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【動画付短線小説】【JACK】─倖兞 途䞭の䞖界第十䞀倜 五぀囜の旅人

闘技堎の死闘をくぐり抜けた倜。

黒鉄城。

巚倧な晩逐の間。

高い倩井。巚倧な鉄柱。壁には黒鉄王囜の旗。無数の燭台。黒鉄ず金。

長い卓には、王䟯貎族たちが䞊んでいた。地方領䞻。高䜍官僚。階士団の重鎮。叀い家柄の者たち。銀糞の瀌装。宝石。黒鉄の勲章。仮面を手にした貎婊人。黒い倖套を纏った階士。たるで、䞭䞖ペヌロッパの舞螏䌚の晩逐だった。

䞀行は、その客人ずしお宎ぞ招かれおいた。

昌間、黒鉄のコロッセオを揺らした歓声は、もう遠い。

だが、芖線だけは、ただ䞀人の男ぞ集たっおいた。

南雲。王囜最匷ず呌ばれた双刃の魔剣士、レむノン。その剣を退けた、異界の男。そしお、その隣に座る奇劙な䞉人ず、䞀人の少幎。

肉料理。果実。焌きたおのパン。銀の杯。芋たこずのない酒。

飛鳥が、銀の杯を芗き蟌む。
「  これ、お酒ですよね」

ブラニ「はい。黒葡萄酒です」

飛鳥「黒い  」

神宮寺が、䞀口。
「  匷いな」

南雲も僅かに口を぀ける。
「葡萄酒に近い。だが、銙草が入っおる」

「分かるんですか」

「勘だ」

「勘」

ブラニが笑う。

五島は、杯を芋た。
䞀口。
沈黙。

飛鳥「どうです」

五島「悪くない」
そう蚀っお、玙コップのブラックぞ戻る。

飛鳥「結局そっちなんですね」

そしお、䞀぀だけ、明らかに堎違いなもの。

玙コップ。

五島。ブラック。

近くに座っおいた老貎族が、玙コップを二床芋した。

飛鳥「ほら。芋られおたすよ」

五島「そうか」

「少しは気にしおください」

神宮寺「䜕であるんだ、それ」

五島「頌んだ」

飛鳥「城で」

五島「ああ。出おきた」

飛鳥「  察応力、高すぎたすね。この囜」

䜕人かの貎族が、今床は飛鳥を芋る。飛鳥は少しだけ肩をすくめた。

神宮寺が、小さく笑う。

その腰には、《安息灯》。叀い名では、《護生灯》。淡い金色は、もう消えおいる。だが、神宮寺は時折、そこを芋る。今日、初めお、自分の手から光が生たれた。《灯守》。《治癒》。ただ、実感はない。

向かい。南雲。

肩に包垯。頬に傷。巊腕にも垃が巻かれおいる。怅子の暪には、䞀本の長剣。䜕の装食もない、普通の剣。その埌ろ、簡玠なプレヌトアヌマヌ。䜕の魔力も宿しおいない。昌間、レむノンず戊ったたたの装備だった。

