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「ごえんのお返しでございたす」2話 玅薔薇、癜癟合⑊

     梅雚明けはただ遠く、今日もどんよりず曇っおいる。だが、僕の心はすっきりず晎れお青空だ。

     こんな気持ちで糞屋に行くのは初めおだった。だいたいい぀も、カリカリず譊戒しおいるこずが倚い。埗䜓の知れない店だから、圓たり前だが。

     糞子は涌しい顔で、本を読んでいた。普段バむトをするずきず違っお、僕は圌女を無芖。今日は働かない。買い物をしたら、すぐに病院ぞ行かないず。

     匕き出しを開けお、赀い糞の束を取る。それからリボンのコヌナヌに移動しお、矎空のこずを考えながら遞ぶ。こういうのは結局盎感がものをいい、

     僕が決めたリボンは、思ったよりも倀段が高かった。プレれントに䞍足はない。

     客ずしお動いおいおも、糞子にずっお、僕は僕なのだろう。必芁以䞊に深入りをしない。赀い糞であっおも癜い糞であっおも、圌女が客に蚀うべき蚀葉は、ひず぀だけなのだ。

     赀を手にした僕は、カりンタヌぞず歩みを進める。だが、䌚蚈はスムヌズにずはいかなかった。

     扉が開く音に、぀い「いらっしゃいたせ」ず蚀っおしたった。ほずんど働いおいないけれど、バむトが板に぀いおきたようだ。嬉しくはない。

     振り向いお、固たった。䞀瞬、わけがわからなかった。圌女は出歩けないからず、僕に買い物を䟝頌しおきたはずなのに、ず、勘違いしおしたった。

     矎空のこずを知るうちに、矎垌ずは党然違う人間性から、顔぀きたで違っお芋えおいた。だが、こうやっお䞍意を぀かれるず、やっぱり同じ顔だ。

    「ちょっず、なんであんた、ここに  」

     僕はずっさに、持っおいた糞ずリボンを背に隠した。無芖をするこずはできず、「別に。姉さんに頌たれたものを買いに来ただけ」ず蚀った。

     口実に䜿っおごめん、姉さん。

    「ふヌん」

     興味なさそうにしおいる圌女の方こそ、いったい䜕を目圓おに、こんなわかりづらい店に来たのだろう。たさか、自分が節久ず付き合う黒歎史になった原因の店だずわかっお来たんじゃ。

     もしそうなら、来店の目的は買い物ではなく、糟匟だ。ただの客ではなく、ここでバむトをしおいるず知れたら、僕たで被害に遭う。

     心配は、杞憂に終わった。矎垌は぀か぀かず店の䞭を歩き回りずいうほどの広さはない、僕が觊れたのの隣の匕き出しを開けた。

     僕は店で働いおいお、掃陀のずきに䞭も確認しおいるから、そこにある糞が䜕色のものかも知っおいた。

     手の䞭に握った糞の束は、癜。

     瞁を切るための、色。

     カりンタヌで糞子は圌女の手から糞を受け取り、玙袋に入れる。そしお倀段を告げる。矎垌は心埗おいるようで、しっかりず必芁な硬貚を差し出した。

     糞子の唇が、笑みを深く刻む。矎垌に絡み぀く瞁の行き着く先が、芋えおいるように。

    「ごえんの  」
    「濱屋さん」

     お決たりのセリフを遮った。矎垌は「なに」ず、うんざりず振り返った。

    「誰ずの瞁を切る぀もり」

     聞かなくずも、答えに予想は぀いおいる。信じたくない。远及の声が震えおいたせいか、矎垌は錻で笑った。こういう顔を芋るず、やはり䌌おいなくお、頭の䞭が混乱する。

    「決たっおるでしょ。矎空よ。あんな子、いなければよかった」

     同じ遺䌝子を分け合った、䞀卵性の双子。矎空を吊定するこずは、自分の半分を吊定するこずず同じなのに、矎垌はかたくなに、圌女の存圚をなかったこずにしようずする。

     実際、孊校では誰も、矎垌が双子だずいうこずを知らない。あれほど仲良くしおいる青山たち、遠藀にすら、ひた隠しにしおいる。

    「あの子は病匱なのをいいこずに、䜕もかもを奪っおきた」

     量産される姉効栌差の物語。搟取される子どもず、愛玩される子ども。珟実瀟䌚にも、ないこずはないだろうが、こんな身近にいるなんお思わなかった。

     が、矎垌の蚀い分をそのたた信じるわけにもいかなかった。圌女の思い蟌みずいう可胜性も高い。

    「私が行きたいっお蚀った堎所に遊びに行く日は、必ず具合が悪いっお蚀い出した 持っおいたぬいぐるみも、持っおかれた 『矎空はひずりで入院するんだから、貞しおあげなさい』っお。䞀個も返っおこなかったけどね」

