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【noteでBL】バクが食べる

 こちらの䌁画に参加したす。

お題「平成レトロ」「ハト」「睡魔」
ゞャンル人間ドラマ
文字数玄4950文字
あらすじ

 倩野あたの 拓海たくみず池島いけした 真䞀郎しんいちろうが、倧孊の新蚭孊郚で出䌚い同居を始めたのは、2000幎頃の事である。
 同䞖代の皆さんはご蚘憶だろうか。80幎代リバむバル真っ只䞭である。
 二人が暮らすアパヌトに、ベルボトムずシルバヌアクセで装った、拓海の兄、瑞暹みずきが珟れおもそれほどおかしくはない。
 拓海は慄くが真䞀郎はハト掟←この蚀い方も昭和だ。
 あずは睡魔がどこに入るかの問題だが、本シリヌズの堎合前回たでの流れの䞭にヒントがある。


        1
 真䞀郎しんいちろうず暮らし始めお、実家の教䌚の匏兞に、出垭しない事を決めた五月蟺りから、いくら寝おも寝おも眠くおひたすら寝続けるみたいになった。

 真䞀郎が起こしおくれるから、あず必須も遞択も科目はほずんど真䞀郎ず同じだから、倧孊には行けお講矩も聞けお、出された課題もひず通りこなせおはいるけど、
 家事は真䞀郎に䞞投げだし、家賃は折半にする玄束なんだから、早くバむト芋぀けお始めなきゃなのに、必芁最䜎限を枈たせたら八時間ずか十時間、こないだは倧孊が䌑みの日だからっお、十五時間も寝倒しちゃったりしお、䞀䜓どうなっおるんだっお自分でも呆れる。

「今たでの分を取り返そうずしおいるんだろう。心配するな」
 真䞀郎はそう蚀っおくれるけど情けない。せめお倢くらい良いダツが芋たいのに、うなされお叫んだりもするから、
「拓海たくみ。倧䞈倫か」
 目を芚たしおわざわざ僕の郚屋に来おくれお、ベッドのそばに座り蟌んでくれたりしお、

「バクが食べる」
 ずか蚀っおくるから笑っちゃった。

「䜕それ  」
「知らないか。悪い倢を食べる、生き物だ」
「知っおるけど、そんな真面目に蚀う事じゃないよ  」
「悪い倢だ」
 暪向きに寝そべっおいた僕の手に、真䞀郎の手を重ねお少しだけ、力を蟌めおくる。
「消えおくれるのなら信じるだけの重みはある」

 結局六月いっぱいくらいたで党く䜿い物にならなかったのに、真䞀郎には呆れた様子も無くお、謝っおも謝られる理由が分からないみたいだった。


        2
 80幎代リバむバル、っお聞いた事くらいあるけど、僕より五歳から十歳は䞊の人たちの流行りだから、圓時赀ちゃんだった僕にはピンずこない。

 フリンゞが付いた革ブヌツに、裟が広がったゞヌンズ。僕もチャラそうずか蚀われるけど、僕よりも䌞ばし気味にした茶髪は肩に掛かる長さで、銖に二、䞉連重ね付けされたシルバヌもゞャラゞャラず重たそうで、80幎代っお本圓にこんなだったっけ
 いや。そんな事より僕は今、ずんでもなく驚いおいるんだった。

「お兄ちゃんっ⁉」
 玄関から入っおすぐのダむニングで、テヌブルの、僕がい぀も座っおいるむスから兄の瑞暹みずきが、振り向きながら「よっ」ずかビヌル猶を持ち䞊げおくる。
 真䞀郎はその察面のい぀ものむスに座っおいるけど。

「なななんでっ なんでいきなりここにいるのっ あずそのビヌル 頂き物の、神戞の地ビヌル冷やしおたのに、昌間っから」
「真ちゃんが出しおくれたんだよ」
「勝手にあだ名を付けないでください」
「り゜だ お兄ちゃんが勝手に冷蔵庫、開けお芗いたんだよね」
 真䞀郎だったら絶察にグラスも䞀緒に出しおあるはずだ。

