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ChatGPTでGoogle検索は終わる? それでもAlphabetがAI時代も強い理由|Gemini・Maps・Cloudで読む巨大帝国 #48

    Alphabet。ティッカーは、議決権のあるClass AがGOOGL、議決権のないClass CがGOOGです。

    ChatGPTが登場したとき、「Google検索は終わるのではないか」と何度も言われました。検索窓へキーワードを入力するより、AIへそのまま質問した方が速い。Googleの巨大な広告ビジネスを正面から壊しかねない技術だったからです。

    ところが2026年現在、Alphabetはむしろ成長を加速させています。直近Q2の売上高は前年同期比+24%、Google Cloudは+82%。Geminiアプリの月間利用者も9.5億人まで拡大しました。SEC

    では、なぜGoogleは倒れないのでしょうか。

    その答えは、この会社が単なる「検索窓の会社」ではないからです。GoogleはAIモデルを作り、そのAIを動かす半導体とデータセンターを持ち、さらに完成したAIをSearch、YouTube、Maps、Android、Chrome、Gmailなどへ配ることができます。

    つまりAlphabetは、AIを作る会社であり、AIを動かすインフラを持つ会社であり、AIを世界中へ届ける入口まで持つ会社です。

    しかも、この構造は生成AIブームが始まってから慌てて作ったものではありません。

    BackRub、Google Search、Maps、Android、Cloud、TPU、Transformer、そしてGemini。

    今回はGoogle約30年の歴史をつなぎながら、AlphabetがなぜAI時代でも世界株の中心にいるのかを考えてみます。


    オルカン組入銘柄上位

    2026年4月末のMSCI ACWIでは、Alphabet Aが2.27%、Alphabet Cが1.88%。同じAlphabetとして合計すると、約4.15%を占めていました。MSCI

    Google株を個別で購入していなくても、オルカン投資家なら間接的にかなり大きな金額をAlphabetへ投資していることになります。

    NVIDIA、Apple、Microsoft、Amazonと並び、Alphabetの成長や失速は全世界株式そのものにも影響する。だからこそ、Geminiだけでなく「Googleという企業全体」を理解しておく意味があります。


    Googleの原点は、検索結果への不満

    Googleの物語は1995年、スタンフォード大学から始まります。

    大学院生だったラリー・ペイジ氏とサーゲイ・ブリン氏は、当時の検索エンジンとは違う方法で「本当に重要なWebページ」を見つけられないか研究していました。

    当時の検索では、検索キーワードがページ内に何回登場するかなどが重要視されていました。しかし、それだけでは質の低いページでも上位に表示される可能性があります。

    そこで2人が着目したのが、

    「他のWebページからどれだけリンクされているか」

    でした。


    BackRubとPageRank。Google最大の発明は「重要度」を測ること

    2人が開発した検索エンジンは、当初BackRubと呼ばれていました。

    中核となったのが、後のPageRankです。

    PageRankとは、Webページへのリンクを「推薦票」のように考え、単にリンク数だけではなく、どれだけ重要なページからリンクされているかまで評価する仕組みです。

    学術論文でも、重要な論文ほど他の重要な研究から引用されます。Googleはそれに近い考え方を、巨大なWeb世界へ持ち込みました。Google自身も、PageRank研究から現在の会社が生まれたと説明しています。blog.google

    検索結果が少し便利になったという話ではありません。

    世界中のWeb情報へ「順位」をつける仕組みを作った。

    ここからGoogleは始まっています。


    Googleという名前にも、巨大な野心がある

    BackRubはその後、Googleへと名前を変えます。

    Googleという名称は、1の後ろにゼロが100個続く巨大な数字googol(ゴーゴル)をもじったものです。

    世界中に存在する膨大な情報を整理する。

    そして、誰でもアクセスできるようにする。

    現在でもGoogleのミッションである「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」という考え方は、創業期からほとんど変わっていません。


    1998年。10万ドルの小切手から会社が始まった

    1998年、Sun Microsystems共同創業者のアンディ・ベクトルシャイム氏が、まだ正式には設立されていなかった「Google Inc.」宛てに10万ドルの小切手を書きました。

