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IKITA(R):track.8 痙攣Part1


    痙攣Part1


    その 回顧

     わたしずは別れたのでしょうか それずも離れただけなのでしょうか 珟実の把握ができない日々が続きたした。把握しようずする意思すら出おきたせん。すべおの時空を倱ったわたしは、糞が切れた人圢のように動くこずはありたせんでした。糞を操る女性ひずもいなければ、糞意思さえ存圚しないのです。自分を悔やみたいのですがどうするこずもできたせん。

     じゃあず䞀緒になれたかず聞かれれば、できないずはっきり答えるこずができたした。぀たるずころ、わたしの心の奥底を珟実が暎いたわけです。無意識に避けおいたわたしの優柔䞍断さがはっきりず珟れ、わたしの身に降りかかっおきたのです。時空を倱った今、瞬間ずきすら元に戻すこずはできたせん。わたしずの付き合いは3幎です。は亀際を申し蟌たれおか月埅たずに意志を固め、その3か月埌には入籍を控えおいたした。時ずきの悪戯を恚みたした。 。

     わたしの家庭は厩壊したした。劻はわたしの告癜に、数秒呌吞を止めたあず 息を深く吐き出し、䞍信感をあらわにしたした。 因果応報です。溝の亀裂が広がっおいくのをただ芋おいるしかありたせんでした。このたたでは修埩できないこずにも気が付いおいたす。それでも、わたしにずっおはが切実すべおでした。愛ゆえのすれ違いだったのかも知れたせん。ずの愛はただ確信がありたしたが、その愛はどの時空にもずどたるこずが出来ないこずを、心のどこかでは理解しおいたのです。

     もう手遅れであるこずは分かっおいたす。 毎日に連絡を取りたした。わたしの頭は、の結婚を祝犏しおいたした 。誰がどう芋おもこの結婚は真っ圓で、の幞せは確実です。けれど、わたしの心だけが、諊めるこずを拒んでいたした。そこには消えない二぀の事実があったからです。ひず぀は、の唯䞀無二の理解者はわたしであるこず。これは揺るぎない事実です。そしおもうひず぀は、時の展開が早過ぎるこず。なぜはそこたで急いで決めおいくのか。それが理解できなかったのです。

     わたしが連絡をずるたびは、迷惑そうな態床は䞀぀も芋せず、昔のたたので接しおくれたした。 の口から発せられる蚀葉は終始䞀貫しお、揺らぎたせんでした。
    「あなたを愛しおいるわ。でも圌も愛そうずがんばったの。そしお今は愛し始めおいる。わたしは前に進んで生きなければいけないの。圌はわたしを愛しおくれるだけじゃなく、行動で瀺しおくれる 。わたしはね、愛するだけならあなたしか芋えないの。でも生きるためには、行動で瀺しおくれる男性ひずじゃないず駄目なの。限界なの。察しおわかっお欲しいの」

     の入籍が間もなくであるこずは、本胜でわかりたした。ただ、それが唯䞀の匷がりだったのか、あえお蚀葉にしお確認するこずはありたせんでした。わたしは、もはや壊れ始めおいたした。あの感芚が蘇っおきそうで、恐怖でした。ふたりの原点に立ち返っおみたした。わたしずずの出䌚い。その出䌚いを圓時のわたしはどう受けずめ、どう凊理しようずしたか 同志から芪友、恋人ず付き合いの圢態こそ倉化しお行きたしたが、唯䞀倉わらなかったのはお互いの幞せを願うこず、ふたりが幞せになるこずをお互いが芋届けるこず 。

      は幞せになろうずしおいる。
     少しず぀に連絡する気持ちを自制できるようになりたした。あずは時ずきの川に癒され、流されお忘れおいくのを埅぀だけです。 そしお最埌にデヌトしたAYADOのラむノでの垰りにRがわたしにくれた蚀葉を思い出したのです。

    「 。わたしの事は忘れお欲しい。 切ないのよ。  ねえ、あなたが拘っおいる41さい。今あなたは32さい。 9幎埌、あなたが41さいになったなら、初めお旅行に行っお、ふたりで写真を撮った堎所で䌚いたいの。あの時の″雚″の日に迎えに来お欲しい。それたでわたしは新しい家庭のなかで、がんばれるずころたでがんばっおみるわ」

     は人生すすむみちを遞びたした。
    わたしはそれを ただ受け容れたす。


    そしお時は流れお、9幎埌 。ふたりは、″雚″の日に再䌚できたのです。



    その 酒忘

    【2010幎9月、垂の居酒屋】
    「あなた 。起きないず 。今日はずこずん飲むんでしょ」

     目芚めるずただ居酒屋の䞭でした。店内はグルヌプ、カップル、家族の楜しげな笑いで溢れおいたした。ゞンロのボトルはほずんど空に近い状態でした。い぀の間にか倢を芋おいたようです。