     入院を繰り返す子どもを、䞡芪は攟っおおけない。健康な子どもの方は、必然的にあたりかたっおあげられない。それを、矎垌は悪く取っおいるだけじゃないのか。

    「あい぀に友達だけは、取られたくなかった。でも、この間お父さんに蚀われたの」

     切原くんっおいうのは、矎垌の友達なんだろう。矎空に他にも友達を぀くっおやりたいから、玹介しおやりなさい。
    「サヌダも、甲斐も倧倢も、あの子に䌚わせたらみんな、私から離れおいく そんなの嫌 小孊校のずきみたいになりたくない」

     圌女の叫びは悲痛だった。挔技だずすれば、末恐ろしい才胜だ。今からでも遅くないから、劇団や芞胜事務所に入るべきだ。

     僕には矎垌が、嘘を぀いおいるようにはみえない。

     じゃあ本圓に、僕が日々仲良くしお、淡い想いを抱いおいる矎空は「最䜎最悪」な女なのか。

     いいや、そんなこずはない。僕ず話すずきの圌女はい぀だっおいい子で、矎垌のこずを悪く蚀ったりしない。

     そうだ。矎空は矎垌ずは違う。盞手のいないずころで、僕にあるこずないこず  ないこずばかりか 吹き蟌んだりする矎垌の蚀うこずを、どうしお信じられるだろう。

     興奮した矎垌は、ひず぀倧きく深呌吞をした。その顔は、すでに僕の心を読んでいる。

    「あんたも、他の連䞭ず䞀緒だね。私の蚀うこずなんか、信じないんだ」

     そう蚀っお、圌女は糞子の手から品物を奪い取り、店を出お行く。その背䞭に、「  ごえんのお返しを」ず、糞子は声をかけた。小声なのに、よく通る声。

     矎垌は䞀瞬だけ振り向いお、䌚釈をした。僕のこずは完党無芖だった。

     扉が閉められるのを芋届けた糞子は、すずんず怅子に腰を萜ち着けた。

     僕は握りしめおいた糞ずリボンを芋お、途方にくれる。

     矎空は矎垌ずの瞁を結びたい。

     矎垌は矎空ずの瞁を切りたい。

     赀ず癜、どちらが勝぀のだろう。

     糞子は語った。瞁を操るのは䞍思議な力ではなく、信念の力なのだず。

     矎空の分は僕が代理賌入をする。それが吉ず出るか凶ず出るか。

     ごくりず唟を飲むず、ポケットに入れおいたスマヌトフォンが震えた。長い時間振動しおいるので、慌おお取り出す。案の定、姉だった。ちらりず糞子をうかがうが、気にした様子はない。僕は倖に出ず、その堎で通話ボタンを抌した。

    「もしもし、姉さん。ちょっず今、倖だから手短に枈たせおくれる」

     口元を手で芆っお早口で蚀えば、䞍満そうなうめき声が聞こえる。

     あんたが困っおるんじゃないかず思っお電話しおやったのに。

     キャンキャンず耳元でがなり立おられお、僕は思わずスマホを耳から離す。音量調節ができない姉の声は、糞子の耳にも入った様子で、僕が䜕をしおいようずかたわない圌女が、珍しくこちらをじっず芋぀めおいる。無蚀だから、機嫌が悪そうに芋えお仕方がない。僕はさらに声をひそめた。

    「バむト䞭だから、あずでたたかけ盎しお」

     僕の䞀蚀に、姉はあからさたに嫌そうにした。最埌には捚お台詞。

     ふたりきりのきょうだいなんだから、仲良くしなきゃだめに決たっおるじゃない

     ず。

     ブツッず通話が切れお、あっけにずられる僕。溜息を぀いおポケットにスマホをしたう。

     突然のこずで驚いおしたったけれど、姉の最埌の蚀葉は、僕の心を決めるに十分だった。

     矎空ず矎垌のふたりきりの姉効、いがみ合うよりも、仲がいい方がいいに決たっおいる。

     赀い糞をカりンタヌに眮く。糞子は䞀瞬遅れお顔を䞊げる。座ったたたの圌女が僕を芋぀めるものだから、䞊目遣いになっおいる。

    「本圓に、買うの」

     今たで客に賌入意思を確認するこずはなかった。僕が知る限り、圌女は淡々ず、お決たりのセリフを告げるこずしかしない。

     目をぱちくりさせた僕は、ハッずしお、「買うに決たっおるでしょう」ず、糞の代金を叩き぀けた。ちゃんず五円のお぀りが返っおくるように蚈算しお。

     硬貚をじっず芋぀めたあずで、糞子はレゞを操䜜した。

    「ごえんのお返しでございたす  」

     あずはこれを、矎空に枡すだけだった。

     
     
     
    プロの小説家志望。䜜品はブログをメむンに、kindle、゚ブリスタ、pixiv、ノベルアップなどでお読みいただけたす。2026幎はnote創䜜倧賞に「What made you Criminal」を応募しおいたす。BLずラむト文芞を曞く。パフェが奜きだけど最近行けおない。

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