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タープ泊の楽しみ方

    はじめに

    夕方、キャンプ場の木立の間にタープを低めに張り、その下へマットやコットを置く。テントのような壁に囲まれていないので、横になったまま空の色が変わっていく様子が見え、少し暗くなると風が葉を揺らす音も近く感じられます。

    夜になると、その開放感はさらに分かりやすくなります。ライトを消したあとも外と寝床の境目が薄く、朝は鳥の声や明るさで自然に目が覚める。テント泊より快適性を少し手放す代わりに、外で一晩過ごしている感覚を強く味わえるのがタープ泊です。

    タープ泊とは、一般的なテントを寝室として使わず、雨や日差しを避けるためのタープを屋根や壁のように張り、その下に寝床を作って一晩過ごすキャンプスタイルです。地面へグラウンドシートとマットを敷く方法もあれば、コットを置き、その上へ寝袋を載せる方法もあります。虫が多い時期には、寝床だけを覆う蚊帳やメッシュシェルターを組み合わせます。

    一見すると「テントを持っていかないだけ」の簡単なキャンプに見えますが、実際には雨、風、夜露、虫、地面からの冷えを直接受けやすくなります。タープの張り方も天候によって変わるため、キャンプそのものが初めてなら、まず通常のキャンプやデイキャンプでタープ設営を経験してから挑戦するほうが落ち着いて楽しめます。

    この記事では、管理されたキャンプ場へ年に6回ほど出かけ、1人または少人数でタープの下に1泊する場合を中心に紹介します。時間や費用には全国共通の平均値があるわけではないため、現在のキャンプ場料金、レンタル料金、一般的な道具の価格帯などをもとに、初心者向けの標準シナリオとして整理しています。


    キャンプ全体の記事はこちら

    まず知っておきたい基本情報

    タープ泊は、毎週行かなければ上達できない趣味ではありません。気候の穏やかな時期を選び、1〜2か月に1回ほど出かけるだけでも、設営の仕方や自分に必要な寝具が少しずつ分かってきます。この記事では年間6泊ほどを標準にしますが、最初の年は春や秋を中心に2〜4泊程度でも十分です。

    1回の現地滞在は、午後にチェックインして翌朝撤収するなら18〜22時間ほどになります。そのうち、タープと寝床を整える作業には慣れないうちは40〜70分ほど見ておくと余裕があります。タープ泊そのものを短時間で済ませることは難しいので、不安がある場合は先にデイキャンプで2〜3時間だけタープを張り、寝床まで作ってみる方法が現実的です。

    初心者の始めやすさを5段階で考えるなら3程度です。資格は必要なく、管理されたキャンプ場なら始める場所も見つけやすい一方、テントが守ってくれていた部分を自分で補う必要があります。施設への依存度は3程度ですが、天候への依存度は5に近く、特に風が強い日や荒天が予想される日は、無理にタープ泊へこだわらない判断が重要になります。タープは風を大きく受ける道具なので、メーカー側も確実なペグ固定や、風が強い状況での使用回避を案内しています。

    すでに寝袋やマット、ライトなどキャンプ用品を持っているなら、タープ泊のために追加する費用は15,000〜35,000円ほどから考えられます。キャンプ用品をほぼ何も持っていない状態から一式そろえるなら35,000〜80,000円ほどが一つの目安で、コットや軽量な道具にこだわるとさらに上がります。年間6泊なら、キャンプ場利用料、簡単な食事、消耗品などで年間20,000〜50,000円ほどに収めることもできますが、ここには長距離の交通費は含めていません。

    タープ泊は、テント泊とは少し違うキャンプ

    一般的なテントは、屋根だけでなく床や壁、メッシュなどを一体として備えています。ファスナーを閉めれば虫や視線を遮りやすく、雨が横から吹き込んだときも寝床を守りやすい構造です。

