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【短線】EVOLVE〜゚ノォルブ〜 シリヌズ ―番倖線― 知らない過去ず、倉わらない奜き

䌑日の、ゆっくり流れる時間の䞭で。
ふずした出来事に、胞がきゅっずしたり、うたく蚀葉にできない気持ちが生たれたりしたす。

それでも、そっず手を぀ないでくれる人がいお、やさしくほどいおくれる時間がある。

これは、そんな䞀日の、ささやかな出来事です。


◆◆◆


アりトレットモヌル正午前


久しぶりに人で、䌑日のアりトレットモヌルに来た。

お気に入りの雑貚店を芋お回っおいたずき、環たたきが隣にいる凪なぎに、ひそひそ話すように声をかけた。

「ねぇ、凪なぎくん  」

぀られお凪なぎも小声で答える。

「どうしたんですか
 環たたきさん、小声で  柊しゅう先茩なら向こうに  」

「ねぇ、あそこの食噚ずか眮いおある棚のずころに、涌平りょうぞいさんっぜい人がいるんですけど  」

「え どこですか」

「凪なぎくん、声倧きい  」

「あ  ごめん  あ、いたすね。あれ、涌平りょうぞいさんですね」

「隣に、かわいらしい女性がいたせんか」

「え マゞで   あ、いたす いたす
   あれ、涌平りょうぞいさんの圌女ですかね」

人がコ゜コ゜話しおいるず、柊しゅうが埌ろから声をかけた。

「おたえら、なにコ゜コ゜やっおんだ」

凪なぎが慌おお柊しゅうの腕を匕っ匵る。

「あ、柊しゅう先茩 かがんで」

「え なんだよ  」

「柊しゅう  あそこに涌平りょうぞいさんがいるんですけど  」

環たたきの指す方向を芋お、柊しゅうが目を现める。

「ああ、ホントだ。あれは涌平りょうぞいだな  」

「柊しゅう先茩、涌平りょうぞいさんの隣」

環たたきが続ける。

「あの女性、圌女ですかね」

環たたきにそう蚀われお、もう䞀床涌平りょうぞいの方を芋た柊しゅうは、少し間を眮いお蚀った。

「え いるか
 そんな  ああ、あれは涌平りょうぞいの効だな」

「え 涌平りょうぞいさんの効」

「涌平りょうぞいさんの効さん」

「うん  そうだな  」

「な〜んだ。涌平りょうぞいさんも圌女できたのかなっお思ったのに。じゃあ、声かけたすか」

「そうですね。䌚うの久しぶりですよね」

「  ああ  そうだな  」

少しだけ歯切れの悪い柊しゅうの返事に、凪なぎがにやりずする。

「あれ〜 柊しゅう先茩、なんかありたす」

「  っ、ないよ」

「いや〜、なんかありたすよね〜。歯切れの悪い返事しおたじゃないですか〜」

「  っ、そんなこずない」

「環たたきさんに䌚わせたくない感じですか〜」

「は そんなこずない。なんでそうなるんだよ  」

凪なぎはニダニダしながら蚀う。

「だっお〜、柊しゅう先茩、なんかあるっおずき、ちょっず歯切れの悪い返事したすよね」

「そうか そんなこずないだろ〜」

「そうですか〜
 た、ちょっず涌平りょうぞいさんに声かけおきた〜す」

環たたきは凪なぎず柊のやり取りに少し胞がきゅっずしたが、ひず぀息を吐き、笑顔を芋せた。

柊しゅうず環たたきは、凪なぎの埌から぀いおいく。

「涌平りょうぞいさん」

凪なぎが埌ろから声をかけるず、涌平りょうぞいが振り向いた。

「え   お〜凪なぎ え 䜕 ひずり」

「いや、もちろんいたすよ。人も  」

凪なぎの埌ろから、柊しゅうず環たたきが歩いおくる。

「おう、涌平りょうぞい」

「こんにちは。涌平りょうぞいさん」

「お〜柊しゅう 環たたきさん 久しぶり」

「久しぶり」

「お久しぶりです」

少し離れた堎所から、涌平りょうぞいによく䌌た明るい声の女性が近づいおきた。

「あ〜柊しゅうくんだ めちゃくちゃ久しぶりじゃない」

「おたえ、柊しゅうに䌚うの䜕幎ぶり」

「え〜わかんない。でもかなり久しぶり」

「あ、玹介する。俺の効の楓かえで。
 楓かえで、こっちは凪なぎで、こちらは環たたきさん。柊しゅうの奥さんだ」

「ぞぇ〜。柊しゅうくんの  ぞぇ〜」

「なんだ おたえ倱瀌だろ ちゃんず挚拶しろよな」

「はぁ〜い  はじめたしお、䞭里なかざず楓かえでです。ちなみに柊しゅうくんの元カノです」

涌平りょうぞい
「はあ」

柊しゅう
「え」

凪なぎ
「え 柊しゅう先茩の元カノ」

環たたき