    その後Google Inc.が設立され、カリフォルニアのガレージから事業が始まります。

    検索が急速に成長すると、Googleは単に検索結果を良くするだけではなく、Gmail、Maps、YouTube、Android、Chromeなど、人がインターネットへアクセスする入口そのものを増やしていきます。

    ここが後のAI戦略にもつながります。

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    Google Mapsは、Google社内から生まれていない

    Googleの歴史で特に面白いのが、Google Mapsの誕生です。

    現在ではGoogleを代表するサービスですが、原型を開発したのはGoogle社員ではありません。

    2000年代初頭、オーストラリアのシドニーで、ラース・ラスムセン氏、イェンス・ラスムセン氏、ノエル・ゴードン氏、スティーブン・マー氏の4人がWhere 2 Technologiesという小さなスタートアップを立ち上げました。

    Google自身も、2004年に「2人のオーストラリア人と2人のデンマーク人」がシドニーで新しい地図技術を開発していたと振り返っています。blog.google

    開発場所は、豪華な研究施設ではありません。

    シドニーのアパートの予備の寝室。

    世界で20億人以上が使うGoogle Mapsの原点は、そこにありました。


    最初のGoogle Mapsは、Windows用ソフトだった

    Where 2が開発していたのは、Expeditionという地図アプリでした。

    現在のGoogle Mapsに似て、地図を動かしながら住所やルートを確認できるソフトでしたが、大きな違いがあります。

    Webサービスではなく、

    Windowsへインストールするデスクトップアプリ

    だったのです。

    当時のWeb地図では、少し地図を移動するだけでもページ全体を読み込み直すケースが多く、現在のようにマウスで滑らかに地図を動かす体験は一般的ではありませんでした。ガーディアン


    資金調達に失敗。それがGoogle Maps誕生につながった

    Where 2はベンチャーキャピタルから資金を調達しようとしましたが、思うようには進みませんでした。

    その後、チームはGoogleへ紹介され、ラリー・ペイジ氏へ地図アプリを見せる機会を得ます。

    技術自体には興味を持たれましたが、問題がありました。

    GoogleはWeb企業です。Googleが欲しかったのは、

    パソコンへインストールする地図ではなく、ブラウザーだけで使える地図

    でした。


    「GoogleはWebが好きだ」——そこから作り直した

    そこでWhere 2の4人は、ExpeditionをWebブラウザー上で動かす形へ急速に作り直します。

    使われた重要技術の一つが、後にAjaxと呼ばれる仕組みでした。

    Ajaxとは、Webページ全体を再読み込みするのではなく、必要なデータだけを裏側で取得し、画面の一部だけを更新する技術です。

    さらに地図全体を巨大な一枚の画像として扱うのではなく、小さな地図タイルに分割し、利用者が地図を動かした場所だけ順次読み込みます。

    これによって、

    紙の地図を机の上で動かすように、Web上の地図をドラッグできる

    ようになりました。ガーディアン

    GoogleはWhere 2を2004年に買収。

    そして2005年2月、Google Mapsが誕生しました。


    Mapsは「複数の技術を買って組み合わせた」サービス

    Google Mapsの進化は、Where 2だけではありません。

    Googleは衛星画像技術を持つKeyholeなども取り込み、衛星写真、Street View、交通情報、店舗情報、口コミ、位置情報などを組み合わせていきました。

    つまりGoogleは、すべてを社内でゼロから作ったわけではありません。

    優れた技術を見つけ、買収し、自社の巨大な配布網へ統合する。

    この能力もAlphabetの重要な競争力です。


    Google Mapsは「地図」を超えた

    2025年時点で、Google Mapsは月間20億人超が利用するサービスになりました。

    登録されている店舗・場所は約2.5億件。年間約5億人が口コミ、写真、道路情報などを投稿し、地図には1日約1億件の更新が加えられています。blog.google

    現在のMapsは、単なる道案内ではありません。

    レストランを探す。ホテルを見る。営業時間を調べる。

    混雑状況を確認する。店舗の口コミを見る。現実世界そのものを検索するサービスです。

    これはAI時代に、かなり重要な資産になります。

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    なぜ「Google」から「Alphabet」になったのか