    タープは本来、キャンプサイトに日陰や雨を避ける場所を作る道具です。そこで眠ろうとすると、必要な壁の高さ、雨水を流す傾斜、風を逃がす方向、寝袋と生地の距離まで自分で考えることになります。その自由度が面白さである一方、「張れたから完成」ではないところがタープ泊らしい部分です。

    実際にタープ泊を続けている人の記録を見ると、開放感や設営の簡潔さを魅力として挙げる一方、夜露、結露、虫、寒さへの対応に苦労した話も多く見つかります。低く張ったタープへ寝袋が触れ、結露で濡れてしまったという実例もあり、寝床と幕の間に余裕を残すことは机上の注意ではなく、一晩を快適に終えるための大切な工夫です。

    ハンモック泊とも違う

    ハンモック泊では身体を地面から完全に離し、ハンモックの上へタープを張ります。タープ泊でもコットを使えば地面から離れますが、寝床そのものは地面の上に配置され、樹木がなくてもポールとペグで設営できます。

    そのため、タープ泊は一般的なキャンプサイトへ取り入れやすい方法です。一方で、ハンモックのように木の位置を気にしなくてよい代わりに、地面の傾斜、水の流れ、ペグが効く土質などをよく見る必要があります。

    オープンな張り方と、閉じる張り方がある

    昼間は屋根を高くして大きく開き、夜になる前に片側を下げて風や視線を遮ることもできます。四角形のタープでは、複数の辺を地面近くまで下げ、簡易的なシェルターのような形へ変える方法もあります。

    ただし、完全に囲うほど室内のようになるわけではありません。床の隙間から虫が入ることもあり、結露も起こります。閉じることは「テントと同じ状態にする」のではなく、必要な方向だけ雨や風を防ぐ調整と考えたほうが分かりやすくなります。

    タープ泊にかかる費用

    レンタルを使って試す場合

    最初からタープを買う必要はありません。現在も公営・民間のキャンプ場にはタープを1日1,000〜2,500円ほどで貸し出す例があり、寝具やテント類をまとめてレンタルできる施設もあります。実際に2026年の公的施設でもタープ1,100円という例があり、別のキャンプ場では2,000円程度で設定されています。

    寝袋、マット、ライトなどまで借りると、キャンプ場利用料と合わせて1回5,000〜10,000円ほどになることがあります。初回は購入費を抑えることより、どの大きさのタープなら寝床まで収まるか、コットが必要か、地面へ直接マットを敷いても眠れそうかを確認できることのほうが価値があります。

    すでにキャンプ用品を持っている場合

    寝袋、マット、ランタン、調理用品などを持っているなら、新しく必要になるのは主にタープ、ポール、追加のペグと張り綱、必要に応じて蚊帳やコットです。ソロ向けとして販売されているタープでも、現在は20,000円前後の製品が珍しくありません。

    すべてを一度に買うより、まずタープ泊を一度経験してから不足を足していくほうが無駄がありません。コットは便利ですが必須ではなく、地面の状態がよいキャンプ場ならグラウンドシートとマットで眠ることもできます。

    ゼロから道具をそろえる場合

    タープと設営用品に15,000〜30,000円、寝袋とマットに15,000〜30,000円、ライトや小物に5,000〜10,000円ほどを見込むと、全体で35,000〜70,000円ほどになります。コットを加える場合は7,000〜20,000円程度が追加され、軽量性や収納サイズを求めるほど価格も上がりやすくなります。

    タープ泊は「テントがないから安い」とは限りません。蚊帳、コット、防水性のある収納、寝袋カバーなどを次々に加えると、普通のソロテントより道具が多くなることもあります。何を省くかではなく、どこまで外の環境を受け入れられるかで必要な装備が決まります。

    タープ泊をおすすめする3つの理由

    1.眠る時間まで自然との距離が近い

    タープ泊で印象に残りやすいのは、昼間より夜と朝です。寝袋へ入っても視界の一部に外が残り、風が変わったことや、夜が静かになっていく様子をそのまま感じられます。

    朝も、テントのファスナーを開けて初めて外を見るのではありません。目を覚ましたところから木々や空が見えるので、キャンプ場で「一晩過ごした」という感覚が強く残ります。タープ泊の体験記で繰り返し語られる開放感は、この寝床と外との境界の薄さから生まれています。