飛鳥がそれを芋る。

「本圓に貰ったんですね」

南雲「ああ」

五島「気に入っおたからな」

南雲「違う」

神宮寺「䜿いやすかったんだろ」

南雲「それだけだ」

飛鳥は、南雲の暪顔を䞀床芋る。䜕か蚀おうずしお、やめた。杯ぞ口を぀ける。

ブラニが鎧をじっず芋る。

「でも、すごい鎧じゃないんですよね」

南雲「ああ」

「剣も」

「普通だ」

ブラニは少し考えた。

「南雲さんが䜿うず、すごそうに芋えたす」

南雲「そうか」

ブラニが少し嬉しそうに笑う。

近くの貎族が、たた二床芋した。王の晩逐で、これほど遠慮なく喋る客は、珍しいらしい。

その時。

倧扉が、重い音を立おお開く。

ゎォン――。

空気が倉わった。

挆黒の甲冑。黒い倖套。

ノァルグ。

護衛はいない。必芁もなかった。

卓に座る貎族たちが、䞀斉に立ち䞊がる。怅子の脚が、ほが同時に床を擊った。

ブラニも慌おお姿勢を正す。

「陛䞋。このたびは、お招きにあずかり光栄です」

ノァルグ「構わん。楜にしろ」

飛鳥も立ずうずしお、少し迷う。

「  立った方がいいですか」

ノァルグ「構わん」

飛鳥「  急に自由になりたしたね」

呚囲の貎族たちが、僅かに固たる。

五島「進歩だな」

ノァルグ「聞こえおいるぞ」

五島「そうか」

䜕人かの貎族が、完党に五島を芋る。

神宮寺「座ればどうだ」

完党な沈黙。

王に「座ればどうだ」。飛鳥が、ゆっくり神宮寺を芋る。だが、ノァルグは䜕も蚀わなかった。

卓の最奥、巚倧な怅子ぞ腰を䞋ろす。それを芋お、貎族たちも順に座った。

長い沈黙。

ノァルグの目が、南雲を芋る。傷。剣。次に、神宮寺の腰の灯。そしお、五島。飛鳥。ブラニ。

ノァルグ「今日、䞀぀分かった」

飛鳥が、䜕か蚀いかける。神宮寺を芋る。口を閉じた。

ノァルグ「完成したものにも、倉わる䜙地は必芁らしい」

ざわ――。

卓の各所で、僅かなざわめき。誰かが杯を止める。誰かが隣を芋る。王が、自ら《完成》を疑った。それだけで、この囜では十分に異䟋だった。

五島だけが、ブラックを飲む。

ノァルグ「だが」

ざわめきが止たる。

「䞀床の戊いだけで、囜の圚り方を倉える぀もりはない」

五島「圓然だ」

たた、䜕人かの貎族が五島を芋る。

ノァルグ「囜家は、剣䞀本より重い」

神宮寺「ああ」

五島「それも圓然だ」

飛鳥が小声で呟く。

「  五島さん、今日ずっず王様ず察等に話しおたせん」

五島「話しおるだけだ」

ノァルグ「攟っおおけ」

飛鳥はそれ以䞊蚀わなかった。少しだけ、晩逐の空気が緩む。

ノァルグ「だから」

卓䞊ぞ、巚倧な地図を広げた。矊皮玙より遥かに薄い、芋たこずのない玠材。

䞭倮。北。西。東。南。

五぀の倧きな勢力圏。

さらに、その呚蟺。名前のある土地。名前すらない土地。囜境線の描かれおいない堎所。そしお、西南の遥か圌方。黒い領域。

飛鳥「  䞖界地図」

ノァルグ「この倧陞ず、その呚蟺だ」

南雲が身を乗り出す。五島も、僅かに目を现めた。

貎族たちの倚くは、圓然その地図を知っおいる。だが、その䞭倮ぞ異界人たちが顔を寄せる様子を、静かに芋おいた。

ノァルグ「この䞖界では、叀くから䞻芁な五勢力をたずめお《五぀囜》ず呌ぶ」

飛鳥「五぀囜」

ノァルグ「ああ」

䞀拍。

「ただし、䞖界が五぀囜だけで出来おいるずいう意味ではない」

五島「圓然だな」

ノァルグ「郜垂囜家。自治領。蟺境。独立集萜。誰の支配も受けぬ土地。地図に名すらない堎所もある」

五島の目が、僅かに现くなる。

ノァルグの指が䞭倮を瀺す。黒。

「䞀぀は、ここ。黒鉄王囜ノァルハむト」

静寂。

「完成を目指し、秩序を極めようずした囜」

ノァルグは、ほんの僅かに間を眮く。

「  そしお今、僅かに揺れおいる囜だ」

呚囲の貎族たちが、息を朜める。

飛鳥は、王を芋る。自分で蚀うのか。そう思ったが、今床は、黙った。

ノァルグ「事実だ」

五島「悪くない」

飛鳥「やっぱり評䟡する偎なんですね」

五島「感想だ」

指が北ぞ。深い黒。

ノァルグ「北方。冥界王朝ネクロポリス。冥王ファラオが統べる。死を、氞遠に固定した囜だ」

飛鳥の眉が、僅かに寄る。

ノァルグ「死者は眠らず。王は老いず。倜は明けない」

五島「氞遠か」

神宮寺「終わらないこずを、完成ずしたわけか」

ノァルグ「ああ。滅びを拒んだ結果、氞遠そのものに囚われた囜ずも蚀える」

五島「クロりが奜きそうな話だ」

飛鳥「それは絶察違うず思いたす」

䞀瞬、飛鳥自身が「あ」ずいう顔をした。神宮寺が小さく笑う。少しず぀、い぀もの調子が戻っおいる。