    2015年、Googleは組織を大きく変更します。

    新たにAlphabetという持株会社を作り、その傘下へGoogleを入れました。

    検索や広告、YouTube、Android、Mapsなど巨大な既存事業と、自動運転や生命科学のような長期プロジェクトを同じ会社の中で管理すると、どうしても成熟事業が優先されやすくなります。

    そこでGoogleという巨大キャッシュ創出企業と、未来へ投資する「Other Bets」を分けました。

    Alphabetは、

    Googleで現在を稼ぎながら、次のGoogle候補を育てる仕組み

    とも言えます。


    実はGoogleは、ChatGPT以前からAI企業だった

    ChatGPTが登場してから、Googleが慌ててAI開発を始めたように見えることがあります。

    しかし、これは少し違います。

    Googleは2010年代半ばから「Mobile First」の次をAI Firstと位置づけ、AI研究とインフラへ長期間投資してきました。

    その象徴の一つが、

    TPU(Tensor Processing Unit)

    です。

    TPUとは、GoogleがAI計算に特化して自社設計した半導体です。

    AIを利用するたびにNVIDIAなど他社の半導体だけへ依存するのではなく、自分たちで計算基盤まで作ろうとしてきました。


    2017年、GoogleがTransformerを生み出した

    そしてAI史を語るうえで外せないのが、2017年です。

    Googleの研究者たちは論文「Attention Is All You Need」を発表し、新しいニューラルネットワーク構造Transformerを提案しました。Google Research

    Transformerとは、文章を順番に一語ずつ処理するだけではなく、文中の「どの部分とどの部分が重要な関係にあるか」をAttention(注意機構)によって捉える仕組みです。

    Google自身もTransformerを、現在の大規模言語モデルや生成AIの基礎になった技術と位置づけています。blog.google

    つまりGoogleは、生成AI競争の参加企業というだけではありません。

    現在の生成AIブームを支える基礎技術を生み出した企業の一つ

    でもあります。


    それでもChatGPTには先を越された

    一方、研究力が高ければ製品競争でも必ず勝てるわけではありません。

    2022年にOpenAIがChatGPTを公開すると、世界中で生成AI利用が急拡大しました。

    GoogleにもLaMDAやTransformer、DeepMindなど巨大な研究資産がありましたが、一般消費者が使える「生成AIの入口」ではOpenAIが先行します。

    2023年にGoogleが公開したのがBardでした。

    ただし、本当の本命はその後に登場します。


    Gemini 1.0|最初から文字だけを見ていなかった

    2023年12月、GoogleはGemini 1.0を発表しました。

    Gemini最大の特徴は、後から画像機能を付け足したのではなく、最初から文章、画像、音声、動画、コードなどをまとめて扱えるよう設計されたことです。

    これをマルチモーダルAIと呼びます。

    「マルチ」は複数、「モーダル」は情報の種類という意味で、文字だけではなく複数形式の情報を同時に理解できるAIです。

    Gemini 1.0には高性能なUltra、汎用型のPro、端末上でも動かせるNanoという3種類が用意されました。blog.google


    Gemini 1.5|AIが「覚えておける量」を一気に増やした

    2024年2月に登場したGemini 1.5では、ロングコンテキストが大きく進化します。

    コンテキストとは、AIが一度の処理で覚えておける情報量のことです。

    Gemini 1.5 Proは標準12.8万トークンから始まり、実験環境では最大100万トークンまで扱えるようになりました。blog.google

    トークンとは、AIが文章や画像などを処理する際の情報単位です。

    コンテキストが大きくなるほど、長い書籍、大量のコード、長時間の動画などをまとめて読み込み、全体を踏まえて回答しやすくなります。


    Gemini 2.0|AIが「答える」から「動く」へ

    2024年12月のGemini 2.0では、Googleが明確に「エージェント時代」を打ち出します。

    AIエージェントとは、人間の質問に回答するだけではなく、目的を与えると複数の手順を考え、ツールを使いながら作業を進めるAIです。

    Gemini 2.0ではGoogle SearchやMapsなどのツールを利用できる設計が強化され、Project Astra、Chrome上で操作を行うProject Mariner、コードを扱うJulesなども公開されました。blog.google