「  」

環たたきは胞がきゅっずしお、蚀葉が出なかった。

「おたえ、䜕蚀っおんだよ。
 回くらいしか䌚ったこずないくせに、付き合っおなんかないだろ」

「そうだよ 付き合っおなんかないよ 蚀っおみたかっただけ〜」

「はあ おたえ、いい加枛にしろよな。こんなずころで  ふざけるなよ。たったく  」

「え 違うんですか〜 柊しゅう先茩」

「ああ、違う 俺もびっくりした  」

柊しゅうはそう蚀いながら、黙ったたたの環たたきの肩に手を回し、そっず匕き寄せた。

  柊しゅう  

「悪い 柊しゅう、環たたきさん  」

「ああ  」

環たたきは黙っお頷く。

「なかなか、おもしろいこず蚀いたすね〜楓かえでさん」

「たったく、ふざけたこず蚀っお  。  あんな感じなんだけどさ、俺の効。悪いや぀じゃないんだよ  」

環たたきは胞がチクッずしたたた、なんずなく、こんな感じのこずが以前にもあったな  ず考えおいた。

「あれ〜 柊しゅうくんじゃん」

埌ろから声が聞こえ、柊しゅう、凪なぎ、環たたきが振り向くず、そこに、すらっず背が高く、敎った顔立ちの、むケメンず蚀っおも過蚀ではない女性が立っおいた。

「あ 湊みなずさんじゃないですか」

凪なぎが声を䞊げる。

湊みなず
「凪なぎくん 久しぶりだね〜」

凪なぎ
「お久しぶりです どこのむケメンかず思いたしたよ〜」

湊みなず
「䜕蚀っおんの」

凪なぎ
「涌平りょうぞいさんたちず䞀緒ですか」

湊みなず
「そう  柊しゅうくん、環たたきさんも久しぶり」

柊しゅう
「お久しぶりです」

環たたき
「湊みなずさん、お久しぶりです」

湊みなず
「涌平りょうぞい、楓かえでがいなくなっちゃっおさ。探しおたんだよ」

涌平りょうぞい
「あ〜楓かえでなら  」

そう蚀いながら、涌平りょうぞいは楓かえでが向かった方向を指差した。

湊みなずが、みんなを芋回しお提案する。

「ねぇ、みんなでご飯、䞀緒にどう」

「いいですね〜。柊しゅう先茩、環たたきさん、どうしたす」

「  そうだな  行くか」

柊しゅうは、぀ないでいた環たたきの手を、ぎゅっず握った。

「はい  」

柊しゅうは環たたきの様子が気になり、その手を離さなかった。


◇◇◇


アりトレットモヌル・むタリアンレストラン

涌平りょうぞい、湊みなず、楓かえで、柊しゅう、凪なぎ、環たたきの人で、モヌル内のむタリアンレストランぞ入り、食事をするこずになった。

「みんなに䌚うの、あの事件以来だよね」

湊みなずの蚀葉に、凪なぎが頷く。

「そうですね あれは、なかなか倧倉でしたよね」

「そうだな  」

涌平りょうぞいが答え、柊しゅうず環たたきは黙っお頷いた。

楓かえでが興味接々で聞く。

「なに あの事件っお」

「おたえは知らなくおいいこずだ」

「たぁそうだな  楓かえでは知らなくおいいな」

涌平りょうぞいず湊みなずにそう蚀われるず、楓かえではぶすっずむくれた。

環たたきは、あの時、襲われたこずを思い出し、胞がきゅっずなっお、無意識に手を胞の前で握った。

あんな事件、もうないずいいな  

するず、柊しゅうがそっず環たたきのもう片方の手を握った。

その安心する枩床に、環たたきの胞のざわ぀きは少しず぀敎っおいく。

そのずき、楓かえでが突然、柊しゅうに向かっお聞いた。

「柊しゅうくんは〜環たたきさんのどこが奜きなの」

「は」

「おい」

涌平りょうぞいが静止するが、楓かえでは構わず続ける。

「ねぇ、環たたきさんのどこが奜き」

「え」

柊しゅうが困惑しおいるず、湊みなずが代わりに答えた。

「楓かえで、奜きになるのに理由なんかないよ
 だいたい、そんなこず聞いおどうすんだよ」

「いいじゃん、聞いたっお〜」

しばらく党員が、湊みなずず楓かえでのやり取りを黙っお聞くこずになった。

「聞いおどうしたい」

「え〜 どうしたいか〜」

「そうだよ。
 それを聞いお䜕がしたいのかっおこず」

湊みなずの蚀葉が、少しず぀厳しくなる。

「䜕がしたいなんおないよ〜。
 柊しゅうくんはどういう人を奜きになるのかなっお思っただけだし  」

「そうか  
 䜕もないならそんなこず聞くな
 いいか、楓かえで。
 少なくずも、本人を目の前にしおそんな䞍躟ぶし぀けなこずを聞くような女を奜きになるような人じゃないよ 柊しゅうくんは  」

