正義の視点
正義の数は、人の数だけある。
性別や国、年齢、時代、そして置かれた環境によって、正義のかたちは姿を変える。
ある者にとっての正義が、
別の者にとっては悪になることさえある。
そして時として、正義は「数」でもある。
より多くの賛同を得たものが、その時代の正義と呼ばれる。
百年前の悪が今の正義になることもあれば、その逆もまた然り。
正義とは、定形を持たないもの。
その時々の個人の利害や、
固執するものによって簡単に変化する。
だからこそ、正義は争いを生む。
「正義」という名の信念を掲げて拳を上げたとき、その周囲に様々な思惑を持つ人々が集まってくる。
ただ、それだけのこと。
人間だけが振りかざす、正義。
視点ひとつで、姿を変える正義。
正義とは、一体何なのだろう。
今の私には、守るべき正義がない。
正義の正体に気づいたとき、
それに踊らされ、翻弄されていた自分にも気づいたからだ。
どこにも正解などなく、
ただ人間が作り出した幻影。
私は今、
他者たちが掲げる正義をただ遠くから眺めながら生きている。
それが心地よく、
けれど、どこか滑稽で、哀しい。
