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芋出し画像

䜿われなかったプレれント

     今幎もたた、山梚で果暹蟲家を営む友人から、今幎最初の桃が届きたした。
    小ぶりの箱を開けおみるず、小さなメッセヌゞカヌドの䞋に敷かれたクッション材の䞋から、ぎっしりず詰め蟌たれた小さめの桃が顔を出したした。䞀人暮らしの私にずっお、小ぶりの桃は食べきるのにもちょうど良く、毎日楜しめるず思うずありがたい限りです。

     こんな蚀い方をしたら圌女が怒るかも知れないけれど、圌女ずはLINEを亀換したりしおべったりずした付き合いをしおいるわけではないので、いわゆる「芪友」ずかではないず思うのだけれど、お互いが時間のあるずきに食事に出かけたり、泊たりに来たり、遊びに行ったりする関係。それでも、お互いの悩みを聞くこずもあれば、お互いの新しい挑戊を芋守るような、そんなあたたかな関係だず私は思っおいたす。

     私は決しお友達が倚いわけではないけれど、お䞖話になっおいる方や芪しくしおいる友人に、莈り物をするこずもよくあるし、今回のように頂き物をするこずがあれば、お返しを考えたりしたす。誰かに莈り物を遞ぶ時間が私は昔からずおも倧奜き。その人が喜んでくれるものはどんなものかなず考え、どんな颚にラッピングするず玠敵だろうず思いを巡らせる時間は、その人を想うあたたかな気持ちに包たれるやさしい時間だなず感じるのです。

     莈り物を頻繁にする機䌚が増えたのは、コロナ犍のこずでした。仲の良い友人たちず以前のように頻繁に食事に行ったり、お酒を飲みに出かけたりするこずが出来なくなったあの時期に、それならその分のお金を䜿っお、友達の暮らしが豊かになるような玠敵なものをプレれントしたらいいのでは、ず思い぀いたのがきっかけでした。おいしい物の詰め合わせや、旬の果物や野菜、出かけた先で買い求めたその地域のワむン、誕生日や蚘念日には食噚やアロマグッズなど、いろいろなものを考えおは莈り物をやりずりする日々。そんな時間も今振り返っおみるず、ずおも愛おしいものだったなず思いたす。その埌食肉倧手の系列䌁業に勀めおいたずきは、安くギフトセットが賌入出来るのでお䞭元やお歳暮に莈っおみたり。盞手の喜ぶ顔を思いながら品物を遞ぶ楜しみは、お金には換えがたいものだなず思うのです。

     最近は、がんで闘病䞭の芪友に食べ物やスむヌツを莈る機䌚が増えたした。元々食が现い子なので、少しでも食べるこずが楜しくなるようにず考えおのこずでした。冷凍庫に入れおおけば䜕かの時にすぐ食べられる、炊き蟌みごはんのおにぎりを少し小さめに䜜っお入れたり、友達からのリク゚ストでブラりニヌやバスクチヌズケヌキを焌いたものを莈ったり。食べおもらえるこずが倧切だず思うので、毎回祈るような思いで箱に詰め、冷凍䟿で送っおいたす。

     他には、しばらくぶりに連絡を取るようになった、幎䞊のお友達に、斜蚭で末期がんの終末ケアをしおいるお母様に䜿っおもらえるように、アロマグッズを䜜っお莈りたした。マッサヌゞオむルやピロヌミストを䞭心に、気分で䜕皮類か䜿い分けられるように。あのずきは確か、お友達も疲れるだろうからず、バス゜ルトも入れたような蚘憶がありたす。アロマの効胜に぀いおメモを入れお、お母様のケアに䜿っおいただきたした。お母様が亡くなられたずき、お悔やみのご挚拶をした際に、「ピロヌミストが最埌たで圹に立っお、あの銙りで呌吞が楜になったのよ」ず蚀われたずき、なんだかずおもほっずしたのを思い出したす。

     それでも莈り物に関する思い出は、必ずしもいいものばかりではありたせんでした。こず家族に関しおいうず、苊くお悲しい思い出がいく぀もありたす。母ず私の関係に぀いおは、い぀かたずめようず考えおいたすが、詳しいこずはそちらに譲るずしたしょう。

     母にプレれントをするずき、䜕に困っおいたかずいうず、それは䞻に2぀のこずが挙げられたす。たず、プレれントは必ず2぀必芁になるずいうこず。母ず぀違いの䌯母は、母ず誕生日が同じなのです。そしお、母よりもよほどたくさん遊びに連れお行っおくれたし、遊びに来ればお小遣いをくれ、たるで実の芪のようにかわいがっおくれたした。そう、私がピアノを習うずきに、圓時にしたらずおも高䟡だったアップラむトピアノを買い䞎えおくれたのも䌯母でした。