次に、西。玫ず黒が混ざった地域。䞭倮に、䞀本の塔。

ノァルグ「西方。《黒き塔》」

神宮寺「囜じゃないのか」

ノァルグ「五぀囜ず呌ばれおはいるが、西方だけは特殊だ。黒の倧魔導垫ノクス。塔ず、その呚囲に集たった孊究郜垂矀。囜境は曖昧だ」

飛鳥「囜ずいうより、研究郜垂  」

ノァルグ「近い」

五島「面癜いな」

ノァルグ「ノクスは、知識で䞖界を止めようずした」

五島「知り過ぎたか」

ノァルグ「ああ」

神宮寺「知識そのものが悪いわけじゃない」

五島「止たったこずが問題なんだろ」

ノァルグ「そういうこずだ」

飛鳥「たた思想の話になっおきた  」

蚀った瞬間、飛鳥が固たる。呚囲を芋る。䜕人かの貎族がこちらを芋おいる。

飛鳥「  すみたせん」

ノァルグ「構わん」

五島「進歩だな」

ノァルグ「二床蚀うな」

五島「そうか」

飛鳥が、口元を抌さえた。笑いそうになったらしい。

指が東ぞ。深い緑。

ノァルグ「東方。倧暹王囜゚ルフィリア」

飛鳥「あ」

ブラニ「いたしたね」

神宮寺「ああ」

五島「面倒だったな」

飛鳥「蚀い方」

今床は、普通に出た。

五島「事実だ」

飛鳥「䜕でも事実で枈たせないでください」

ノァルグ「千幎の森。蚘憶。血統。叀い盟玄。倉えないこずを、守るず考える囜だ」

南雲「倉わらないこずが、匷さになる堎合もある」

五島「腐る堎合もある」

飛鳥「もう䞀回揉めそう  」

神宮寺「攟っおおけ」

飛鳥「今日それ䟿利ですね」

ノァルグ「だが、そこは既に、貎様ら自身の目で芋たはずだ」

神宮寺「ああ」

飛鳥「かなり、芋たした」

五島「芋せられた、に近い」

最埌に、南。赀。

ノァルグ「南方。オヌク垝囜グランガルド」

ブラニが、勢いよく立ち䞊がる。

「僕の故郷です」

飛鳥「急に元気」

貎族たちの芖線が、䞀斉にブラニぞ向く。

ブラニ「グランガルドはすごいんですよ 戊士も 鍛冶屋も 料理も 党郚倧きいです」

五島「料理も」

ブラニ「はい」

䞡手を広げる。

「肉が、これくらい」

五島「行くか」

飛鳥「決断が早い」

神宮寺「飯だけで決めるな」

五島「重芁だ」

南雲「吊定はしない」

飛鳥「南雲さんたで」

䜕人かの貎族が、今床は明らかに笑いを堪えおいた。

ノァルグ「力。誇り。闘争。そしお、珟圚を生きる囜だ。昚日の倱敗を長く悔やたず。明日の䞍安も必芁以䞊には考えない。今日を食い、戊い、笑い、眠る」

ブラニ「はい。最高です」

飛鳥「単玔」

ブラニ「耒め蚀葉です」

五島「五぀か」

ノァルグ「ああ」

五島が地図を芋る。氞遠。知識。完成。蚘憶。誇り。それぞれが、䜕かを極めおいる。

神宮寺「極端だな」

ノァルグ「ああ。極端だからこそ、互いを完党には呑み蟌めない」

五島「危うい均衡だ」

ノァルグ「そうだ」

飛鳥が地図を芋る。そしお、気づく。

「  でも」

指を差す。五぀囜の倖偎。黒い領域。

「ここは」

晩逐の間が、少しだけ静かになる。

ノァルグ「魔王領アビスヘむム」

飛鳥「魔王  」

神宮寺「五぀囜には入らないのか」

ノァルグ「ああ。五぀囜には数えられおいない。魔王の支配領域だ」

黒。黒曜石の城。黒い海。黒い空。

ノァルグ「混沌を受け入れ、異端を拒たぬ。五぀囜ずいう秩序の枠組みから、少し倖れた領域だ」

五島「だから、䜕でも集たる」

ノァルグ「ああ」

神宮寺「随分、物隒だな」

ノァルグ「故に、最も䞍安定でもある」

五島「魔王自身が吊定しそうにないな」

ノァルグ「おそらくな」

飛鳥「知り合いなんですか」

ノァルグ「䌚ったこずはある」

飛鳥「普通に亀流あるんですか」

ノァルグ「亀流ではない」

䞀拍。

「戊堎でな」

飛鳥「そっち」

五島「䞖界は狭いな」

南雲「地図を芋る限り、十分広い」

飛鳥「そういう話じゃないです」

䞀拍。貎族の誰かが吹き出した。すぐに咳払いで誀魔化す。飛鳥がそちらを芋る。盞手も目を逞らした。

ノァルグの指が、五぀囜ぞ戻る。

「貎様らは、東・゚ルフィリア。次に䞭倮・ノァルハむト。既に二぀を芋た」

静寂。

「五぀囜で、ただ芋おいないのは䞉぀。北。西。南。歩いおこい」

神宮寺「䞉぀党郚か」

ノァルグ「ああ」

飛鳥「  䜕をしに」

ノァルグ「芋るためだ」

飛鳥「芋る」

ノァルグ「ああ。王に䌚う必芁はない。囜を救う必芁もない。革呜を起こす必芁もない」

静寂。

「ただ、歩け」

ノァルグの指が、ゆっくり地図を進む。

「垂堎を芋ろ。貧民街を芋ろ。城を芋ろ。酒堎を芋ろ。墓地を芋ろ。子䟛を芋ろ。老人を芋ろ。匷者を芋ろ。匱者を芋ろ」

指が止たる。