    ここからGeminiは、単なるChatGPT対抗チャットではなく、

    Googleのサービスを実際に操作できるAI

    へ進み始めます。


    Gemini 2.5|「考えてから答える」AIへ

    2025年3月にはGemini 2.5が登場しました。

    Googleは2.5をThinking Model(思考型モデル)と呼び、複雑な問題を段階的に推論してから回答する能力を強化しました。blog.google

    数学、科学、プログラミング、複数ステップの業務などでは、すぐに答えを出すだけでなく、途中の関係を整理しながら結論へ進む能力が重要になります。

    生成AI競争が「自然な文章を書けるか」から、

    どこまで難しい仕事を任せられるか

    へ移ったタイミングです。


    Gemini 3.5|AIアシスタントから「実行するAI」へ

    2026年5月、GoogleはGemini 3.5を発表しました。

    Gemini 3.5では、フロンティア級の知能と高速な実行を組み合わせ、より複雑なエージェント業務へ対応する方向を鮮明にしています。blog.google

    同時にGeminiアプリも進化しました。

    利用者へ必要な情報をまとめて提示するDaily Briefや、継続的にタスクを支援するGemini Sparkなどが投入され、ユーザーが話しかけるまで待つAIから、より能動的に支援するAIへ近づいています。

    2026年5月時点でGeminiアプリは月間9億人を突破し、その後Q2には9.5億人まで拡大しました。blog.google


    さらに3.8、そしてGemini 4 Argonへ

    Googleのモデル更新速度はさらに上がっています。

    2026年9月にはGemini 3.8 Flashを投入し、ソフトウェア開発、エージェント業務、多段階推論を強化。音声対話向けのGemini 3.8 Liveも展開しています。blog.google

    そして9月30日、Googleは新たなフロンティアモデル、

    Gemini 4 Argon

    を発表しました。

    Argonは短い質問へ素早く答えることより、長時間にわたる複雑な仕事を処理することを重視しています。

    ソフトウェア開発。

    財務分析。

    法務文書。

    サイバーセキュリティ。

    こうした専門的な業務を想定し、最大100万トークンのコンテキストを備えています。blog.google


    Gemini 4 Argonは、まだ「全面開放」ではない

    ここは注意したいところです。

    2026年10月3日時点でGemini 4 Argonがすべての利用者へ全面公開されているわけではありません。

    まずはFairwind Programを通じて信頼できるサイバーセキュリティ関係者へ提供し、安全性を確認しながら、開発者、企業、一般利用者へ段階的に広げる方針です。blog.google

    つまりArgonの発表は非常に重要ですが、

    「現在のGemini利用者9.5億人が全員Argonを使っている」わけではありません。

    ここは分けて見る必要があります。

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    Google最大の強みは「Geminiの性能」ではない

    AI投資ではモデル性能が注目されます。

    しかしAlphabetの競争優位を考えるなら、Gemini単体だけを見るべきではないと思います。

    Googleにはすでに、

    Search。

    YouTube。

    Maps。

    Android。

    Chrome。

    Gmail。

    Workspace。

    Cloud。

    という巨大なユーザー接点があります。

    つまり、

    Geminiを作った後に「誰に使ってもらうか」を探す必要がない。

    ここが非常に大きい。


    「ChatGPTで検索は終わる」は、今のところ起きていない

    Googleにとって最大の恐怖は、生成AIによって検索が破壊されることです。

    しかし2026年Q2を見ると、Google Search & Otherの売上高は632.7億ドル、前年同期比+17%でした。SEC

    さらにAI Modeは月間10億人を突破しています。

    Googleによれば、AI ModeやAI Overviewsの導入によって検索クエリ全体も増加しており、AI機能経由でWebサイトへ毎週数十億件規模のクリックを送っているとしています。blog.google