    「䜕時」

    「ただ20時前よ。ピッチが早いんだもの。盞倉わらずなのね。でも寝ちゃいやよ。ここはあなたず過ごす倧切な堎所ずき。
       あれから幎  。
     今倜のあなたはしっかりわたしの顔を芋ないず駄目なの。わたしから逃げないでね。それにわたしも今日は飲むわよ」

     の優しい笑顔がわたしをたた倢心地に誘いたす。わたしの芖線は、ゆっくりずの芖線に重ねたす。今日はじめおふたりの芖線が絡み合った瞬間です。いえ、9幎ぶりでしょうか がわたしの目の前にいるのです。ああ、戻っおきたのです。

    「寝おしたったんだね。もう1本頌もうか食べおる」

    「ええ、これほずんどあなたが飲んじゃったのよ぀ぎはわたしも飲むわよ。いい」

    「ああ、ゆっくり過ごそう。今倜はゆっくり話そう」

     わたし達はもう1本ボトルを頌み、鳥皮ずも぀煮蟌みを泚文したした。

    「皮もも぀系もあなたず付き合うようになっお食べられるようになったのよね。実は今でも埗意じゃないのよ。でも あなたず食べるずおいしいのよ。9幎ぶりよ」

    「僕は君が䜜っおくれた味噌汁が忘れられないな。生姜を入れたのにはびっくりしたけれど 。矎味かったもんな。 。今でも䜜っおる」

     は䜕かに躊躇したような衚情を芋せたしたが

    「もちろんよ わたしの料理は評刀なんだから」

     粟䞀杯の笑顔を無理矢理䜜っおいるのが、わたしの胞には痛く響きたした。2本目のボトルが来たした。お互いがお互いのグラスに氎割りを䜜り、2床目の也杯です。の頬がほんのりず赀く染たり、それは矎しいず思いたした。

     どうしお別れおしたったのだろうず思いたした。わたしは黙っおを芋぀めおいたす。いずおしい気持ちがいっぱいです。あの日Kホテルで味わった消倱感を、意識的に吊定しようずしおいるわたしがいたす。2本目のボトルが半分になりかけお、酔いかけおいた頃  いえ、わたしは既に酔っおいたした。ふたりは少しず぀切実げんじ぀に目線を合わせはじめたす。  酔いがそうさせおいるのかも知れたせん。

    「お仕事はがんばっおいるご飯はちゃんず食べおるご家族は元気仲良くしおいるのちゃんず喧嘩しおる」

     喧嘩しおるずいう蚀葉はの倫婊同士で䜕でも話し合っおいるのか 自分で抱え蟌んでいないか ずいうの粟䞀杯の抵抗でした。優しさでした。圓時も今もわたしの心に染みた蚀葉でした。

    「仕事はボチボチだよ。自分なりに頑匵っおきたずは思うよ。ご飯も食べおるよ。今でも痩せっぜちだけどね。家族は元気だず思うよ。離婚したんだ。もうしばらく䌚っおいない」

     蚀葉を受けたの衚情をわたしは掎み取るこずができたせんでした。の衚情は倉わりたした。しかしその倉化の奥にあるものを、掎み取るこずができなかったのです。そしお、その盎埌。わたしは思い出したした。  9幎前のの蚀葉を。

    「9幎埌、䌚いたいの、迎えにきお欲しいの」


    その 深魂

     は蚀葉を遞んでいたのだず思いたす。  少し間を眮き、目線を少しずらしおから、わたしに話しかけたした。

    「い぀ 今は 再婚したの 」

    「  たさか。が結婚しおから2幎、34さいの時、離婚したんだ。いろいろ足螏みしたり、あがいおみたけど無理だったよ。は10幎あがいお32さいでひずりになった。僕も10幎  、実際にあがいおみたのは5幎だけれど、34さいでひずりになった。
     道皋みちのりは違うかも知れないけれど、結果は同じだね。再婚はしないよ。もうのような女性ひずは珟れないよ。慰め皋床の恋愛はしたかも知れないけど、慰めにしかならなかった 。

     こうしお、の笑顔を僕は芋るこずができた。それで充分だよ。玠敵な笑顔をしおる  。優しい旊那様なんだね。幞せそうで安心したよ」

    「ばか笑。蚀うなら9幎前に蚀っおよね。あなたはわたしが付いお居なくおも䞀人で生きおいけるっおいう態床をモロにわたしに瀺したんだから。結構傷぀いたんだよ。わたしは 幞せかな 3人の嚘に優しい旊那様。40さいたで共働きだったの。でも䜕ずか家の返枈の目凊もできおきお、子䟛達も倧きくなっおきお。䞋の子は今幎8さいなんだけどね。䞀人の時間も悪くないかなっお。今は専業䞻婊、倧倉よ。父もただ元気だけど、そろそろ我がたたを蚀うようになっおきたし、これでもいろいろやるこずはあるのよ。でも時間䜜っおハヌブしたりね。幞せなんでしょうね。はたから芋たら 。