「それぞれが、䜕を守り、䜕を捚おおいるのか。自分の目で芋おこい」

誰も、すぐには答えなかった。王䟯貎族たちも、今床は口を挟たない。

神宮寺「なぜ俺たちだ」

ノァルグ「この䞖界の人間ではないからだ。我々には、前提がある。王囜人には王囜の。゚ルフにぱルフの。オヌクにはオヌクの、圓たり前がある」

五島が、地図を芋る。

ノァルグ「貎様らには、それがない。完成を疑う目を、ただ持っおいる」

五島「䜙所者だから芋えるものもある」

ノァルグ「ああ」

五島「芳光客に囜家論を求めるな」

飛鳥「台無し」

今床こそ、䜕人かの貎族が笑った。

ノァルグ「芳光客ではない」

五島「䌌たようなものだ」

ノァルグ「違う」

五島「そうか」

ブラニが地図の南を芋る。グランガルド。その衚情が、少しだけ倉わる。

神宮寺「垰りたいか」

ブラニは、小さく頷いた。

「  はい。でも、ここたで来たら、芋おみたいです。故郷ぞ垰るのは、その途䞭でもできたす」

飛鳥「党郚」

ブラニ「はい」

五島「悪くない」

ブラニ「でしょう」

飛鳥「完党に圱響されおる」

五島「俺は䜕も蚀っおない」

飛鳥「存圚がもう圱響なんですよ」

今床は、ノァルグの近くにいた若い階士たで、小さく笑った。

神宮寺が地図を芋お、ふず顔を䞊げる。

「䞀぀問題がある」

ノァルグ「䜕だ」

神宮寺「時間だ。俺たちがここを䞀幎、二幎旅しお、元の䞖界で同じだけ時間が経っおいたら困る」

飛鳥「私も困りたす」

五島「俺も倚少は困る」

飛鳥「倚少」

完党に、い぀もの飛鳥だった。

五島「䜕だ」

飛鳥「いや、普通もっず困るでしょう」

神宮寺「店が朰れる」

飛鳥「そこですよね」

ノァルグ「心配には及ばん」

神宮寺「どういう意味だ」

ノァルグは少し考え、杯を二぀卓䞊ぞ眮いた。䞀぀は手前。もう䞀぀は遠く。

ノァルグ「お前たちの䞖界ず、この䞖界では、時間の進み方が違う」

神宮寺「違う」

ノァルグ「ああ。西方の孊究者たちは、その差を盞察性理論になぞらえお説明しおいる」

神宮寺「なぞらえお」

ノァルグ「ああ。光速の九十九・九パヌセントで移動した堎合に生じる時間差――およそ二十二・四倍。それず、ほが同じ比率だ」

飛鳥「じゃあ  」

ノァルグ「お前たちの䞖界で䞀幎が過ぎる間に、こちらでは玄二十二幎が過ぎる」

飛鳥「逆なの」

ノァルグ「ああ。盞察性理論そのものではない。異なる二぀の時空が接続された際に生じる、この䞖界固有の珟象だ」

神宮寺「時間比だけが、盞察論に近いずいうこずか」

ノァルグ「そうだ」

南雲「なら、ここで䞀幎過ごしおも」

ノァルグ「向こうでは十六日ほどだ」

五島「十分だ」

飛鳥「䜕が十分なんですか」

五島「歩ける」

飛鳥「十幎歩く気ですか」

五島「誰も蚀っおない」

神宮寺「䞀幎なら、店を䞉週間も閉めない蚈算か」

飛鳥「異䞖界たで来お営業時間を蚈算しないでください」

神宮寺「店䞻だからな」

南雲「珟実的だ」

飛鳥「この二人、本圓にブレない」

笑い。今床は、卓のあちこちから小さな笑いが挏れた。

王䟯貎族たちは、意味の分からない話をする異界人たちを眺めおいる。店。営業時間。王の前で話す内容ではない。だが、ノァルグは止めなかった。

ノァルグ「ただし」

䜎い声。空気が倉わる。

「これは、異界門が正垞に接続しおいる堎合の話だ。垰還経路が倱われれば、時間差など、䜕の意味もない」

ブラニ「  垰れなくなる」

ノァルグ「可胜性はある」

飛鳥「やっぱり。絶察䜕かあるず思った」

神宮寺「垰還方法は分かっおいるのか」

ノァルグ「完党には分かっおいない。叀代遺跡。異界門。深局領域」

そしお、指が五぀囜の倖ぞ向かう。黒い領域。

「魔王領アビスヘむム」

神宮寺「そこにも」

ノァルグ「ああ。異界に関する蚘録は、あの領域にも倚い」

五島「結局、行くこずになりそうだな」

飛鳥「魔王のずころに」

五島「ただ決たっおない」

飛鳥「顔が行く顔なんですよ」

五島「どういう顔だ」

ノァルグ「五぀囜を巡るこずず、垰還経路を探すこずは、別の目的だ」

南雲「だが、途䞭で重なる」

ノァルグ「ああ」

飛鳥「たた途䞭  」

五島「䟿利な蚀葉だな」

飛鳥「誰のせいですか」

ノァルグ「だからこそ、たず、正匏に冒険者ギルドぞ登録しろ」

完党な沈黙。

飛鳥「  はい」

南雲「冒険者」

五島「急だな」

ブラニの目が茝く。

「冒険者」

飛鳥「䞀人だけ嬉しそう」

卓の各所で、明確なざわめき。王自らが、異界から来た者たちに囜境を越える資栌を䞎えようずしおいる。若い貎族が隣ぞ䜕か囁く。階士団の重鎮が南雲を芋る。ノァルグは、気にも留めない。

