
雫石五十郎カットにしてくれ
床屋「今日はどんな感じのカットにしましょうか?」
客「雫石五十郎カットにしてください」
床屋「しずくいし……ごじゅうろう?」
客「まさか、温泉掘り当て職人界のレジェンド中のレジェンドである雫石五十郎を知らないとかないよね?」
床屋「あいにく、不勉強なものでして……」
客「あの、『彼は温泉を掘り当てるんじゃない。彼の掘ったところが温泉になるんだ』でお馴染みの雫石五十郎を知らないとかないよね?」
床屋「いや、ちょっと……」
客「温泉を掘り当てすぎて、日本地図の温泉マークを増やしたと言われるほどの温泉掘り当て職人、雫石五十郎のことだよ?」
床屋「はあ……」
客「工事現場に呼ばれるたび予定外の温泉が出るので、ゼネコンから敬遠されたあの雫石五十郎のことを知らないなんて言わないでくれよ?」
床屋「温泉は大好きですけど、雫石五郎さんのことはさっぱり……」
客「五十!」
客「雫石五十郎っ!」
床屋「ご、ごじゅうですね……」
客「……それじゃあ、ツーブロックで」
床屋「かしこまりました」
……
床屋「いかがでしょう?」
客「おお、雫石五十郎まんまだっ!」
床屋「千六百円になります」
客「また来るよ」
(終)