    2.タープを張ること自体が遊びになる

    通常のテントは、製品ごとにほぼ決まった完成形があります。タープは、同じ1枚でもポールの位置や高さ、地面へ固定する場所を変えるだけで形が変わります。

    晴れて風が弱い日は大きく開く。風が気になる日は低くする。朝日を入れたい方向だけ開けておく。設営するたびに小さな答え合わせがあり、「今日はこの張り方がよかった」という経験が次回へつながります。

    3.持っていくものを見直すきっかけになる

    タープ泊を始めると、寝るために本当に必要なものがよく見えてきます。大きなテーブルや複数の調理器具より、濡らしたくない寝袋、地面の冷えを遮るマット、夜に両手を空けられるライトのほうが重要だと感じる場面が増えます。

    必ずしも荷物を極端に軽くする必要はありません。むしろ初めは少し余裕を持って装備し、使わなかったものを次回減らしていくほうが現実的です。結果として、自分にとって必要なキャンプ道具が少しずつ整理されていきます。

    最初の場所は、設備より「逃げ道」で選ぶ

    初めてのタープ泊では、人里離れた場所より管理されたキャンプ場が向いています。受付があり、トイレと水場が近く、車や管理棟へ戻りやすい場所なら、予想より寒かったり風が強くなったりしたときにも予定を変更できます。

    予約前には、タープだけで宿泊してよいか確認します。キャンプ場によって「テント1張、タープ1張」のように張数を定めている場合や、フリーサイト、ソロサイトなどで利用条件が異なることがあります。タープ泊そのものを禁止していなくても、区画の広さによって希望する張り方ができないこともあります。

    サイトへ着いたら、景色だけで場所を決めません。地面がほぼ平らで、少し離れた場所へ水が流れそうな場所を探し、真上に枯れ枝がないか、夜のトイレまで安全に歩けるかも見ます。水辺ぎりぎりや風が抜け続ける場所は気持ちよく見えますが、初回は少し内側の落ち着いた場所のほうが一晩を組み立てやすくなります。

    周囲から寝床が見えすぎないことも大切です。夜は片側を下げられる向きで設営し、着替えは車内やキャンプ場の更衣設備を使うなど、最初から生活動線まで考えておくと落ち着きます。

    最初は、きれいな形より雨と風を逃がす

    タープを広げる前に、まず風がどちらから来ているかを見ます。風を正面から大きな面で受ける形より、風上側を低くしたり、面積を小さくしたりしたほうが落ち着きます。ただし張り方には製品ごとの条件があるため、購入したタープの取扱説明書を優先します。

    初回は複雑な張り方を覚えるより、ポール2本を使った基本的な屋根形や、片側を低くしたシンプルな形で十分です。張り綱をどこへ伸ばすと幕が安定するのかを覚え、ペグがきちんと地面へ効いていることを1本ずつ確認します。

    雨が予想されるなら、タープの中央へ水がたまらないよう明確な傾斜を作ります。少しのくぼみでも雨が続くと水が集まり、幕が大きくたわむことがあります。寝床はタープの端から少し内側へ置き、横から雨が吹き込んでも寝袋へ直接当たりにくい余白を残します。

    設営が終わったあと、一度寝床へ横になってみます。この確認をすると、頭のすぐ上に濡れた幕が来ている、足元だけ雨の吹き込みに近い、夜トイレへ出るとき張り綱につまずきそう、といったことに気づけます。立った状態で形を見るだけでは分からない部分です。

    寝床は「上からの雨」より「下と横」も考える

    地面へマットを敷く

    最も簡単なのは、防水性のあるグラウンドシートを敷き、その上へ断熱用のマットと寝袋を置く方法です。荷物を小さくしやすく、座った状態で生活するキャンプとも相性があります。