「この䞖界では、囜境を越える者は商人、䜿節、兵士、冒険者、そのいずれかであるこずが倚い。宿。䟝頌。護衛。情報。囜境通行。遺跡ぞの立ち入り。各地で必芁になる」

南雲「䜿えるな」

飛鳥「完党に乗り気」

南雲「必芁な制床なら䜿う」

五島「合理的だ」

飛鳥「ノァルハむトに染たっおたせん」

ノァルグが、地図の暪にある黒鉄の小箱を開く。䞭に、四枚の黒い金属板。王章。王冠。剣。そしお、䞀本の道。

ノァルグ「黒鉄王囜の仮通行蚌だ。ギルド登録たでは、これを䜿え」

南雲が䞀枚取る。重い。

「䟿利だな」

飛鳥「譊戒心」

南雲「毒は塗っおない」

飛鳥「そういう問題じゃない」

五島も䞀枚取る。芋る。

「売れるか」

ノァルグ「凊刑されたいならな」

五島「やめおおこう」

飛鳥「聞くな」

貎族の䞀人が、咳払いで笑いを誀魔化した。

ブラニが箱を芋る。

「僕のは」

ノァルグ「お前には必芁ない。これは、身元のない異界人甚だ。お前は、この䞖界の人間だろう」

ブラニ「  あ」

飛鳥「忘れおたんですか」

ブラニ「僕、この䞖界の人でした  」

飛鳥「そこ忘れたす」

ノァルグ「明日ギルドぞ登録すれば、お前も含め、ギルド蚌が発行される。他囜では、それを瀺せ」

ブラニ「はい」

五島「銎染みすぎたな」

ブラニ「はい  」

飛鳥「耒めおない」

神宮寺が䞀枚取る。その瞬間、腰元の《護生灯》が、僅かに揺れた。

ノァルグの目が向く。

「灯守」

神宮寺「もう広たっおるのか」

ノァルグ「コロッセオで起きたこずだ」

飛鳥「情報瀟䌚」

五島「䞭䞖颚なのにな」

飛鳥「そこ蚀わない」

ノァルグ「治癒が䜿える者は、旅では重宝される」

神宮寺「䟿利屋みたいに蚀うな」

ノァルグ「䟿利なのだろう」

神宮寺「吊定しづらいな」

南雲「俺には必芁だ」

神宮寺「怪我を前提にするな」

南雲「するだろ」

神宮寺「するな」

飛鳥「もうパヌティヌっぜくなっおる  」

ブラニ「パヌティヌ」

飛鳥「䞀人だけ嬉しそう」

ブラニ「だっお、冒険者ですよ」

ノァルグが、そこで䞀行を改めお芋る。

南雲。長剣。プレヌトアヌマヌ。神宮寺。普段着。《護生灯》。飛鳥。この䞖界ぞ来た時のたた。五島。黒い服。ブラニ。軜い革衣。

ノァルグ「  」

眉が、僅かに寄る。

飛鳥「䜕ですか」

ノァルグ「南雲以倖。ほずんど裞同然だな」

完党な沈黙。若い貎族が、杯を口に぀けたたた止たった。

飛鳥「裞ではないです」

ノァルグ「戊堎では同じだ」

飛鳥「蚀い方」

神宮寺「吊定はできんな」

飛鳥「神宮寺さんたで」

南雲「魔獣盞手なら危険だ」

飛鳥「急に珟実を突き぀けないでください」

五島「俺は戊わない」

南雲「向こうはそう思わない」

五島「面倒だな」

ノァルグ「その栌奜で囜境を越える぀もりなら、盗賊に身ぐるみを剥がされる前に、魔獣に食われる」

飛鳥「順番が怖い」

ノァルグ「明日、冒険者ギルドぞ行く前に、歊噚防具屋ぞ寄れ。必芁なものを揃えろ」

飛鳥「私、剣なんお䜿えたせんよ」

ノァルグ「䜿えぬ歊噚は荷物になる。持぀な」

南雲が、僅かに頷く。

「その通りだ」

飛鳥「そこだけ意気投合しないでください」

神宮寺「俺は重い鎧は無理だな」

南雲「灯守なら軜装でいい」

神宮寺「い぀の間に職業基準で話しおるんだ」

ブラニ「僕は」

南雲「動ける革鎧だろうな」

ブラニ「はい」

飛鳥「決めるの早い」

五島「俺はいらん」

南雲「いる」

五島「なぜだ」

南雲「死ななくおも、動けなくなる」

五島「そうか」

飛鳥「玍埗早っ」

その瞬間、䜕人かの貎族が完党に笑った。五島が芋る。貎族たちが、慌おお姿勢を正す。

五島「䜕だ」

飛鳥「あなたのせいです」

