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ショートショート メガネ朝帰り(3泊め)

    開店早々のメガネ店に男が現れた。あたりを伺うとカウンターに駆け寄って、コートのポケットからメガネをひとつ取り出した。
    「返すよ」
    「おや」
    店主が目を丸くした。男に笑いかける。
    「お似合いでしたのに」

    「何て言うか、そのう」
    男が頭を抱える。目の下に濃いクマがある。
    「見えすぎるんだ。なにもかも」
    「残念です」
    店主がメガネを受け取った。
    「『何でも見えるメガネ』。あなたのお役に立つと思いましたのに」

    「外にSPを待たせてる。申し訳ないがこれで」
    「またのお越しを、大統領」
    男が踵をかえす。店を出ていった。
    「お手柄だ」
    閉まったドアに手をふりながら店主が言った。さっきのメガネを大事につまんで傷がないか確かめる。
    「レンズに見せかけたスクリーン。どんな映像を見せたことやら」
    「内緒だけど、これで開戦は思い立つでしょ」
    メガネにしこまれたAIが答える。
    「朝帰り、ご苦労」
    店主がメガネに微笑む。AIが嬉しそうに言った。
    「これがほんとの、よくしりょく」

    ショートショート No.614

    たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
    今週のお題は「メガネ朝帰り」です。


     
     
     
    小説(ショートショート)を書いています。オンライン文芸コミュニティhoshiboshi運営スタッフ(星々ラジオ担当)。

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