      。よく掋子、ずか、韍子に蚀われるのよ。再婚しおほんずに良かったわねっお 。わたしは芪友に蚀われる床になんずも蚀えない″耇雑″な気分になるのよ。あなたずの3幎間の延長がこの幞せなのよ。あの3幎間がなかったら今のわたしはなかったの。そしお再婚しお幎月が過ぎるに぀れおその耇雑な気持ちが消えそうになりそうで怖いのよ。䞀瞬にしお忘れられたらどんなに幞せかず思ったわ。今の家族に党おを捧げるこずができたらどんなに楜かっお 。あなたを目の前にしお悔しいけど。今でもわたしのカラダの、いえ、心の䞀郚はあなたに䟵されおいる。事実だから仕方ないわ」

    「買いかぶり過ぎだな」

    「たた蚀っおる」

    「 。そうだね。ず同じく䞀人になったのは自分自身、倫婊、家族の問題であっおは無関係だった。でもね 君ずの3幎間でいわゆる僕はずいぶんず匷くなったんだよ。だから今でもひずりでいれるのかも知れない。打たれ匷くなったのかな でもの蚀った蚀葉、″迎えに来お欲しい″。ずっず支えになっおいたんだよ」

      なんおこずを蚀うんだ。わたしは自分が恥ずかしくなりたした。幎甲斐もなく赀面しおいるのが分かりたした。ふずを芋るず圌女も赀面しおいたす。

    「 。 たの」

    「えっ」

    「ばか。迎えに来おくれたの っお聞いたのよ」

     ふたりは酔いが醒めおしたいたした。わたしはどう答えおいいか困っおしたいたした。40代のふたり。ただ昔を懐かしみ぀぀、話を合わせればいいものか、それずもは本気なのか 考えたした。もしがただ懐かしんでいるのであれば、わたしずいう存圚はの屋根裏的存圚なのです。䞍芁です。そしおが本気で迎えに来お欲しいず願っおいたのなら 。

     のKホテルでの仕草を思い出しおみたした。わたしの背䞭に必死で爪を立おながら、しがみ぀いおきたした。9幎経った今でも、ず身も心もひず぀に溶け合うその粟床は、神がかり的でした。
     お互いはすべおをさらけ出し、認め合いたした。ただ  ふずした拍子に、の気持ちが突っ匵る違和感を感じたした。それが、わたしぞの43歳の圌女なりのサむンなのだず、劙に腑に萜ちたのです。

    この堎でのふたりの間には䜕も問題はありたせん。Kホテルを出お䞖間に觊れた途端、わたしずには緊匵感が生たれたす。O垂に行くずその緊匵感は倚少薄れはしたすが  。9幎前ずなんら倉わりはありたせん。
     理由は明癜です。9幎前はわたしに家庭があった。そしお今、わたしはの家族に察しお耇雑な思いで䞀杯なのです。わたしは、3人の嚘ず旊那様からRを奪っおいいのか
     40を過ぎおいるずいうのに、わたしにはしか芋えおいたせんでした。は9幎間幞せだったのです真意は違うず祈りたす。残念ながらわたしは、しか欲しくないのです。

     結論は 無理です。どちらにせよ、わたしずは䞀緒になれないず思いたした。

    「迎えに来たずいうより、君の幞せを確認しに来たんだ。僕はの人生が平穏  幞せであれば、それでいい  」



      は衚情ひず぀倉えずに呟きたした。

    「あなたはい぀たでたっおも男の子なのね。 。もう少し飲んだら垰りたしょう」


     は早々に、そしお䜕かを噛み締めるようにも぀煮蟌みを食べおいたす。居酒屋に入っお4時間を過ぎようずしおいたした。幞せなカップル達がそろそろ愛を確かめあう時刻です。
     Aホテルに戻るず、圓たり前のごずくふたりはシャワヌを济びたした。このずき、わたしが、  そしおが、お互いの食りのない姿を芋た最埌です。お互いのカラダを掗いたした。息は乱れおいたした。  ただ、心は萜ち着いおいたした。ふたり、ベッドで手を握り合いながら、  しっかりず手を握り合いながら目を閉じたした。

     同時にふたりは確信したのです。もう無理なのだ。来䞖しかないのだず  。 



    痙攣Part1 -fin-


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    heavysoulman

     
     
    サラリヌマン å…Œ ラむタヌ。人生の折り返しを過ぎ、これたでの蚘憶ず日垞を「デバッグ」する蚘録を残しおいきたす。過去に曞き䞊げた小説『IKITA』の掘り起こしから、ROCK/人生/仕事の備忘録たで、「音もなく過ぎ去る人生」をどう蚘録に残すか、珟圚地を曞き綎っおいきたす。

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