    一方で、地面を流れる水や湿気の影響を受けやすくなります。シートを必要以上にタープの外へ出すと雨水を受けるため、寝床の範囲に収めます。マットは単なるクッションではなく、地面から伝わる冷えを減らす役割があります。

    コットを使う

    コットは、布張りの簡易ベッドのような道具です。寝床を地面から十数cm以上持ち上げられるため、多少の湿気や小さな凹凸から距離を取れます。雨の日に地面へ水が回り込んだとき、コットが助けになったというキャンプ体験もあります。

    ただし、地面から離れれば暖かくなるとは限りません。コットの下へ空気が通るため、寒い時期は背中側から熱を失いやすくなります。コットの上にも気温に合ったマットを組み合わせます。

    虫が気になる時期は寝床だけ囲う

    タープにはテントのような防虫用のメッシュ壁がありません。春の終わりから秋にかけては、寝床へ小型の蚊帳やメッシュシェルターを置くとかなり過ごしやすくなります。

    大きなスクリーンタープで全体を囲う方法もありますが、それではタープ泊の軽さや開放感が薄くなります。最初は寝る範囲だけ守り、昼間は外へ開いておくくらいが扱いやすい組み合わせです。

    初めてタープ泊をする日の流れ

    明るいうちにキャンプ場へ着く

    初回は、日没の3〜4時間前には到着できる予定を組みます。受付を済ませたら、サイトの範囲、火気、消灯時間、ごみの扱い、車両の出入りなどを確認します。

    そのあとすぐ料理を始めず、まず一晩過ごす場所を完成させます。暗くなってから初めて張り綱を調整するより、明るいうちに納得できる形へ直しておくほうが余裕があります。

    タープを仮に張ってから寝床を置く

    最初からすべてのペグを深く打ち込まず、おおまかな位置を作ります。寝床を実際に置いてみて、頭や足が幕へ近すぎないか、荷物を置く場所があるかを確かめます。

    位置が決まってから張り綱を整え、ペグを確実に固定します。設営中に風が出てきた場合は、広げたタープを放置せず、飛ばされないよう一度畳む判断も必要です。

    日があるうちに夜の形へ変えてみる

    昼間は開放的に張っていても、そのまま夜を迎えるとは限りません。風が吹き込みそうな方向を下げたり、周囲から寝床が見えにくい形にしたりして、夜用の形を一度作ってみます。

    この段階で出入口も決めます。ヘッドライトをつけ、実際に一度出入りしておくと、暗くなってから張り綱へ足を引っかけにくくなります。

    夕食は簡単にする

    初回は料理を主役にしないほうが一晩を楽しめます。自宅で下ごしらえしたものを温める、湯を沸かして簡単な食事にするなど、作業を少なくします。

    燃焼器具は、閉じたタープの中を「室内」のように使って燃やさないことが大切です。NITEは、換気が不十分なテントなどで、たき火、ガスこんろ、ストーブ、燃料式ランタンを使うと一酸化炭素中毒につながるおそれがあるとして、風通しのよい屋外で使うよう注意喚起しています。

    寝る前に天候と張り綱をもう一度見る

    夕方から夜にかけて、気温や風向きが変わることがあります。スマートフォンで最新の予報を確認し、タープが緩んでいないか、ペグが浮いていないかを見ます。

    食べ物やごみも片づけます。野生動物がいる地域では、食料、荷物、ごみを放置せず、利用できるフードロッカーなどがあれば使用します。環境省もキャンプ場で食料やごみを適切に管理するよう案内しています。

    朝は乾かす時間を残す

    晴れた朝でも、タープの表面が夜露で濡れていることがあります。起きてすぐ収納せず、朝食や片づけをしながら乾燥させます。

    完全に乾かなければ、自宅へ戻ってからもう一度広げます。濡れたまま長く収納すると、カビ、臭い、生地の劣化につながるため、帰宅後の乾燥までがタープ泊の片づけです。メーカーも濡れた状態での長期保管を避けるよう案内しています。