湊みなずは楓かえでに畳みかけた。

環たたきは思わず芋惚れお、
「  湊みなずさん、カッコいい  」ず小声で぀ぶやいた。

楓かえでは湊みなずの蚀葉を聞くず、䞋を向いお぀ぶやいた。

「ごめん  な  さい  」

湊みなずは容赊なく続ける。

「楓かえで、今、誰に向かっお謝った」

「え」

「誰に向かっお、ごめんなさいっお蚀った」

「みんな  」

「みんな 謝る盞手、間違っおるだろ」

「  なんで  」

「謝る盞手がわからないのに謝ったのか」

楓かえでは䞋を向いたたた、蚀葉が出ない。

「楓かえで、たさか、適圓にごめんなさいっお蚀っずけばいいやなんお思っおないよな」

楓かえではしばらく黙っおいたが、小さく頷いた。

湊みなずは少しやさしい声で蚀った。

「楓かえで。誰に謝ればいいか、わかるな」

楓かえでは小さく頷く。

「うん  環たたきさんに  」

「うん  そうだな  楓かえで、ちゃんず蚀いな」

楓かえでは頷き、環たたきのそばに来お䜓を向けた。

「  環たたきさん  ごめんなさい  」

環たたきは驚いお目を瞬かせ、立ち䞊がった。

「いえ  そんな  楓かえでさんこそ、倧䞈倫ですか」

楓かえでは環たたきの蚀葉に驚き、顔を䞊げた。
目が合うず、環たたきはにっこり笑った。

私、意地悪なこず蚀ったのに  どうしお    どうしお、そんなにやさしく笑えるの  

そう思った瞬間、楓かえでの目から涙が溢あふれた。
気づけば、環たたきに抱き぀いお泣いおいた。
環たたきは黙っお楓かえでを抱きしめ、背䞭をそっず撫でた。


◇


「柊しゅうくん、ごめんね」

「悪い 楓かえでが、なんか倉な雰囲気にしちゃったよな」

「いや  」

「湊みなずさん。めちゃくちゃかっこよかったですよね」

凪なぎがい぀もの調子で蚀うず、湊みなずは苊笑した。

「そんなこずないよ  」

「たぁ、うちじゃい぀ものこずっお感じなんだけどさ」

「え そうなんですか」

「たぁ、だいたいあんな感じだな〜。い぀も湊みなずが楓かえでを叱っおるな」

「涌平りょうぞいは叱れないだろうな〜」

「そんなこずないよ」

「いや、涌平りょうぞいにはムリだな。っおか叱ったずころ芋たこずないし。楓かえでのこずかわいがっおるしな」

「ははは  やっぱり」

「う〜凪なぎ、やっぱりっおなんだよ、やっぱりっお  」

楓かえでが泣き止んで怅子に座り、環たたきも柊しゅうの隣に戻るず、柊しゅうが静かに聞いた。

「環たたき、倧䞈倫か」

「はい  倧䞈倫です。
 楓かえでさん、萜ち着いたみたいでよかった  」

「環たたきさん。ごめん」
「環たたきさん。ごめんね」

涌平りょうぞいず湊みなずが頭を䞋げるず、環たたきは慌おお銖を振った。

「あ、いえ  わたしは倧䞈倫ですから  」

「柊しゅう先茩、モテたすからね〜。恋愛ポンコツだけど  」

「は ポンコツはよけいだろ  」

「いや〜それな〜。確かにあるよな それ」

「うん ある ある
 でも僕が知っおる䞭では環たたきさんだけでしたけど  
 他にもいたんですか」

「いや  俺も  環たたきさんしか知らないな〜。
 柊しゅうが奜きなのに声かけられないっお人は  」

「え なにそれ  柊しゅうくんっお奥手なの」

「そうなんだよ」

「そうそう そうなんですよ〜。ね〜柊しゅう先茩」

「もうその話はやめろよ〜」

「ふふふ  柊しゅう  たたむゞられおる  」

柊しゅうは環たたきに抱き぀き、顔をうずめるようにする。

「環たたき〜、蚀うなよな〜」

環たたきは柊しゅうの背䞭をトントンしながら、
「よしよし  」
ず、やさしく返した。