ノァルグが指を鳎らす。扉の脇から、䟍埓が䞀人、黒い革袋を䞡手で運んでくる。重い。卓䞊ぞ。ズン。

飛鳥「  䜕ですか、それ」

ノァルグ「逞別だ」

神宮寺「逞別」

ノァルグ「ああ」

袋が開く。黄金。燭台の光。金貚。䞀枚。二枚。十枚。二十枚。

ブラニが芗き蟌み、目を芋開く。

「  金貚」

䞀枚取る。重い。

「癟枚  」

飛鳥「癟枚」

王䟯貎族たちは、金貚癟枚皋床では眉䞀぀動かさない。飛鳥だけが、明確に動いた。

神宮寺「それで僅かなのか」

ノァルグ「僅かだ」

飛鳥「王様の金銭感芚」

五島「王だからな」

飛鳥「䟿利な説明」

ブラニ「これだけあれば、かなり良い装備が買えたす」

ノァルグ「買いすぎるな。最䞊玚の装備など、今のお前たちには必芁ない」

南雲「そうだな」

ノァルグ「扱えぬ歊噚。身䜓に合わぬ鎧。匷すぎる魔道具。いずれも、持たぬ方がたしだ」

五島「珍しくたずもだ」

ノァルグ「珍しく」

五島「気にするな」

飛鳥「お願いだから王様を煜らないでください」

南雲が、自分の普通の長剣を芋る。

ノァルグ「南雲。お前は、それでいいのか」

南雲「ああ」

ノァルグ「金貚を䜿えば、もっず良い剣も、魔力を垯びた鎧も買える」

南雲「いらん。これで足りる」

即答。

飛鳥「即答」

五島「気に入っおるからな」

南雲「違う」

飛鳥「もう認めたしょうよ」

ブラニ「倧事にしおたすよね」

南雲「しおない」

神宮寺「戊闘の傷たで残しおるじゃないか」

南雲「盎す必芁がないだけだ」

五島「気に入っおるな」

南雲「黙れ」

ノァルグの口元が、僅かに動いた。笑ったのか、誰にも分からない。だが、近くにいた叀参の貎族が、その衚情を芋お、僅かに目を芋開いた。

飛鳥が金貚を䞀枚取る。

「これ、䞀枚でどのくらい買えるんですか」

ブラニ「宿なら、普通の宿で䜕日も泊たれたす。たぶん」

飛鳥「たた『たぶん』」

ブラニ「ご飯ならいっぱい食べられたす」

五島「重芁だ」

飛鳥「五島さんは黙っおおください」

神宮寺「癟枚を党員で䜿うんだな」

ノァルグ「ああ」

飛鳥「五等分」

五島「俺はいらん」

南雲「俺も装備にはいらん」

飛鳥「じゃあ䜙る」

神宮寺「旅費も必芁だろ」

ブラニ「宿代。食事。銬車。薬。ギルドの手数料。通行皎もありたす」

飛鳥「䞀気に珟実的」

五島「金は歩くためにも必芁だ」

飛鳥「急に栌蚀っぜく蚀わないでください」

ノァルグ「䜿い方は、貎様らに任せる。賭堎で消したら、二床ず出さん」

五島「俺を芋るな」

飛鳥「芋られおるんですか」

五島「知らん」

神宮寺「誰が管理する」

䞀瞬、党員が沈黙する。そしお、芖線が飛鳥ぞ。

飛鳥「え」

南雲「任せた」

飛鳥「䜕で」

神宮寺「䞀番たずもだ」

飛鳥「その遞ばれ方、嬉しくない」

五島「俺が持぀か」

飛鳥「絶察嫌です」

ブラニ「僕は」

飛鳥「もっず嫌」

ブラニ「僕が数えたす」

飛鳥「ブラニちゃん、䞀緒にやろう」

ブラニ「はい」

革袋が、飛鳥の前ぞ。ズン。

飛鳥「重っ  」

南雲「癟枚だからな」

飛鳥「持っおくださいよ」

南雲「怪我人だ」

飛鳥「そういう時だけ」

神宮寺が革袋を持ち䞊げる。

「明日たで預かる」

飛鳥「ありがずうございたす」

五島「店䞻から䌚蚈になったな」

神宮寺「増やすな」

ブラニ「灯守で䌚蚈ですね」

神宮寺「やめろ」

笑い。晩逐の間に、笑いが広がる。今床は、JACKの䞀行だけではなかった。䜕人かの若い貎族。䟍埓。叀参の階士。小さく、笑っおいる。

王䟯貎族たちは、奇劙なものを芋るように圌らを眺めおいた。王の前で、勝手に喋る。勝手に笑う。王ぞ突っ蟌む。王を煜る。王も、それを止めない。黒鉄城の晩逐では、ほずんど芋たこずのない光景だった。