    最初に必要なもの

    最低限必要なもの

    中心になるのは、防水性のあるキャンプ用タープ、設営に合ったポール、張り綱、ペグ、ペグハンマーです。付属ペグだけでは地面に合わない場合があるため、利用するサイトの地面を想定して用意します。

    寝床には、グラウンドシート、マット、予想最低気温に合う寝袋が必要です。さらに、夜間に両手を空けられるヘッドライト、飲料水、雨具、着替え、スマートフォンと予備電源などを準備します。

    あると便利なもの

    コットは雨や湿気の影響を受けにくい寝床を作りやすく、タープ泊との相性がよい道具です。虫がいる季節には小型の蚊帳やメッシュシェルター、雨が吹き込みやすい季節には寝袋を守るカバーも役立ちます。

    小さなほうきや布も意外に便利です。タープ泊では地面と生活空間が近いため、芝や砂が寝床へ入りやすく、撤収前に簡単に掃除できるものがあると片づけが楽になります。

    続けてから考えたいもの

    軽量タープ、高価なコット、軽量ペグ、専用ポールなどは、何泊かしてから選んでも遅くありません。車で出かけるタープ泊と、徒歩や自転車で運ぶタープ泊では、同じ道具でも重さの意味が大きく違います。

    最初から理想の装備を完成させようとすると、使わない道具も増えます。「雨の日でも行きたい」「荷物を背負って移動したい」「冬にも続けたい」といった方向が見えてから選ぶほうが、自分のキャンプに合った買い物になります。

    安全に続けるために気をつけたいこと

    タープ泊で最も無理をしないほうがよいのは風です。タープは広い布で風を受けるため、張り方だけですべての天候へ対応できるわけではありません。強風、雷、激しい雨が予想されるときは通常のテントへ変更する、車や宿泊施設へ移る、キャンプ自体を中止するなど、別の選択肢を残します。

    火はタープ生地から十分に離し、施設と道具のルールに従います。特に周囲を低く閉じた張り方では、燃焼式の暖房器具や調理器具を室内感覚で使わないようにします。暖を取るためにタープを閉じ、その中で火を使うという組み合わせは避けます。

    夜間は張り綱が見えにくくなります。通路になる側へ張り綱を集中させず、必要なら目印を付けます。眠る前にライト、靴、雨具を同じ場所へ置き、急に雨が強くなってもすぐ動けるようにしておくと慌てません。

    食べ物やごみは寝床の脇へ出したままにせず、その地域とキャンプ場が定める方法で保管します。野生動物への対策は地域によって大きく違うので、予約時や受付時に現地情報を確認します。

    張り方を増やすときは、一つだけ変える

    タープにはさまざまな張り方がありますが、最初から毎回違う形を試すと、何が快適さにつながったのか分からなくなります。最初の数回は同じ基本形を使い、高さだけ変える、片側だけ下げる、寝床の方向だけ変えるというように、一つずつ試します。

    雨の日にも挑戦したくなったら、最初から本降りの日を選ぶ必要はありません。弱い雨のデイキャンプで水がどこを流れるかを見るだけでも学べます。タープの端から落ちた水が寝床へ回り込む場所や、風が変わるとどの方向から吹き込むかが分かります。

    軽量化も同じです。コットを外す、調理用品を一つ減らす、椅子を小さくするといった変更を1回に一つだけ行えば、快適さとの交換条件が見えます。荷物が軽いことそのものより、「これなら一晩過ごせる」という自分なりの最低限を見つけることが目的になります。

    張り方と天気を記録しておく

    撤収後に残しておきたいのは、道具の名前だけではありません。どちらから風が吹いていたか、タープをどのくらい低くしたか、夜の最低気温、寝袋の暖かさ、結露の量などを短く記録します。

    写真も役立ちます。設営直後の全体写真を1枚撮っておけば、次回同じ形を再現しやすくなります。「夜は足側が少し濡れた」「入口を反対にしたほうが朝日を入れられそう」と一言添えるだけでも、次の設営が変わります。

