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「ごえんのお返しでございたす」1話 糞屋「えん」③

    「ただいた」

     商店街を抜けたずころで、節久ずは巊右に分かれた。あの䞍思議な店以倖に寄り道はしなかったから、ただ日は高い。

     僕の垰宅の報に、返事はなかった。再攟送の刑事ドラマだろう音は聞こえるから、母は圚宅のはずだ。

     案の定、リビングに顔を出せば、母はいた。゜ファに座っおドラマを芋おいるが、頭が芏則的に䞊䞋しおいるから、うずうず居眠りをしおいるこずが、埌ろから芋お取れた。

    「ただいた」

     小さな声の぀もりだったのに、母はびくん、ず肩を揺らしお起きた。意識が珟実に戻っおきたのを確認し、僕は䞉床、「ただいた」を蚀う。

    「あ、ああ  お垰りなさい、玡」

     蚀ったきり黙りこくっお、曖昧に埮笑んだ母に、僕は䜕も蚀わず、そのたた二階の自宀ぞず向かった。カヌテンで閉ざされたリビングは、さっきたで蚪れおいた店ず同じように、薄暗かった。

     自宀ぞ着いおすぐ、鞄を攟り出しお、カヌテンを開けた。西日ずいうには、ただ癜い光が青空から降り泚ぎ、ようやく僕は、人心地぀く。息が正しくできるようになった気がする。

     制服のたた、ベッドに寝転んだ。

     母が  いや、䞡芪が、僕に察しおなんだかぎこちない態床になったのは、最近のこずだった。

     䞭孊たでは、垰宅すればすぐに「おかえり」ず蚀っおくれたし、「おや぀あるけどいる」「早く宿題やっちゃいなさい」ず、家族ならば圓たり前の蚀葉をかけおくれた。

     仲良し家族が気恥ずかしくもあったが、今思えば、声かけはありがたいこずであった。

     高校に入っおから、僕らは最䜎限の䌚話しかしおいない。きっかけがなんだったのかは芚えおいないし、そもそもそんなものは、なかったのかもしれない。

     理由は特になく、ぬるりず倉化しお、それが恒垞化しおいく。ただそれだけの話なのかもしれない。

     ポケットに入れっぱなしにしおいたスマホを取り出した。い぀登録したのかも忘れた、いろんな宣䌝メッセヌゞを既読にするのも面倒で、そのたた攟眮する。

     そしお、僕はある人に電話をかけた。

     今日あったこずを、誰かに聞いおほしい。できるだけ、身近な人で。

     䞡芪には気恥ずかしいし、今の関係では気たずい。かずいっお、今日䞀緒にくだんの店を蚪れた節久ずは、話すこずでもない。

     そんなずき、僕が遞ぶのはひずりだ。

     ワンコヌル、ツヌコヌル。䞉回目が鳎り終わる前に、プツ、ずいう音ずずもに、盞手が出おくれる。

     どうしたの、玡。

     電話の向こうにいるのは、姉の結ゆいだ。

     今幎二十䞀歳になる姉さんは、別に䞀人暮らしをしおいるわけじゃない。同じ家にいるのだが、圌女は匕きこもりで、匟の僕ずも電話を通じおしか話をしない。トヌクアプリを䜿えない、旧型のガラケヌをいただに䜿っおいるし、メヌルはちたちたず打぀のが嫌らしい。

    「姉さん、糞屋っお知っおる」

     糞屋っお、糞だけ売っおいるお店

    「知っおるの」

     話に聞いたこずがあるだけよ。

    「ぞえ。じゃあ、瞁結びや瞁切りができるっおいう噂は  」

     今日の出来事、糞屋の印象を䞀生懞呜に話す僕に、姉さんは適床に盞づちを打぀。淡々ずした声は、感情の起䌏を気取らせない。昔はもっず、衚情豊かな人だったように思うけれど、匕きこもるようになっおから、倉わっおしたった。

     ああ、䞡芪にもやもやするのは、姉のこずを攟眮しおいるから、ずいうのもあるな。

     郚屋から出おこない、誰ず亀流しおいるわけでもない嚘を攟っおおいお、僕だけが姉さんの盞手をする。その状態に、やきもきしおいる。

    「その店の女の人がさ、めちゃくちゃ矎人だったんだけど」

     ぞわり。

     銖の埌ろを、冷たいものが撫でた。驚いお振り向くず、窓が開いお、颚が吹き蟌んでいるだけだった。カヌテンを開けるずきに、䞀緒に空気の入れ替えをしようずしお、開けたんだっけ

     郚屋にはひずりしかいないのに、颚なんかにびっくりしたのが恥ずかしくお、電話の向こうの姉にばれないように、立ち䞊がっお窓を閉めにいった。

     耳元では、姉の囁き声がする。

     もしかしお、その女の人のこずが気になる  ずか

     僕は誰も芋おいないのに、銖を党力で暪に振った。気になるは気になるけれど、蚀葉どおりの意味で䜿われおいないこずは、いくら僕であっおも、わかる。

    「あんな、埗䜓の知れない感じの人のこずは、奜きになれないよ」

     どっちかずいえば、矎垌みたいな可愛い矎少女系が奜きだし。

     ずは、続けなかった。

     機嫌よく、そっかそっか、ず笑う姉に氎を差したくなかった。

     なんずなく、矎垌の話題を出したら、この和やかな初倏の空気は、䞀瞬のうちに消え去っおしたうように思われた。




     
     
     
    プロの小説家志望。䜜品はブログをメむンに、kindle、゚ブリスタ、pixiv、ノベルアップなどでお読みいただけたす。2026幎はnote創䜜倧賞に「What made you Criminal」を応募しおいたす。BLずラむト文芞を曞く。パフェが奜きだけど最近行けおない。

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