
死ねないから生きている
「なぜ生きているのか?」
と問われれば、
「死ねないからだ」
と答えざるを得ない。
死に至るような病を罹患しているわけではない。
とはいえ、自ら人生を終わらせる勇気もない。
だから、何ら希望を持てなくとも、
もはや死んでいるのと同じような日常であっても、
僕は生きている。
「今がどん底なら後は這い上がるだけ」
「人生は何度でもやり直しができる」
「明けない夜はない」
そんな甘言を耳にすることもある。
けれど僕には響かない。
それは今まさにどん底にいるからだろうか。
あるいは、誰の言葉も胸に届かない精神状態だからだろうか。
どうもこういった類の甘言は、
人生をうまく生きられる人々、
苦しみを知らない人々の言葉に思えてならない。
それならば、どん底にいる者同士で
互いの傷を舐め合っているほうが自然だ。
傍から見れば、暗闇のなかで
同じ穴の狢同士が光を避け、
寄り添っているだけに見えるかもしれない。
異物の群れのように見えるかもしれない。
けれど、そこにも確かに生がある。
死ねないから、生きている。