    少なくとも現在までを見ると、

    AIがGoogle検索を壊したのではなく、Google自身が検索をAI化し始めた

    という状況です。


    最新Q2。Alphabetはまだ24%成長する

    2026年Q2のAlphabet売上高は1,198億ドル。

    前年同期比+24%で、12四半期連続の2桁成長となりました。

    営業利益は407.7億ドル、+30%。営業利益率も前年同期の32%から34%へ上昇しています。SEC

    Google Servicesの売上高は945億ドル。

    その中でSearch & Otherは632.7億ドル、YouTube広告は110.6億ドル、Google広告全体では816.3億ドルに達しました。SEC

    「AIで検索広告が崩れる」という懸念があった中で、本業の広告事業は今のところ成長を続けています。


    そしてGoogle Cloudが+82%

    今回の決算で特に驚いたのが、Google Cloudです。

    Q2売上高は247.7億ドル、前年同期比+82%。

    営業利益も前年同期28.3億ドルから88.1億ドルまで急増しました。SEC

    Google Cloudには通常のクラウドだけでなく、AIインフラ、TPU、Vertex AI、Gemini Enterprise、Workspaceなどが含まれます。

    つまりAlphabetは、

    Geminiを消費者へ無料・有料で配る会社であると同時に、企業へAI計算能力そのものを販売する会社

    でもあります。


    Fortune 100の約9割がGemini Enterpriseを利用

    企業利用もかなり拡大しています。

    2026年Q2時点でGoogleは、Fortune 100企業の約90%がGemini Enterpriseを利用していると発表しました。SEC

    さらにGeminiモデルは、顧客によるAPI利用だけで1分間に220億トークンを処理しています。

    APIとは、別のアプリや企業システムからGeminiを呼び出すための接続口のようなものです。

    一般消費者がGeminiアプリを開いて使う以外にも、裏側では企業のアプリや業務システムへGeminiが組み込まれ始めています。


    GoogleはAIの「フルスタック企業」

    ここでGoogleの強さが見えてきます。

    AI業界には、さまざまな役割があります。

    半導体を作る企業。データセンターを運営する企業。AIモデルを作る企業。アプリを提供する企業。

    Googleは、

    ほぼ全部を自社で持っています。


    最下層|TPUと巨大データセンター

    一番下には、AIを動かす物理インフラがあります。

    GoogleはTPUを自社設計し、巨大なデータセンターやネットワークを世界中に構築しています。

    AIモデルはソフトウェアですが、実際に動かすには膨大な半導体、電力、冷却設備、ネットワークが必要です。

    Googleはこの最下層から自社で押さえています。


    第2層|Google CloudとVertex AI

    その上にあるのが、

    Google Cloudです。

    企業はGoogleのデータセンターやTPUを自前で購入しなくても、クラウド経由で利用できます。さらにVertex AIを使えば、企業はGeminiなどのAIモデルを自社サービスへ組み込めます。

    つまりGoogleは、自社AIだけでなく、

    AIを企業が利用するための場所

    も提供しています。


    第3層|Geminiという基盤モデル

    その上にあるのが、Geminiです。

    高速・低コストなFlash。複雑な問題を処理する高性能モデル。専門業務向けのGemini 4 Argon。

    Googleは用途ごとに複数のAIモデルを用意しています。


    最上層|世界規模の配布網

    そして一番上に、

    Search、YouTube、Maps、Android、Chrome、Gmail、Workspaceがあります。Geminiを作るだけなら、OpenAIやAnthropicもできます。TPUに近い半導体だけなら、NVIDIAなどが圧倒的です。

    しかしGoogleには、

    半導体→クラウド→AIモデル→世界規模のサービス

    という一連の導線があります。これがAlphabet最大の競争優位です。

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    MapsはAI時代にさらに価値が上がるかもしれない

