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ショートショート プロのバナナ

     ーー粋でいるには、わざとらしくてはいけない。
       かといって、さりげなさすぎても野暮になる。

     遠い昔、師匠に言われたことを思い出した。まだ、付き人をやっていた頃だ。いつもスーツをばりっと着こなして、格好のいい人だった。

     ーー理想は、そう、チャップリンだな。

     よくそう言っていた。次に続くのは「映画を見ろ。」だ。「バースターキートンはすかしてていけねえや。」軽快な江戸弁が、それだけで芝居の台詞みたいだった。

     楽屋の鏡で化粧を確認する。舞台の踊り子さんを確かめる。客の入りはそこそこ。最近は少し不景気だ。靴を履き直す。

     拍手が沸き立つ。踊り子さんへの。袖から見る舞台のライトが眩しい。40年。これで最後だ。反対の袖から黄色いバナナの皮が放り投げられる。

     さりげなく歩く。転ぶ。

     付き人を5年。この芸にいきつくまで8年。それからずっと、これだけ。

     お客が笑う。何も知らずに。それでいい。
     それが、それこそが、粋ってもんよ。

    ショートショート No.335

    本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です


    たはらかにさんのゆる企画、毎週ショートショートnoteに参加しています。
    今週のお題は「プロの」「バナナ」です。

    たらはかにさんのお題発表はこちら

     毎週、参加作品の中から1作が「王様のアイディア」のHPに掲載されるので、お題発表と同時に掲載作品のご紹介をなさっています。今週は真岡まなさんの作品です。ちょっと胸がむずむずするような甘く可愛らしい恋愛作品。
     この紹介と同時に、そーっと、他の参加者の紹介もなさっていて、今週は私が紹介いただきました。だいぶ持ち上げてくださっています。気恥ずかしいです。

     たらはさんは、参加作にコメントをつけてくださいます。全部読むの大変だと思う。しかも、作品が出揃ってから自分は書くというマゾっぷり。同じマゾとして頭が下がります。
     作品は、技巧が光りつつも、ちょっと意地悪なのが多めの印象です。書く方向性が全然違うので、私個人としてはとても勉強にもなります。いつも楽しみにしております。

    前回のたらはさんのお題(「みんなで」「動かない」)解答

    いきなりシリアス。ちょっとダーク。最後の台詞が光ります。

     いつもどうもありがとうございます。そしてお疲れ様です。
     今後もますます、良い作品が集まりますように!


     
     
    小説(ショートショート)を書いています。オンライン文芸コミュニティhoshiboshi運営スタッフ(星々ラジオ担当)。

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