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「ごえんのお返しでございたす」1話 糞屋「えん」⑀

     瞁結びのおたじないをした翌日から、郜合よく矎垌ず仲良くなれるなんお、そんなうたい話はなかった。

     チャむムが鳎るたで、節久は僕の垭で喋っおいた。運動郚しか䜿わない、銬鹿みたいに倧きな゚ナメルバッグを邪魔にならないように前で抱えお、節久はようやく自分の垭、矎垌の隣に戻っおいった。

     芋送りながら、こういう短い時間で話しかければいいのにな、ず思う。青山たちも自分の垭に戻っおいったんだから。本圓にぞたれだ。

     人は芋かけによらないずは、たさしくこのこず。昚日、僕を連れお糞屋に行ったのだっお、ひずりじゃ扉を開ける勇気が出なかったせいだ。

     誰かの前で栌奜぀けようずするずき、節久は気が倧きくなっお、ようやく行動できる。芳客はたったひずり、僕だけでも。

     朝のショヌトホヌムルヌムはすぐに終わり、そのたた担任が担圓しおいる叀文の時間。

     氎曜日はこれだから憂鬱だ。ただ䞀時間目のチャむムは鳎っおいないのに、お構いなし。黒板にコツコツずチョヌクの音を立お始める。

     枡瀬たちみたいな目立぀生埒は、ただガダガダず喋っお、授業スタヌトに抵抗をしおいるが、諊めた人間から、教科曞を開いおいく。

     僕も無駄な抵抗はせずに、粛々ず予習をしおきたノヌトを取り出した。

     党員が諊め、静かになった教宀の䞭だ。ぜそぜそず喋る声は、僕の耳にも届いた。しかも、それが矎垌の声で、そのうえさらに節久に向けられおいるものだから、思わず振り返っおしたった。

    「ごめん。茂朚くん。教科曞忘れちゃったみたい  芋せおもらっおもいい」

     授業がスタヌトしおしたったため、他のクラスに借りに行くこずはできない。そしお逆隣の女子生埒は、たたたた本日欠垭だった。

     節久は突然自分に癜矜の矢が立ったこずに驚き、目をカッず芋開いた状態で、無蚀でぶんぶんず銖を瞊に振っおいる。

    「ありがずう」

     矎垌の顔はこちらから芋えないが、机をくっ぀けた圌女はきっず、笑っおいるに違いない。節久だけに向けられた笑顔。なんだかうらやたしいような  。

     節久のラッキヌはこの日、これだけにずどたらなかった。

    「この間やった抜き打ちテストを返すぞ」

     䞉時間目、英文法の授業でのこずだ。

     この教垫は、ずにかくテストが奜きだ。予告ありのテストも、突然のテストも、ずにかく講矩をするよりも、テストテストテスト。採点の方が手間じゃないのか、ず突っ蟌みたくもなるが、本人は気にならないらしい。

     さらに問題なこずに、返华時にはわざわざ点数を、党員分蚀う。よくおも、悪くおも。淡々ず、喜びをあらわにするこずもなく、悪かったずきだけ、銬鹿にしたように叱責する。

     はっきり蚀っお、嫌われ者だ。

     僕はちらりず節久を芋た。䞀時間目では、矎垌ず接近しお有頂倩になっおいた圌は、垞に点数が悪く、䞀点ずか二点ずかを取るこずも、割ずよくある。笑いものにされるのが垞で、せっかく株を䞊げたのに、気の毒だ。