    特に私が面白いと思うのがGoogle Mapsです。生成AIがさらに高度になると、AIは「現実世界の正しい情報」を必要とします。

    レストランは今営業しているか。この道路は混んでいるか。駅の出口はどこか。この店舗の評判はどうか。目的地までどう移動するか。

    Gemini 2.0以降、GoogleはAIがSearchやMapsといったツールを利用できる設計を強化しています。blog.google

    20年以上積み上げた地理情報、交通情報、店舗情報、口コミ、Street View。

    これは単なる「地図データ」ではありません。

    AIが現実世界を理解し、行動するためのデータ基盤

    になり得ます。


    YouTubeも巨大なAI資産

    同じことはYouTubeにも言えます。

    YouTubeには文章だけではなく、映像、音声、字幕、コメントという膨大なマルチモーダルデータがあります。

    2026年Q2のYouTube広告売上高は110.6億ドル、前年同期比+13%。さらにAsk YouTubeでは、動画についてAIへ質問できる機能も広がっています。SEC

    Geminiが動画理解をさらに高度化すれば、検索、教育、広告、ショッピング、要約などへ応用できます。

    GoogleがマルチモーダルAIへ強く投資する背景には、

    世界最大級の動画プラットフォームを自社で持っている

    こともあります。


    ただしAI投資額も異次元になってきた

    もちろん、このフルスタック戦略は安くありません。

    Alphabetは2026年の設備投資見通しを1,950〜2,050億ドルへ引き上げました。主な用途はAI向けのサーバー、TPU、データセンターなどです。Reuters

    CapExとはCapital Expenditureの略で、データセンターや半導体など、長期間使う設備へ投資するお金のことです。

    Q2だけでも設備投資は449億ドル。

    営業キャッシュフロー390.7億ドルを上回った結果、この四半期のフリーキャッシュフローは約-59億ドルとなりました。SEC


    FCFがマイナスになった意味

    FCF(フリーキャッシュフロー)とは、事業で得た現金から設備投資などを差し引き、最終的に企業が自由に使いやすい形で残る現金です。

    Alphabetは本業では莫大な現金を生んでいます。しかし、それ以上の勢いでAIインフラへ投資しています。これは業績悪化による赤字とは違います。

    AI需要を取り込むため、あえて現金を未来のインフラへ振り向けている状態です。とはいえ、投資が必ず回収できる保証はありません。


    純利益1,121億ドルには注意

    Q2のAlphabet純利益は1,121億ドル。

    前年同期の282億ドルから約4倍へ増加しました。SEC

    しかし、これを「Googleの本業利益が4倍になった」と考えるのは間違いです。

    この四半期には、主に保有株式の値上がりによって約980億ドルの営業外利益が計上されています。SEC

    そのため、本業を見るなら純利益より、

    売上+24%、営業利益+30%を重視した方が実態に近いと思います。これにより、単純なPERも一時的な評価益の影響を受けやすくなります。


    株価は何を評価しているのか

    2026年10月2日のGOOGL終値は343.50ドルでした。Yahoo!ファイナンス

    AlphabetはSearchがAIによって破壊されるとの懸念を受けながらも、Gemini普及、Cloud成長、AI Modeの拡大などによって高い評価を維持しています。

    一方、Q2決算後にはCloudの+82%成長よりも、CapEx見通しの引き上げが警戒され、時間外取引で株価が下落しました。Reuters

    市場が問うているのは、

    「AIが伸びるか」から「AI投資を本当に回収できるか」

    へ変わり始めています。

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    Alphabet最大級のリスクは「入口」を規制されること

