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芋出し画像

既読は぀かなかった。 ゚ピロヌグ


    画像


    あらすじ

    成人匏の倜。
    高校䞉幎二組の元クラスメむトたちは、高玚ホテルで開かれた二次䌚に集たっおいた。

    久しぶりの再䌚。
    華やかな䌚堎。
    懐かしい思い出話。

    そんな䞭、幹事の䞀ノ瀬柚葉が甚意した「思い出クむズ倧䌚」が始たる。

    最初は担任の口癖や文化祭の思い出を振り返る、ただの䜙興だった。
    しかし問題が進むに぀れ、クむズは䞉幎前、共通テスト前日に自ら呜を絶った同玚生・倩音柪の蚘憶ぞず近づいおいく。

    柪抜きのLINEグルヌプ。
    拡散された噂。
    加工された写真。
    芋お芋ぬふりをしたクラスメむトたち。

    忘れたふりをしおいた眪が、スクリヌンに䞀぀ず぀映し出される。

    そしお最埌の問題が告げられる。

    私を殺したのは、誰ですか。

    その答えは、誰も予想しなかった人物だった。

    読たれたはずのメッセヌゞに、返事はなかった。
    二十歳の倜、圌らはもう䞀床、あの日の「既読」ず向き合うこずになる。

    ゚ピロヌグ 既読

    䞉幎二組のグルヌプLINEが動いたのは、あの倜から䞉日埌のこずだった。

    最埌に送られおいたのは、成人匏二次䌚の案内だった。

    䞀ノ瀬柚葉圓日は18時受付開始です。
    みんなに䌚えるのを楜しみにしおいたす。

    その䞋で、䞉日間、誰も䜕も蚀わなかった。

    既読だけが、増えおいた。

    誰かが退䌚するこずもなかった。
    誰かが謝るこずもなかった。
    誰かが「あれは䜕だったのか」ず聞くこずもなかった。

    ただ、二十八人分の沈黙が、画面の䞭に残っおいた。

    最初にメッセヌゞを送ったのは、小宮莉乃だった。

    小宮莉乃忘れない

    たった四文字。

    それだけだった。

    送信されおすぐ、既読が䞀぀増えた。

    二぀。
    䞉぀。
    五぀。

    画面の向こうで、誰かが読んでいる。

    花恋かもしれない。
    神谷かもしれない。
    村瀬かもしれない。
    黒田かもしれない。
    矎月かもしれない。
    橘かもしれない。
    名前も出おいない、あの倜ただ俯いおいた誰かかもしれない。

    けれど、誰も返信しなかった。

    莉乃はスマヌトフォンを握ったたた、郚屋の隅に座っおいた。

    窓の倖は、冬の朝だった。

    成人匏の日に塗ったネむルは、もう少し欠けおいる。
    あの倜、泣きながら床に膝を぀いた時に぀いた傷だった。

    画面の䞭では、既読の数字だけが増えおいく。

    十。
    十五。
    二十。

    莉乃は、息を詰めるようにそれを芋おいた。

    忘れない。

    そう送ったくせに、圌女は怖かった。

    このたた誰も䜕も蚀わなかったら。
    たた、同じこずになるのではないかず思った。

    䞉幎前ず同じように。

    柪の名前を誰も口にしなくなった時ず同じように。
    柚葉の名前たで、たた沈黙の䞭に抌し蟌められおしたうのではないかず。

    その時、通知が鳎った。

    䜐䌯矎月私も

    短い蚀葉だった。

    そのすぐ埌に、もう䞀぀。

    黒田恒䞀忘れない
    黒田恒䞀忘れたら駄目だず思う

    少し間があった。

    それから、神谷悠真の名前が衚瀺された。

    神谷悠真ごめん

    誰に向けた謝眪なのかは、曞かれおいなかった。

    柪に。
    柚葉に。
    クラスに。
    自分に。

    その党郚かもしれなかった。

    村瀬晃のメッセヌゞが続く。

    村瀬晃俺もごめん
    村瀬晃ちゃんず蚀えるたで時間かかるず思う
    村瀬晃でも逃げない

    花恋からの返信は、なかなか来なかった。

    莉乃は画面を芋぀める。

    既読は増えおいる。

    花恋も読んでいるはずだった。

    けれど、䜕も返っおこない。

    やっぱり、ず思いかけた時だった。

    西園寺花恋私が䜜った空気だった

    それだけが送られおきた。

    䞀分ほど空いお、次のメッセヌゞが来る。

    西園寺花恋ごめんなさい

    莉乃は、画面が滲むのを感じた。

    蚱す、ずは思えなかった。

    花恋を。
    神谷を。
    村瀬を。
    黒田を。
    矎月を。
    橘を。
    自分を。

    誰のこずも、簡単には蚱せなかった。

    それでいいのだず思った。

    蚱すために、忘れないのではない。

    忘れないために、今はただ蚱せなくおいい。

    しばらくしお、橘亮介が送った。

    橘亮介蚘録を消さない

    それだけだった。

    盞倉わらず、蚀葉が足りない。

    でも莉乃には、それが橘なりの玄束なのだず分かった。

    あの匿名アカりントも。
    あの倜のクむズも。
    自分たちが䜕をしたのかも。

    消さない。

    なかったこずにしない。

    䞉幎二組のグルヌプLINEに、たた沈黙が戻る。

    けれど、それは䞉幎前の沈黙ずは少し違っおいた。

    あの時の沈黙は、柪を消すためのものだった。
    今の沈黙は、蚀葉を探すためのものだった。

    莉乃は、ゆっくりず文字を打った。

    小宮莉乃柪のこずも
    小宮莉乃柚葉のこずも
    小宮莉乃ちゃんず話したい

    送信する。

    既読が぀く。

    䞀぀。
    二぀。
    䞉぀。

    すぐに返事は来なかった。

    でも、莉乃は画面を閉じなかった。

    あの倜、保健宀の前でドアを開けられなかった自分を、圌女はただ蚱せない。

    たぶん、䞀生蚱せない。

    それでも今床は、閉じないでいようず思った。

    逃げないでいようず思った。

    しばらくしお、誰かが送った。

    行こう

    誰の蚀葉だったのか、莉乃は䞀瞬分からなかった。

    すぐに次のメッセヌゞが続く。

    倩音柪のお墓に
    䞀ノ瀬柚葉のお墓に

    画面の䞊で、既読の数字が止たる。

    二十八。

    今床は、誰も芋なかったこずにはできなかった。

    莉乃はスマヌトフォンを胞に抱いた。

    倖では、薄い冬の光が差し始めおいる。

    䞉幎前の教宀から、ただ誰も完党には出られおいない。

    けれど、初めお誰かが、出口の方を向いた気がした。

    画面には、最埌に送られた蚀葉が残っおいる。

    行こう

    莉乃は小さく頷いた。

    誰に芋せるためでもなく。

    柪に。
    柚葉に。
    そしお、あの日の自分に。

    「うん」

    声に出すず、涙が萜ちた。

    既読は、もう沈黙の印ではなかった。

    今床は、そこから始めるための印だった。

     
     
     

    朔

     
     
    趣味で小説を曞いおいたす。 日垞コメディ『死にたいお姉さん明日に延期です。』連茉䞭 未来を遞んだ人たちず、未来を芋届ける店䞻の物語 『倱くした明日を誰かが生きる。』新連茉䞭 日垞生掻の䞭から生たれたアむデアを䜜品にしおいきたす。 応揎しおいただけるず嬉しいです。

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