
【イギリス英語のスラング】Boot ― 車のトランクが「ブーツ」と呼ばれる理由【第11回】
レンタカーを借りてイギリスを旅していると想像してほしい。荷物をしまおうとして、現地の人にこう言われる。
Put your bags in the boot.
「boot」といえば、足に履くブーツのことだ。鞄をブーツに入れろとはどういうことだろうか。
実は、イギリスでは、車の後部にある荷物収納スペースのことを「boot」と呼ぶ。
アメリカ英語では、この部分を「trunk」と呼ぶ。日本語で「トランク」と言うのは、アメリカ英語から来ている。
なぜ車のトランクがブーツなのか
同じ部分を指すのに、なぜイギリスでは「boot」、アメリカでは「trunk」と呼び方が分かれたのだろうか。
話は、車が普及する前、馬車が主な乗り物だった時代にさかのぼる。
一般的に言われているのは、御者がブーツをしまっておく場所だった説。
当時のイギリスの道路状況は極めて悪かったため、馬車は頻繁に修理を必要としていた。
御者は、修理の際に履き替える丈夫なブーツを常に馬車に積んでいたらしい。そのブーツを収める場所は「boot locker」と呼ばれ、それがいつしか単に「boot」に縮まったという説がある。
ただし、これはあくまで一つの説に過ぎない。
フランス語のboîte(箱)から来たとする説や、座席の形がブーツに似ていたからという説もある。
いずれも確たる証拠はない。
由来はともかく、馬車から自動車の時代に移っても、「boot」という呼び名が受け継がれたということだ。
アメリカ英語の「trunk」の由来
日本語でいう「トランク」、つまり、アメリカ英語の「trunk」の由来は、もう少しはっきりしている。
「trunk」を辞書で調べると、「木の幹」「胴体」「象の鼻」「大きな箱、衣装箱」などの意味があるが、車のトランクは、最後の衣装箱に由来する。
自動車が登場した初期のころ、アメリカでは、荷物を運ぶために大型の衣装箱を車体後部に取り付けていた。
1930年代に入ると、あらかじめ収納スペースが車体に組み込まれた設計になったため、衣装箱を取り付ける必要はなくなった。
ただ、名前だけは残り、それ以降も後部の収納スペースは「trunk」と呼ばれ続けている。
このように、元になったものは違うが、イギリスの「boot」もアメリカの「trunk」も過去の名残りを今に伝える点では変わらない。
参考
・Trunk (car), Wikipedia
・Boot and trunk, World Wide Words
・Why Are Car Trunks Called 'Boots' In England?, SlashGear
・Why Do We Call It a 'Trunk'?, The Hog Ring
・UK vs. US Car Parts, Adrian Flux
・Car Terms: US vs. UK, 1st Call Windscreens