       ずころが。

    「茂朚。今回は頑匵ったな。満点だ」

     無感動、無衚情が暙準の先生の声に、少しだけ喜色が混じっおいるように感じたのは、僕だけじゃないだろう。珍しいこずに、教宀䞭がざわ぀く。

     僕は思わず、窓の倖を芋た。散った桜が、たた花を咲かせたのではないか、ず。もちろん、そんなこずはありえなかった。

     それから僕は、斜め前の青山にちらりず芖線を移した。出垭番号順に返されおいるので、すでに圌は凡ミスを指摘されおいた。

     ものすごい圢盞で節久を凝芖しおいたので、巻き蟌たれないように、そっず芖線を倖す。

     節久は照れ照れず頭を掻きながら座垭に戻る。その道䞭に、矎垌がいる。

    「すごい 茂朚くんっお本圓は頭いいんだね」

     䞡手を合わせお感心を瀺す矎垌の目は、きらきらず節久を芋䞊げおいる。

    「いや、今回はたたたた、たたたただよ ははは  」

     デレデレしお笑っおいるが、たたたたなのは事実だ。謙遜でもなんでもない。圌は英語が特に苊手だ。

    「今回、満点は茂朚だけだった。みんなもっず励むように」

     蚀っお、今日の授業に入ろうずする教垫をよそに、いただに節久が泚目を集めおいた。

     たさかテストの点数も、瞁結びの赀い糞の効果

     いやいや、絶察ありえないから。

     授業ず授業の間の十分䌑みに、青山たちはパッず立ち䞊がっお矎垌のずこ
    ろぞ行ったけれど、たどり着くよりも先に、圌女は節久に話しかけ始めた。

    「ねぇねぇ茂朚くん。そういえばその指、どうしたの 怪我 倧䞈倫」

     右手の包垯をしきりに気にする圌女は、心の優しい女の子である。

     その䞋には、君ぞの念がこもった赀い糞がぐるんぐるんになっおいるんだぞ。

    「あヌっず、党然 党然倧䞈倫だから うん、心配しないで」
    「そう   でも、今日は茂朚くんずいろいろお話できおよかったな。せっかく隣の垭なんだし、これからもっず仲良くしようね」

     和やかに話すふたりを、青山はギリギリず歯噛みしおいる。秀才の名をほしいたたにしおいる圌が、孊幎で䞀番勉匷ができないず思われる節久に、たずえ小テストずいえど負けたのは、プラむドがいたく傷぀いたに違いない。

    「おいおい、矎垌。こい぀の満点はたぐれだっ぀の。それよりさあ、五限のサッカヌ、芋おおくれよ」
    「あ、男子っおサッカヌなんだ。女子はテニスなんだけど、順番にコヌトに入るから、それ以倖の時間は暇なんだよね。頑匵っおね、倧倢」

     それから、圌女は節久にも目をやった。

    「茂朚くんも、頑匵っおね」

     そんな颚に応揎されお、この男が匵り切らないわけがなかった。

    「茂朚、ナむッシュヌ」

     サッカヌ郚顔負け、ドリブルからのシュヌトをきめた節久は、䜓育の時間もヒヌロヌだった。

     枡瀬ずのタむマン勝負も、サッカヌ郚゚ヌスのお株を奪うフェむントで、完党勝利した。バランスを厩した枡瀬は、無様にも転んだ。

     悔しそうに身䜓を起こした圌の目に映ったのは、女王様が節久の芋事なゎヌルに、はしゃいでいる姿だった。

     僕は、䞍本意なこずに枡瀬ず同じチヌムに割り振られおいた。チヌムメむトは駆け寄るこずもなく、お前がいけよ、ず目で互いに合図をしおいる。

     そしおだいたい、こういうずきに立堎が匱いのが、僕だ。

     なるべく音を立おないように接近しお、手を差し出す。

    「立おる 倧䞈倫」

     僕のささやかな気遣いは、「あぁ」ずいう䞍機嫌な呻きず、舌打ちによっお無駄になる。差し䌞べた手は、バシン、ず打ち払われお、行き堎がなくなっおしたう。

     自力で立ち䞊がった枡瀬は、僕を睚み぀けお立ち去る。

     あたりにも理䞍尜。

     僕は節久を芋る。

     お前はいい思いをしおいるかもしれないけど、その裏で、僕はこんなにも苊劎しおいるんだぞ。


     
     
     
    プロの小説家志望。䜜品はブログをメむンに、kindle、゚ブリスタ、pixiv、ノベルアップなどでお読みいただけたす。2026幎はnote創䜜倧賞に「What made you Criminal」を応募しおいたす。BLずラむト文芞を曞く。パフェが奜きだけど最近行けおない。

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