    帰宅後はタープを完全に乾かし、張り綱の傷み、ペグの曲がり、生地の小さな破れを確認します。次回のキャンプ場で初めて不具合に気づくより、自宅で直しておくほうが安心です。

    続けるほど変わる五つの楽しみ方

    第1段階:まず一晩を落ち着いて過ごす

    最初は、管理されたキャンプ場で基本的な形を一つ張り、寝床を濡らさず朝を迎えることが目標です。きれいな設営写真を作るより、暗くなる前に生活場所を完成させ、余裕を残して眠れるほうが大切です。

    夜中に少し寒かった、朝はタープがかなり濡れたという経験も失敗とは限りません。次回どこを変えればよいかが分かれば、それが最初のタープ泊から得られる一番大きな情報になります。

    第2段階:同じ張り方を再現できるようになる

    2回目、3回目は、前回と似た形を自分で作ってみます。ペグを打つ位置やポールの高さを考え込まずに決められるようになると、設営時間が少しずつ短くなります。

    余った時間を料理や散歩へ回せるようになると、タープを張る作業だけで一日が終わらなくなります。キャンプの中にタープ泊が自然に収まり始める段階です。

    第3段階:自分の快適さの基準を持つ

    何泊かすると、コットが好きなのか、地面に近いほうが落ち着くのか、どの程度開いていると眠りやすいのかが分かってきます。虫への許容度や寒さへの強さも人によって違います。

    ここからは「一般的に正しい装備」より、自分が眠れる装備を考えられるようになります。タープの大きさ、寝袋、マット、蚊帳の組み合わせにも理由が生まれます。

    第4段階:季節や場所に合わせて形を変える

    晴れた林間では大きく開き、風が通る高原では低くする。雨が心配な日は寝床側の面を深く落とすなど、その日の条件から張り方を考えます。

    設営方法を覚えることが目的ではなく、現地を見て選べることが楽しさになります。同じタープでも毎回少し違う居場所ができるため、よく行くキャンプ場でも新鮮さが残ります。

    第5段階:移動方法や別の外遊びへ広げる

    装備が整理されてくると、自転車や徒歩でキャンプ場へ向かう、星空を見るために照明の少ない場所を選ぶ、日中はハイキングを楽しんでから泊まるといった広げ方ができます。

    反対に、快適さを大切にして車でコットや厚いマットを運ぶのも一つの完成形です。タープ泊には決まった到達点がなく、「何を持たずに行けるか」ではなく、自分が外でどんな夜を過ごしたいかによって形が変わっていきます。

    タープ泊と組み合わせやすい趣味

    ソロキャンプ

    タープ泊は、ソロキャンプの中でも寝床をより開放的にした楽しみ方です。食事、ライト、寝袋など多くの道具はそのまま共有できるため、すでにソロキャンプをしている人なら、新しく覚えるのは主にタープの張り方と雨風への対応になります。

    最初からタープ泊だけを目指すのが不安なら、テントも車へ積んでおき、天候が安定しているときだけタープで眠る方法もあります。逃げ道を残した状態で試せるので、初回には特に相性のよい組み合わせです。


    デイキャンプ

    タープ泊を始める前の練習として、とても相性がよいのがデイキャンプです。昼間にタープを張り、マットやコットまで置けば、宿泊しなくても設営の大部分を試せます。

    一度撤収まで経験しておけば、初めて泊まる日に「この張り綱はどこへ付けるのだろう」と暗くなるまで悩まずに済みます。風の弱い日に基本形を繰り返すだけでも、タープ泊への距離はかなり近くなります。


    星空観察

    タープ泊では、寝床からそのまま夜空を見られる配置を作れます。晴れた夜に入口を空の開けた方向へ向ければ、寝袋へ入ったあとも星を眺められます。

    天体望遠鏡を用意しなくても、ライトを消して目を暗さへ慣らすだけで見える星は増えていきます。星を見る夜は料理や焚き火を早めに終え、静かな時間を長めに取ると、普段とは違うタープ泊になります。


