いってきますを言い忘れたあなたへ
急いで家を出なきゃいけなかったり、ぼんやりしていたり、そもそも一人だからと「いってきます」を言わなかったり。
今日は、そんなあなたに向けてこの文章を書いています。
一人暮らしをしていると、朝の玄関で「いってきます」と声を出す機会はぐっと減ってしまいますよね。
部屋には誰もいないし、言ったところで「いってらっしゃい」の返事が返ってくるわけでもない。
どうせ一人だから言っても意味がないと、いつの間にか声に出すのをやめてしまった人もいるのではないでしょうか。
あるいは、家族と一緒に住んでいても、喧嘩して気まずかったり、朝の忙しさに追われてそのまま出かけてしまったり。
でも「いってきます」という一言には、誰かに届けるためだけじゃない、とても大切な役割があると思うのです。
「いってきます」という言葉は、漢字で書くと「行って、来ます」ですよね。これってただ「今から出かけますよ」という事実を伝える挨拶ではなくて、「無事に出かけて、そして必ずこの場所に帰ってきます」という、自分自身や大切な場所との約束の言葉なんだと思うんです。
朝、家を出てから夕方や夜に帰ってくるまでの間、思いがけない不運や危険に絶対合うことはない、とは言い切れません。
だからこそ、玄関でその言葉を口にすることで、私たちは無意識のうちに「今日も無事に過ごして、ちゃんとここに帰ってこよう」という願いを自分自身に込めているのかもしれません。
たとえ部屋が静まり返っていて、返事を届けてくれる人が誰もいなかったとしても、どうか自分のために小さな声でいいから「いってきます」と呟いてみてください。
その声は静かな部屋に優しく響いて、あなたの代わりに家が「いってらっしゃい、気を付けてね」と見送ってくれているような、そんな温かいお守りになってくれます。
そして、待ってくれている人がいるなら、「いってきます」「いってらっしゃい」と言葉を交わしてください。
言葉にして外の世界へ踏み出すことで、心の中にひとつ、ちゃんと帰る場所としての軸ができる気がするのです。
今日言い忘れてしまったあなたは、明日からで大丈夫。
出かける前に、ほんのひと呼吸置いて言葉を紡いでみてください。
その一言が、あなたの一日を優しく守り、無事に我が家へ連れ帰ってくれるはずだから。
『いってきますの数だけ、無事な「ただいま」が待っていますように。』
「いってきます」があなたのお守りです。
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