「俺たちはあず䞀幎は呑めないから、呑んでもらえおちょうどいい」
「お兄ちゃんの味方ずかしなくおいいよ真䞀郎」
 詰め寄ったら、真䞀郎はちょっず赀くなった顔を逞らしお片手で芆っお、きっず僕が垰るたでの間に、䜕かからかわれたり困らされたりしおたんだ。

「真面目だねぇ。九州男児のくせに」
「九州の、人間だからです。アルコヌルの匊害もよく知っおいるので」
 真䞀郎が立ち䞊がっお自分のむスを勧めおきたけど、僕は銖を振っお兄を芋䞋ろした。
「䜕しに来たの」

 関東の、倧孊に行っおそのたた向こうで就職した兄だ。
「ここ誰から聞いお  っおお父さんかお母さんだね」
「正解」
 日に焌けた指先で僕を差しながら、ニダ぀いおくる顔も小麊色。

「いや。驚いたのはこっちだよ。久しぶりに実家芗いおみたら、可愛い匟は家にも教䌚にもいなくお」
「可愛いずか。ふざけないで」
 舌打ちした僕の手元に、真䞀郎が麊茶を入れたコップを眮いおきた。もう䞀床むスを勧めおくれるけど、僕はたた銖を振る。

「府内の倧孊に通っおいるはずなのに、お友達ず同居 匏兞にもこのずころ顔を出しおいたせん ははヌん、ずお兄ちゃん、考えたね。コむツ芪に内緒で女の子連れ蟌むか、しれっず同棲しおいやがるなず」
「お兄ちゃんず䞀緒にしないでくれる」
 関東で遊ぶようになっお、倧孊も途䞭で蟞めちゃったっお、䞡芪から聞かされただけの話を僕から責め立おる気はしないけど。

「それで ここに来お疑いは解けた」
 わざずみたいにゆっくりず頬杖を぀いお、目線を右に巊に動かしおから、
「たぁ、ある皋床は」
 ずニダ぀いた笑みを広げおくる。

「倉に含み持たせた蚀い方しないでよ。他に甚が無いんだったら垰っお」
 ほヌい、ず適圓な返事しながら立ち䞊がったのに、玄関には向かわないでなんでか真䞀郎に近寄っお、隣から肩を抱き寄せた。

「これから真ちゃんず飯食っお、カラオケ行くんだけど、お前も来る」
 目の前の光景が、僕には信じられなくお気が遠くなる。
「  な、ん、で、そんな事になっおんの  」

「金なら気にすんな。おごっおやるよ。お兄ちゃん、瀟䌚人だから」
「助かりたす。ありがずうございたす」
 頭を䞋げる流れで、真䞀郎が肩に回された腕をそっず倖しおいお、そこだけはホッずしたけど、

「真䞀郎、カラオケずか嫌いだよね 新歓ずかで誘われおも断っおたじゃない」
「倧人数で、酒に酔いながら歌うのは奜きじゃないだけだ」
 詰め寄ったらやっぱりちょっず赀くなっお、僕からは目を逞らしおいる。

「二、䞉人くらいでそれぞれが奜きな歌を知れるず考えれば興味深い」
 そう蚀われたら僕も真䞀郎が歌うずこずか、すっごく芋おみたい。


        3
「真ちゃんは、䜕歌っおくれるのかなヌぁ」
「ですからあだ名で呌ぶのはやめおください」
「䞖代だし、呌ばれおたんじゃないの しんのすけくん」
「真䞀郎です。キャラクタヌの個性が匷いので、実際は連想されにくいようです」
 倕飯の間もカラオケでも、二人はなんだかテンポ良く、しゃべり続けおいお、真䞀郎の方で盞圓気を遣っおくれおるよねっお、僕は気が気じゃない。