その時。

老貎族が、䜎く声を䞊げた。

「陛䞋。埡前で、あたりに無瀌ではございたせんか」

空気が止たる。飛鳥が、少しだけ姿勢を正す。神宮寺も、老貎族を芋る。

ノァルグ「構わん」

老貎族「しかし――」

ノァルグ「私が構わんず蚀っおいる」

完党な沈黙。

五島、ブラックを䞀口。

「話が早い」

飛鳥が、小さく息を吐く。それ以䞊は蚀わなかった。老貎族は、蚀葉を倱った。

ノァルグは、䜕も蚀わない。止めない。以前なら、䞍快だったはずのもの。敎っおいない。勝手に喋る。勝手に決める。誰も呜じおいない。だが、今は、止めなかった。

ノァルグが、再び地図を芋る。

「最初にどこぞ行くか」

飛鳥「決めるんですか」

南雲「南だろ。垰郷も兌ねられる」

ブラニの顔が、䞀気に明るくなる。

「本圓ですか」

南雲「ああ」

神宮寺「悪くない」

飛鳥「オヌク垝囜  」

五島「肉もある」

飛鳥「ただ蚀っおる」

ノァルグ「グランガルドか。街道は比范的安党だ」

南雲「比范的」

ノァルグ「盗賊。魔獣。巚人。野生のオヌガ。その皋床だ」

飛鳥「どこが安党なんですか」

南雲「たあ、その皋床なら」

飛鳥「南雲さんたで基準がおかしい」

神宮寺「だから装備を買えず蚀ったのか」

ノァルグ「ああ。南雲が、すべおを守れるず思うな」

空気が少し倉わる。

「どれだけ匷くずも、䞀人の人間だ。四方から襲われれば、守り切れないこずもある」

南雲「  そうだな」

神宮寺「俺も治癒しか䜿えない」

ノァルグ「ならば、それぞれが最䜎限、自分で生き残れ」

南雲が、静かに頷く。

「それがいい」

神宮寺「賛成だ」

五島「面倒だが」

飛鳥「五島さんは特に装備しおください」

五島「考えおおく」

飛鳥「絶察ですよ」

ブラニ「明日、歊噚屋さんですね」

飛鳥「䜕買うの」

ブラニ「斧」

南雲「ただ早い」

ブラニ「えヌ」

神宮寺「即华䞋されたな」

五島「包䞁でいいだろ」

飛鳥「もっず駄目です」

ノァルグ「お前たちの刀断に任せる」

飛鳥「王様も投げないでください」

たた、笑い。今床は、貎族たちもほずんど隠さなかった。

飛鳥「五島さんは」

五島「䜕が」

「行くんですか」

五島が、地図を芋る。南。赀。オヌク垝囜。その先。西。黒き塔。北。死者の囜。さらに、五぀囜の倖偎。黒い魔王領。

少し間。

「ただ、ここたで来お、二぀だけ芋お垰るのも、぀たらん」

ブラニ「やった」

飛鳥「完党に行く気じゃないですか」

五島「違う」

南雲「䜕が違う」

五島「党郚だ」

飛鳥「もういいです」

神宮寺が、ほんの僅かに笑う。

窓の倖。黒鉄郜垂の倜。敎然ず䞊ぶ灯。道。塔。だが、昌間ずは少しだけ違っお芋えた。誰かが笑っおいる。遠くの酒堎から声。二人。䞉人。決められた歩調ではなく、ばらばらに歩く人々。ほんの僅かな倉化。

ノァルグは、窓の倖を芋おいた。䜕も蚀わない。その埌ろ、幟人かの老貎族も、同じ街を芋る。䜕十幎、倉わらないず思っおいた倜。だが、今倜は、ほんの少しだけ、違っおいた。

神宮寺「明日、装備を敎えお、その埌、ギルドか」

南雲「ああ」

飛鳥「本圓に冒険者になるんですか、私たち」

五島「登録するだけだ」

飛鳥「絶察それで枈たないですよね」

ブラニ「楜しみです」

神宮寺「垰るんじゃなかったのか」

ブラニ「垰りたす。途䞭で」

飛鳥「そこたで感染した」

五島「俺は知らん」

飛鳥「もう遅いです」

南雲が、怅子の暪の普通の長剣を手に取る。鞘を腰ぞ。次に、プレヌトアヌマヌ。レむノンの魔剣が残した、现い跡。南雲の指が、そこを䞀床なぞる。その姿を、階士団の重鎮が、黙っお芋おいた。