    Alphabetを考えるうえで、AI競争と同じくらい重要なのが独占禁止法、いわゆる反トラスト規制です。

    Google検索の巨大シェアを支えてきた要因の一つに、AppleなどへGoogleをデフォルト検索として設定してもらうための契約があります。

    米国の訴訟では、GoogleからAppleへの支払いが年間約200億ドル規模だったことも明らかになりました。Reuters

    司法省側は一時、Chrome売却など非常に強い救済策も提案していました。


    Chrome・Androidの分離リスクはいったん後退

    ただし、現在の状況は少し変わっています。

    2025年の裁判所判断では、GoogleにChrome売却は命じられず、Androidの分離も回避されました。

    GoogleがAppleなどへ検索のデフォルト設定に関連した支払いを行うことも全面禁止にはならず、一方で排他的な契約の制限や、一部検索データを競合へ提供する措置が導入されました。Reuters

    したがって、

    「Googleが近く分割される」と断定する状況ではありません。

    しかし、

    GoogleがSearch、Chrome、Androidを組み合わせて入口を押さえる力には、明確に規制が入っている。

    ここが重要です。


    広告でも「分割」は回避。ただし制約は増える

    広告技術を巡る米国の訴訟でも、2026年9月に裁判所はGoogleの広告技術事業そのものを分割することまでは命じませんでした。

    一方でGoogleには、広告サーバーとAdXの結びつきを弱めることや、6年間の独禁法監視体制などが求められています。Reuters

    短期的には「最悪の分割シナリオを回避した」と見ることができます。

    ただし長期的には、Google製品同士を自由に組み合わせて競争優位を作る余地が狭くなる

    可能性があります。


    規制対象は検索からAIへ移り始めている

    さらに2026年になると、規制当局の関心は従来型検索だけではなくAIへ広がっています。

    EUはGoogleに対して、OpenAIなどAI開発企業がGoogleのサービスへアクセスできるようにすることや、競合検索エンジンへ検索データを提供する措置を求めています。

    Googleはプライバシーやセキュリティ上の問題を主張し、2026年9月にEUの命令を裁判で争い始めました。Reuters

    つまりAlphabet最大の武器である、

    Search+Chrome+Android+Maps+Geminiという巨大な配布網
    そのものが、今後の規制対象になる可能性があります。


    AI競争そのものにも弱点はある

    GoogleはTransformerを生み出し、TPUを持ち、DeepMindまで抱えています。

    それでもAI競争で常に先頭とは限りません。

    2026年前半にはGemini 3.5 Proの投入が遅れ、OpenAIやAnthropicに対してコーディングやエージェント分野で遅れるのではないかという懸念も出ました。Reuters

    Gemini 4 Argonは、まさにその巻き返しを狙う重要モデルです。

    Googleには圧倒的な資産がありますが、

    技術資産を素早く製品へ変える力

    については、今後も確認する必要があります。


    AlphabetにはWaymoという「もう一つのAI」もある

    AlphabetにはGoogle以外にも将来の成長候補があります。

    その代表が自動運転のWaymoです。

    Alphabetが持株会社化した理由の一つは、こうした長期間利益が出にくい事業をGoogle本体と切り離し、長い時間軸で育てるためです。

    AI、地図、自動運転は別々に見えます。

    しかしWaymoが道路を理解するときにはAIと地理情報が重要になります。

    Google Mapsが現実世界のデータを持ち、Google DeepMindがAIを開発し、Google Cloudが計算基盤を提供する。

    Alphabetだからこそ成立しやすい組み合わせです。


    2030年。Googleは何の会社になっているのか

    2030年になってもGoogle Searchが消えているとは思いません。

    ただし、検索方法は今とは大きく変わっている可能性があります。

    検索窓へ単語を入力し、リンク一覧をクリックする。

    その代わりにGeminiへ目的を伝えれば、Searchから最新情報を探し、Mapsで場所を調べ、YouTubeを確認し、GmailやCalendarを参照し、必要なら実際の操作まで進める。

