすいのか」と思うと、すごく身構えてしまう。

    20代の前半は自分の身体に対するコンプレックスが外見への執着に結びついていて、食べたり、吐いたり、落ち込んだり、苦しくなったりと、かなりキツい日々を過ごしていたけど、ある時からそういうものに対する執着が「どうでもいい」という虚無感に変わった。

    そして、悪い意味で身体を「雑に扱う」ことで、”外見に対するコンプレックス”みたいな、SNSで嫌というほど見かける言葉は、私の手元から離れていき、比べられる必要のない、比べる必要もない自分になれた気がしていた。

    だけど、このままじゃ健康じゃない。

    自分の身体と向き合うことは、「=外見と向き合うこと」に繋がるから、閉じ込めていた何かの蓋を開けることになりそうで、考えるだけでとても苦しくてつらいけど、「健康ではいたい」と思う自分がいることに気づいて、なんだか心がふわふわとしている。

    欲しがりで嫌になるな~って思った。

    だけど、どこか呆れて笑っている自分もいて、今選びたいことを素直に選べばいいのかなとも思う。



     
     
    「非日常のきらめき」と「生活の匂い」の共存が人生のテーマ🏊1995年生まれ大阪在住

    あなたへのおすすめ