 遞曲甚のリモコンを操䜜しおいた真䞀郎の手元を芗いお、
「マゞか」
 ず笑い出す。
「真ちゃんそれ行ける」
「はい」
「すげぇ。平成のレトロっお昭和」

 むントロが流れ出すず、真䞀郎はマむクを取っお立ち䞊がっお、
「立぀んだ。わざわざ」
 っおたた笑い出すから、ムッずしながら聎いおいたけど、

 歌が始たるず、タむトルに『熱き』ずかあるのに北囜の歌みたいで䜕、っお思ったけど、「唇」ずか真䞀郎の声で聞こえるずちょっずドキッずしお、䞭盀から駆け䞊がっおいく音階が、サビに入った途端に、

「『嗚呌』 『嗚呌』っおマゞで入っおる歌詞、俺初めお芋たっ」
 爆笑し出したお兄ちゃんの声がめっちゃくちゃ邪魔 黙れ っお兄じゃなかったら怒鳎り぀けたい。

 だけど、真䞀郎は笑い声なんか気にならない感じに、涌しい顔で歌い䞊げおいお、真䞀郎の声にも合っおいお、それなのに兄は爆笑し続けおいお、僕の感情がもう、どっちに振れたらいいんだか。
 歌が終わるずもちろんすぐに、真䞀郎に向かったけど。

「すごい 初めお聎いたけどこの歌、カッコむむ ねぇ誰の曲っ」
 ゜ファの隣たで近寄っお芋䞊げたら、真䞀郎は目を二、䞉回瞬かせた埌で赀くなっお、

「  そんな、反応になるずは思わなかった  」
 目を逞らしおう぀むいおいるけど、笑われるより誉められる方が恥ずかしいっお䜕。

「品行方正なアキラだなぁ。もっずこう、巻き舌で発音しなきゃ」
「すみたせん。埡本人を超えるはずがないのでモノマネをする぀もりはありたせん」
 リモコンを操䜜しながら話す兄には応察しお、手招きされお近寄ったりしおいる。

「もしかしお、これずか行ける」
「はい。歌えたすよ。埡芁望ずあれば」
「そっちは次䜕入れようずしおたの」
 隣から手を䌞ばしお、倚分怜玢履歎を芋せただけで「ぶはっ」ず吹き出した。

「いい すっごくいいよ。どんどん入れちゃっお。今日はもう真䞀郎くんのオンステヌゞ」
 ヒュヌ ず僕には出せないし出したくもないトヌンの声を䞊げおいる。


        4
 結局兄だけが酔っ払っお、僕たちのアパヌトの、兄匟だからっお僕の郚屋に泊たり蟌んで、次の朝もテヌブルの僕のむスに座っお、真䞀郎が䜜っおくれた朝食、ごはんず味噌汁ずハム゚ッグ食べおたりしお、
「俺は埌でいい」
 ず真䞀郎は、自分のむスに僕を座らせお台所に立ったたたでいる。

「おかわり」
 突き出されたお茶碗を受け取っお、よそいに行っおくれるのに、それ芋おニダニダ笑いながら、
「すげぇな。お前の圌氏の仕䞊がり具合」
 なんお蚀っおくるから、
「やめおよ」
 反射的にずがった声が出た。

「僕はずもかく、真䞀郎に倱瀌だ」
 蚀っおる間に真䞀郎が戻っお来お、お茶碗枡しおいるのに返事もしない。気を悪くしながら僕も手を合わせお自分の朝食に向かう。

「付き合っおるみたいなもんだろお前たち、奜き同士だろ」
 ただ蚀うかっお、目の前の兄を睚もうずしたら、
「はい」
 テヌブルのそばに立ったたただから、真䞀郎の声が䞊から降っおくるみたいに聞こえた。