    Googleの各サービスを人間が一つずつ操作するのではなく、

    GeminiがGoogle全体の新しい入口になる。

    これがAlphabetの狙っている未来に見えます。


    Googleの30年は「入口」を作り続けた歴史

    1990年代、Google SearchはWebへの入口になりました。

    2000年代、Google Mapsは現実世界への入口になり、YouTubeは動画への入口になりました。

    2010年代にはAndroidがスマートフォン、ChromeがWebブラウザーの巨大な入口になります。

    そして2020年代後半。

    Googleが狙っているのは、

    Geminiを「人間がコンピューターへ指示を出す入口」にすること

    なのかもしれません。


    今後Alphabetを見るなら、この10項目

    1. Google Search成長率:AI導入後も広告収益を伸ばせるか

    2. AI Mode利用者数:10億人からさらに拡大するか

    3. Gemini月間利用者数:9.5億人から10億人を突破できるか

    4. Google Cloud成長率:+82%という成長をどこまで維持できるか

    5. Cloud営業利益:AIインフラを利益へ転換できているか

    6. CapEx:年間2,000億ドル規模の投資がどこまで続くか

    7. FCF:設備投資後のキャッシュ創出力が回復するか

    8. Gemini 4の競争力:OpenAI・Anthropicとの差がどう変化するか

    9. 独禁法・AI規制:Search、Chrome、Android、Geminiの統合を維持できるか

    10. Maps・YouTube・Waymo:AIによって既存資産の価値をさらに高められるか

    特に注目したいのは、

    Gemini単体が一番賢いAIなのか

    ではありません。

    Alphabetが持つ巨大な既存資産を、Geminiによってどこまで再成長させられるか。

    ここだと思います。


    まとめ|Google最大の強みは「AIを作れること」ではない

    Googleは、スタンフォード大学で開発された検索エンジンBackRubから始まりました。

    PageRankによってWeb上の重要な情報を探し出し、検索という巨大な入口を作りました。

    その後Googleは、Maps、YouTube、Android、Chrome、Gmail、Cloudへと領域を広げます。

    Google Mapsの原型は、シドニーのアパートの一室で作られたWindows用地図ソフトでした。

    資金調達もうまくいかず、それでもWeb版へ作り直した結果、Googleに買収され、現在では月間20億人超が使うサービスになっています。

    そしてAI。

    GoogleはTPUを作り、2017年にはTransformerを生み出しました。

    Gemini 1.0ではマルチモーダル、1.5ではロングコンテキスト、2.0ではエージェント、2.5では推論、3.5では実行力を強化し、2026年9月にはGemini 4 Argonへ到達しました。

    最新Q2のAlphabet売上高は1,198億ドル、+24%。

    Searchは+17%。

    Google Cloudは+82%。

    Geminiアプリは月間9.5億人。

    AI Modeは10億人。

    Fortune 100企業の約9割がGemini Enterpriseを利用しています。SEC

    一方、その成長の代償として年間約2,000億ドル規模の設備投資を計画し、Q2のFCFはマイナスへ転落しました。

    AIモデル競争、巨額CapEx、独禁法、ChromeやAndroidを含む配布網への規制。

    リスクは決して小さくありません。

    ただAlphabetには、AI専業企業にはないものがあります。

    TPU。Cloud。Gemini。Search。Maps。YouTube。Android。Chrome。

    これらが単独で強いのではなく、

    すべてがつながっている。

    ここにAlphabetの本当の強さがあります。

    Googleは「検索会社」として始まりました。

    しかし、これからのGoogleは、

    世界中の情報を探す会社から、AIが情報を探し、理解し、行動するための基盤を提供する会社

    へ変わろうとしているのかもしれません。ChatGPTがGoogle検索を終わらせるのか。それともGoogle自身が、検索をGeminiへ進化させるのか。

    Alphabetを見るうえで、これから数年でもっとも面白いテーマだと思います。そしてAlphabetを約4%保有するオルカン投資家にとっても、このAI競争は決して他人事ではありません。

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    ※本記事は企業研究・投資学習を目的として作成したものであり、特定の株式、ETF、投資信託等の売買を推奨するものではありません。

    ※業績、株価、指数構成、AI製品等の情報は原則として2026年10月3日時点で確認できる公開情報を使用しています。

    ※Gemini 4 Argonは2026年10月3日時点で段階的な提供段階であり、今後提供範囲や仕様が変更される可能性があります。

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