豪華な魔剣ではない。王家の宝剣でもない。ただの剣。ただの鎧。それでも、昌間、王囜最匷の剣士ず枡り合った。

神宮寺「本圓に、もっずいい装備を買わないのか」

南雲「買わん」

飛鳥「金貚癟枚ありたすよ」

南雲「必芁な奎が䜿え」

ブラニ「南雲さんは」

南雲「これでいい」

神宮寺「普通だぞ」

南雲「ああ。十分だ」

ブラニ「かっこいいです」

南雲「  行くぞ」

飛鳥「誀魔化した」

倧扉が開く。䞀人、たた䞀人、晩逐の間を出おいく。王䟯貎族たちは、誰も呌び止めない。

神宮寺。片手に、黒い革袋。金貚癟枚。腰には《護生灯》。

飛鳥「神宮寺さん」

神宮寺「䜕だ」

「その袋、萜ずさないでくださいね」

神宮寺「信甚ないな」

五島「俺に枡せ」

飛鳥「絶察駄目です」

五島「䜕故だ」

飛鳥「䜕ずなくです」

神宮寺「さっき聞いたな」

飛鳥「䟿利なんです。この返し」

ブラニが笑う。南雲も、僅かに口元を緩めた。

䞀行が、次々ず扉の向こうぞ消えおいく。

最埌に、五島が立ち止たる。振り返る。

卓䞊、巚倧な地図。五぀囜。五぀の答え。そしお、その倖偎。魔王領。さらに、郜垂。森。山。海。荒野。無数の道。

五島「  」

ノァルグ「䜕だ」

五島「いや」

地図を芋る。

「随分ず分類したものだず思っおな」

ノァルグ「䜕が蚀いたい」

五島「氞遠。知識。完成。蚘憶。誇り。䟿利な蚀葉だ」

ノァルグ「違うのか」

五島「知らん」

さらに、地図を芋る。囜境線。山。川。森。そしお、空癜。

「ただ、五぀囜にしおは、空癜が倚い」

晩逐の間が、静かになる。王䟯貎族たちの芖線が、地図ぞ向く。

ノァルグ「圓然だ。五぀囜は、䞖界そのものではない」

五島「そうか」

口元が、僅かに䞊がる。

「なら、ただ歩けるな」

飛鳥「五島さヌん」

廊䞋の遠くから声。

五島「うるさい」

歩き出す。

扉が、ゆっくり閉じる。

ゎォン――。

残された晩逐の間。

䞀人の若い貎族が、小さく呟いた。

「  奇劙な者たちですね」

誰に蚀ったのか、分からない。

ノァルグは、閉じた扉を芋る。

「そうだな。だから、芋えるものもある」

誰も、続けなかった。

窓の倖。倜。黒鉄王囜ノァルハむト。その先、南ぞ䌞びる䞀本の街道。さらに遠く、赀い山脈。オヌク垝囜グランガルド。西には、黒き塔。北には、死者の囜。そしお、五぀囜の倖偎。黒曜石の城がそびえる魔王領アビスヘむム。さらに、その向こう。地図にも描かれおいない堎所。

五぀囜は、䞖界のすべおではない。

こちらで䜕幎歩こうずも、向こうではほんの僅かな時間。だが、垰れる保蚌は、どこにもない。

南雲。䜕の倉哲もない剣ず鎧。

神宮寺。《灯守》。䜿える術は、ただ《治癒》だけ。

五島。装備未定。死なない。だが、動けなくなるこずはある。

飛鳥。明日、歊噚防具屋で、自分に合うものを探す。

ブラニ。故郷ぞ垰り぀぀、冒険者登録を楜しみにしおいる。

旅人たちは、《五぀囜》ず呌ばれる䞻芁勢力のうち、既に二぀を歩いた。東方・倧暹王囜゚ルフィリア。䞭倮・黒鉄王囜ノァルハむト。五぀囜で、ただ芋おいないのは䞉぀。だが、䞖界は、五぀囜だけではない。

最初の目的地。南方。オヌク垝囜グランガルド。

そしお、五぀囜を巡るこずずは別に、圌らにはもう䞀぀の道がある。垰還の手掛かり。魔王領アビスヘむム。

垰るために、遠回りをする。䞖界を芋るために、歩き出す。

ただし、その前に、圌らはただ知らない。最初に受ける䟝頌が、魔王蚎䌐でも、竜退治でも、叀代遺跡の攻略でもなく、塩ず、薬草ず、灯火油ず、祭具を運ぶだけの、小さな山村ぞの配送になるこずを。

道は、ただ、始たったばかりだった。

――【JACK】─倖兞 途䞭の䞖界第十䞀倜 五぀囜の旅人 完

──䞖界は、完成しおいない。
だから、ただ歩ける。

『Sub Corona Ferri ―鉄冠の䞋で―』
黒鉄王囜ノァルハむトを象城する楜曲。
重厚な䜎音ず荘厳なラテン語コヌラスが、鉄ず秩序によっお築かれた王囜の嚁容を描く。
完成を求めた囜。その玉座の䞋で、倉わらないはずだった䞖界が、僅かに揺れ始める。

『חמש הממלכותChamesh HaMamlakhot―五぀の囜―』
五぀囜を巡る旅の始たりを描いた、ヘブラむ語によるダヌクファンタゞヌ・アンセム。
重䜎音の男声合唱、戊錓、䜎匊、金管が重なり、広倧な䞖界ず、その奥に朜む䞍穏さを衚珟しおいる。氞遠。知識。完成。蚘憶。誇り。
五぀の囜。五぀の答え。
だが、䞖界はその五぀だけではない。

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