「自分は、拓海が奜きですし、拓海からも、奜かれおいるず思いたす」
 それ蚀っちゃうんだ。蚀っお良いんだ。じゃあ僕も、っお思いかけたけど、芋䞊げた真䞀郎の衚情は、どこか固くお、
「普通に、友達付き合いをしおいたすので、安心しおください」
 声色は萜ち着いおいるのにきっぱりず線が匕かれるのを感じた。

「ハト掟だねぇ。非暎力・䞍服埓っおガンゞヌか」
 兄だけが笑い声を䞊げたけど誰も぀いおこない。
「これ笑うずこやで」
「すみたせん。九州から来た田舎者ですので、仰っおいる意味が良く分かりたせん」


        5
 玄関先でも思いっきり兄貎颚を吹かせお、
「䞡芪には䞊手い事話しずいおやるよ」
 ずか蚀っおくるから、ムカ぀く。
「䞊手い事っお䜕。勝手に思い蟌んで、䜙蚈な真䌌しないで」

 ダむニングに戻ったら真䞀郎は、自分の食事を始めたずころで、その察面のい぀もの僕のむスに座ったら、ようやく䞡肩ず背䞭から力が抜けた。
「ごめんね真䞀郎。色々ず䞍愉快な思いさせお」
「俺は瑞暹さんが嫌いじゃない」
「そうなの」
 確かに気が合っおいたみたいだけど、それはそれで耇雑なんだけど。

「拓海の事を心配しおいる」
 持ち䞊げたお茶碗越しにだけど、真䞀郎は僕に向けお埮笑んでいお、やっず昚日から垰っお来られた感じがした。

「俺の事はもちろん信甚し切れおいない。昚日が初察面だから仕方ないな。気持ちを玠盎に衚珟する事が苊手な人だ、ず思いながら芋おいれば面癜い。拓海に䌌おいる」
「どこが」
 ハム゚ッグの黄身を箞で割りながらフフッず笑っおいる。
「そう感じる気持ちも分かる。幹は同じでも、枝の向きに䌞び方はそれぞれだからな。結果的に、拓海の理解が深たった。俺には有難い」

 萜ち着いたら思い出した事があっお頭を抱えた。
「バむトの面接、たた萜ちた」
「ちょうど良かったな昚日は。瑞暹さんの盞手を、ずっず俺䞀人では厳しかった」
「ここに来おから僕、ずっず䜕にも出来おないよ」
「それを決めるのは拓海じゃない」

 二぀䞊んだ僕たちの郚屋の窓から、ちょうど差し蟌んできた光が、真䞀郎の背䞭偎に埌光みたいに広がっお、偶然なんだけど偶然にしおも出来過ぎおいお、
「自分では、自分の姿は芋えないから気付けないんだ。俺は助かっおいる」

 僕の方はもう、奜きで奜きでたたらないんだけど、お互いの、これたでに気を遣っお蚀い出せずにいる。
「もちろん友達ずしおだから安心しろ」
「うん」


        6
   ずか蚀っお、次の幎が明ける頃には真䞀郎の郚屋で、真䞀郎の垃団に入り蟌んで䞀緒に眠るような関係になっちゃったけど。

 もちろんただ眠るだけじゃなくお、臎した埌の睡魔に襲われお、最䜎限の䞀枚は身に着けおいるけどお互い玠っ裞で、うなされお叫んだりもするから目を芚たしお、

「真䞀郎」
「あぁ  。良かった倢で  」
 手を握るくらいじゃ足りないなっお、抱き寄せお頭や背䞭を撫でおいるうちに、震えが治っおくる。

「バクが食べるよ」
 ずか蚀っおみたらフフッず、笑い出しおくれる。

 食べる偎に回っおみお分かった事だけど、真䞀郎の悪い倢だったら食べたいし、僕には矎味しい感じがする。

了  

いいなず思ったら応揎しよう

岡埜 由朚叀偏光 䜕かしら心に残りたしたらお願いしたす。頂いたサポヌトは切実に、私ず配偶者の生掻費の足しになりたす