    初めてなら、管理されたキャンプ場で1泊から

    初めてのタープ泊では、まず天候が安定した春か秋の1泊を選びます。前日と当日に天気を確認し、強い風やまとまった雨が予想されるなら別日に変更します。場所は管理人がいて、トイレと水場が利用でき、車へ戻りやすいキャンプ場が安心です。

    道具は、タープ、ポール、張り綱、ペグ、ハンマー、グラウンドシート、マット、寝袋、ヘッドライトを基本にします。虫がいる季節なら小型の蚊帳を加えます。コットは持っていれば使い、持っていなければ初回から購入せず、レンタルできる施設を探しても構いません。

    14時ごろに到着し、15時までにタープを張ります。最初は複雑な形を選ばず、寝床が雨の吹き込みから少し離れ、夜に片側を下げられる形にします。その場で寝転び、幕へ頭や足が触れないことまで確認します。

    夕食は温めるだけの料理や簡単な麺類などにして、日没前後には片づけを始めます。暗くなったらタープの周囲と張り綱を確認し、食料とごみを片づけ、翌朝すぐ使うライトと靴だけを手の届く場所へ置きます。

    夜は「外で眠る感覚」を確認することが最初の目的です。多少音が気になったり、テントより落ち着かなかったりしても、すぐに装備不足と考えず、何が気になったのかだけ覚えておきます。寒さや風が想定を超えた場合は、無理に朝まで続けず、用意していた別の宿泊方法へ切り替えます。

    翌朝はタープを乾かしながら簡単な朝食を取り、寝床、荷物、最後にタープの順で片づけます。帰宅後、「寒さ」「虫」「雨や結露」「寝心地」「設営しやすさ」のうち、次回一つだけ改善したい点を決めれば、2回目のタープ泊はかなり組み立てやすくなります。

    まとめ

    タープ泊は、テントを省略しただけのキャンプではありません。外との境界をあえて少なくし、1枚の布と寝床を使って、その日の風や雨に合わせた小さな生活場所を自分で作る楽しみがあります。

    その分、最初から気軽にどんな天候でもできるわけではありません。雨、風、虫、夜露、地面の冷えを受けやすいため、初回は天候の穏やかな日と管理されたキャンプ場を選ぶことが、道具を増やすこと以上に大切です。

    続けていくと、上達は設営時間だけには表れません。風を見て入口を決められたこと、雨が来る前に寝床を動かせたこと、前回持っていった道具を一つ減らせたことも、タープ泊に慣れてきた変化です。

    タープを大きく開いて眠る人もいれば、夜だけ低く閉じる人もいます。コットで地面から離れる人も、薄いマットで地面に近く過ごす人もいます。何泊かするうちに、自分が心地よいと感じる「外との距離」が見つかっていきます。

    気になっているなら、いきなり遠くのキャンプ場へ出かける必要はありません。まずは近くのキャンプ場でデイキャンプをし、タープを張って、その下に寝床を作ってみる。そこで「このまま一晩過ごしてみたい」と感じたら、次の休日に1泊へ進むくらいが、タープ泊を無理なく始めるちょうどよい順番です。

    休日のよりみち帖について

    「休日のよりみち帖」では、時間、費用、始めやすさ、必要な道具、最初の一日の過ごし方、続けた先にある楽しみまで、さまざまな趣味やレジャーを一つずつ調べて紹介しています。

    新しいことを始めてみたいと思っても、どこへ行けばよいのか、何を用意すればよいのか、自分にも続けられるのかが分からず、最初の一歩を迷うことがあります。そんなときに、気になる趣味の全体像を知り、次の休日に試すものを探せる場所を目指しています。

    この記事を読んでタープ泊が気になった方は、まずは管理されたキャンプ場でタープを張り、昼間に寝床まで作ってみるところから始めてみてください。ほかの趣味も見てみたい方は、クリエイターページや趣味一覧から、今の暮らしや次の休日に合いそうなものを探していただけます。

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