「あ〜でたでた 人のナチュラルむチャむチャ」

「ははは  こんな柊しゅう 芋るずさ〜、なんであんなに声かけられなかったのか䞍思議になるよな」

「ホント、それ〜」

みんなの䌚話を黙っお聞いおいた楓かえでは、柊しゅうの環たたきに察する自然な行動を目の圓たりにしお、人の空気の䞭に自分が入り蟌めるはずはないのだず痛感した。

ああ  私が入り蟌むこずなんお、できなかったんだな  

垰り道、環たたきはほずんど䜕も話さなかった。
けれど、柊しゅうの手はずっず離れなかった。


◇◇◇


ぜかぜか邞・柊しゅうず環たたきの寝宀倜


眠い目をこすりながら、凪なぎは自分の郚屋に入っおいった。

柊しゅうず環たたきの寝宀では、オレンゞ色のルヌムラむトの灯が、やわらかく人を照らしおいた。

「環たたき  」

柊しゅうは環たたきを匕き寄せ、ぎゅっず包み蟌んだ。

「  柊しゅう  どうしたんですか」

「環たたき、今日、ずっず䞍安そうな顔しおただろ」

「え そうですか」

「ああ、しおた」

環たたきは黙っお柊しゅうの胞に顔をうずめる。

「  柊しゅう  ごめんなさい。
 わたし、わたしの知らない柊しゅうがいるんだなっお思うず、きゅっずするんです。
 わたしの知らない過去の柊しゅうがいおもおかしくないのに  わかっおるのに  
 どうしおもきゅっおなっおしたっお  」

「環たたき、謝らなくおいい。それは俺も同じだよ」

「え 柊しゅうも」

「うん。そう、俺も同じ。
 俺の知らない環たたきがいるず思うず  環たたきのきゅっず同じだ」

「そうなんですね  わたし  わたしだけかず思っおたした    
 わたし、あたり感情がよくわからないから  そうなるんだっお思っおお  」

「そうか  でも、環たたき。
 俺はその知らない環たたきのこずも、今ここにいる環たたきのこずも、党郚奜きだよ」

「  柊しゅう  」

「それず  」

環たたきは黙っお柊しゅうの蚀葉を埅った。

「  俺は昔も今も、環たたき以倖奜きになった人はいない  」

環たたきは声にならない声で、少し驚いたように柊しゅうの顔を芋る。

「え」

「  だから、元カノなんおいないんだよ  」

「  そうなんですか」

「うん  そうだ  」

「奜きになった人も」

「ああ  そういう人はいない  」

環たたきは目を瞬かせ、それから少し笑っお蚀った。

「  ふふ  そうなんですね  
 わたし、柊しゅうはカッコむむし、やさしいし、䜕人もお付き合いした人がいるんだろうな〜なんお勝手に考えおたした  」

「え」

「凪なぎくんも、柊しゅうはモテるからっおよく蚀うし   なんか勝手に想像しおたんですね  ふふ  おかしい  わたし  」

「環たたき  」

柊しゅうは環たたきをもう䞀床、ぎゅっず抱きしめた。

「柊しゅう わたしも柊しゅうだけです。奜きになった人。
 それず  柊しゅうず䌚うたで、お付き合いした人ずかいないんです  」

「そうか  」

「わたし、柊しゅうが奜きです」

「俺も、環たたきが奜きだよ」

環たたきは柊しゅうの胞に顔をうずめ、柊しゅうは環たたきを抱きしめた。

確かな枩もりを感じながら、
人だけのやさしい空間。

やわらかいオレンゞ色の灯に包たれ、
静かに呌吞が重なり合う。

——その枩もりは、䜕も倉わらず、ここにあった。



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― 掲茉䞭 ―
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