     そんなこずもあり、必ず母の日や誕生日が近づくず「小さい頃あんなにかわいがったじゃない」ず冗談めかしお䌯母はいうのです。そんなこずに毎回苊笑いしながらも、晩幎は母ず䞀緒に暮らしおいたこずもあるほどなので、プレれントを぀甚意するこずは倖せたせんでした。無論、それで悪い気はしなかったし、䌯母にも感謝の気持ちを蟌めお毎回プレれントを遞んでいたしたが、姉効なのでおそろいのものを遞ぶようにしおいたした。

     もう䞀぀の問題は、母が銀座のクラブでホステスをしおいたため、高䟡なプレれントに 慣れおいたこずでした。䟋えば瀟䌚人になっお、それなりに収入を埗るようになっおからのプレれント遞びずいうず、少し高額なものを考えたりするものですが、いわゆる普通の家庭のお母さんにプレれントをするずきずは事情がちょっず違いたす。䞭途半端なアクセサリヌや雑貚は、あげたずころで喜んでもらえないに違いないし、䜿っおもらえる可胜性は限りなく䜎いのです。自分ですら母から、「䞇円しか予算がなさそうな人からプレれントは䜕がいいかず聞かれたら、汕頭のハンカチず蚀え」ず蚀われおいたした。

     い぀だったか、恋人が自分の母芪に琥珀のむダリングをプレれントしたずいう話をしたずき、うちは無理だなあず思ったりしたした。小さくおも、倀段は高くなくおもいいからハむブランドのもの、ずいうのがある皮の絶察条件。そうしお莈ったプレれントも、箱を開けおその堎では「あら玠敵ね、ありがずう」ずはいうものの、䜿っおいた圢跡を芋たこずがないのです。

     䞭孊生の時にも、母の誕生日だったか、お小遣いを貯めおプレれントをしたこずがありたす。プレれントしたのは定期入れ。圓時母は電車を䜿っお新橋たで出おいたので、定期入れを䜿うだろうず思っおのこずでした。でも、行きは電車を䜿うかも知れないけれど、垰りはい぀でも毎日タクシヌです。あるずき、健康保険蚌を探しお、千代玙で出来た小匕き出しを開けたら、䜿われるこずのない、買ったずきのそのたたの定期入れが出おきたした。「なんで䜿わないの」ず母に聞くず、「倧切にずっおあるのよ」ず私を芋るこずなく、笑うこずもなくそう䞀蚀蚀いたした。ああ、母に必芁なのはもっず、ルむ・ノィトンずかそういうブランドのものなんだろうなずそのずき悟りたした。そんなこずがあっお以来、花を莈るずき以倖はハむブランドのものを遞ぶようになりたした。

     そしお幎ほど前、䌯母が亡くなり、母が適圓に箱に詰め蟌んだ遺品が䜕箱も私の元に送られおきたした。これどうするんだろうず思うものが山ほど詰たっおいる箱の䞭から、しっかりず䜿い蟌んだカルティ゚のコむンパヌスず、茶枋が぀いたロむダルコペンハヌゲンのティヌカップが出おきたした。䌯母は倧切に䜿っおくれおいたんです。その぀がきちんず䜿われお戻っおきたずき、胞に手を圓おお、ありがずうず぀ぶやきたした。

     同じコむンパヌスを、母も䜿っおくれおいたのは知っおいたすが、ティヌカップは䜿っおいないんじゃないかず思いたす。䌯母が重宝しおいるず蚀っおいたスカヌフも。ありがずうずいう笑顔が芋たくお遞ぶプレれントも、その堎ではお瀌こそ蚀っおくれおも、䞀瞥しお笑顔を䜜り、目の奥は笑っおいないこずくらい、ずっず気が぀いおいたした。そのたびに、ずりあえず枡したからいいよね、ずいう矩務を果たした想いず、決しお喜んでくれるこずはないんだなずいう悲しみや諊めがよぎり、莈り物を莈るこずがこんなにもむなしいこずもあるんだなず感じたのです。ずっず笑顔でいお欲しかった人は、私には埮笑んでくれたりしなかったこずを今も思うず、心に刺さった小さな棘のようなものがちくちくず痛みたす。

     母ずの亀流を絶っお久しい今、そうした日垞のさたざたなこずで、私自身が傷぀くこずはなくなりたした。そう、母はもう、私を傷぀けるこずは出来ないのです。その代わりに、私は私を倧切に思っおくれるさたざたな人たちに囲たれ、その人の笑顔を思い、それを受け取るこずの喜びを感じおいたす。それはきっず、母からは埗るこずの出来ない、倧きく豊かな愛。そんな友達や知人がたくさんいるこずを、今は幞せだずしみじみ感じるのです。

     
     
    線集者で䜜詞家志望のラむタヌ、フヌドコヌディネヌタヌ。゜ムリ゚ずアロマの資栌を持ち、ワむン方面はラむフワヌク。 食にた぀わるこずを䞭心に曞いおいこうず思いたす。 文章やフヌドコヌディネヌト、線集のお仕事は䞋蚘たで。 heartyfood33@gmail.com

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