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「一緒にいてホッとする人」 人生後半戦、私が始めたこと

    55歳を過ぎて
    私には新しい日常の目標ができた。

    仕事ができるうんぬんではなく
    「一緒にいてホッとする人」
    になること。

    そのきっかけは
    妻と娘の何気ない一言だった。

    「機嫌悪いの?」

    「お父さん、怒ってるかと思った。」

    ショックだった。
    怒っているわけじゃない。
    機嫌が悪いわけでもない。

    でも鏡を見ると
    眉間にはしわ。
    口は「への字」。

    どこか不満そうで
    近寄りがたい顔をしている。

    そういえば
    父も晩年はそんな表情だった。

    このままでは
    気づかないうちに

    「自然発生的な老害」

    になってしまう。
    そう思った。


    若い頃の私は
    「結果を出すこと」
    が何より楽しかった。

    頭の中は
    いつも仕事でいっぱい。
    仕事で結果を出すことばかり考えていた。

    だから
    表情まで仕事モードだったのかもしれない。

    人生後半戦は違う。
    仕事で評価されることより
    一緒にいてホッとする人でありたい。

    そう思うようになってから
    毎日続けていることが三つある。


    ① 一人の時こそ口角を上げる

    笑う必要はない。
    ほんの少し
    口角を上げるだけ。

    家でも
    パソコンに向かっている時でも
    歩いている時でも
    私はこれを

    「表情筋の筋トレ」

    だと思っている。

    筋肉は
    使わなければ衰える。
    表情も同じ。

    普段使っていない笑顔は
    必要な時にも動かない。
    動いても、不自然になる。

    だから
    誰も見ていない時こそ練習する。

    年齢を重ねると
    何もしなくても口角は下がる。

    眉間にはしわが深くなる。
    口角は下がる。
    放っておけば、
    怖い顔は自然に完成してしまう。

    今日も
    少しだけ口角を上げる。

    不思議なことに
    表情が変わると
    気持ちまで少し軽くなる。


    ② 挨拶はこちらから

    自分から挨拶をするようになった。

    マンションですれ違う人。
    宅配便のお兄さん。
    工事現場で交通整理をしている方。
    細い歩道で譲ってくれた人。

    近所に
    挨拶しても
    ほとんど目も合わせてくれない
    年上の男性がいた。

    それでも私は
    毎回会釈をして
    「こんにちは。」
    と言い続けた。

    最初はまったく無反応だった。

    そのうち
    小さく会釈が返ってきた。

    次には私の目を見てくれた。

    そしてある日
    「こんにちは。」
    その一言が返ってきた。

    思わず心の中で
    「やった。」
    とつぶやいた。

    挨拶は
    相手を変えるためじゃない。

    自分の表情と
    自分の心を柔らかくしてくれる。
    私はそう感じている。


    ③ 背中をほぐす

    ある人に教えていただいた。

    「表情は肩甲骨から変わるよ。」

    医学的なことは分からない。
    でも私は、妙に納得した。

    周りを見ていると
    いつもマウントを取るような人ほど
    肩が上がり、首が固く
    背中がガチガチ。

    まるで
    闘牛のように
    いつも戦闘モードに見える。

    だから私は
    まず背中をほぐす。

    フォームローラーで、
    肩甲骨の周りをゴロゴロする。
    映画やニュースを見ながらでもできる。

    続けていると
    姿勢が変わる。
    声が変わる。
    笑顔が変わる。

    そして
    心まで少し柔らかくなる。

    笑顔も
    挨拶も
    姿勢も

    一日では変わらない。
    でも毎日少しずつ続けると
    人は変わることができる。

    私はそう信じている。


    55歳を過ぎると

    「このままでいいのだろうか。」

    そんな不安が少しずつ増えてくる。

    だから
    知らないうちに
    表情まで固くなるのかもしれない。

    でも最近
    私には一つの変化があった。

    妻が笑っていると
    ホッとする。

    娘とよく昔話をする。
    その時間が好きだ。
    「体調が良くない時は、大変だったね。」

    息子とは多くを話さないが
    同じ空間にいる時間が、心地いい。

    妻がある日
    ぽつりと言った。
    「最近、前より気難しい顔が減ったね。」
    その一言が
    ものすごくうれしかった。

    思わず照れ笑いした。


    私は
    仕事で成功することばかり考えていた。

    人生後半戦は違う。
    家族にも。
    職場にも。
    ご近所さんにも。

    「一緒にいてホッとする人」

    そう思ってもらえる人になりたい。

    そのために
    少しだけ口角を上げる。
    自分から挨拶する。
    背中を柔らかくする。

    そして
    心も少し柔らかくする。

    そんな当たり前に小さな積み重ねが
    人生後半戦では
    案外一番大切なのかもしれない。


    今
    この文章を読んでいるあなた。

    パソコンやスマホを見ている
    今の自分の表情を
    少しだけのぞいてみてください。

    もしかしたら
    自分が思っている表情と
    少し違うかもしれません。

    人生後半戦。
    私もまだ練習中です。

    今日も私は
    新幹線の中でパソコンを開く前に
    少しだけ口角を上げる。

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    誰も見ていないけれど
    人生後半戦の練習は
    今日も続いている。

    一緒にいてホッとする人になるために。

    丁寧に続けます。
    ―――――――――
    私の「人生後半戦」の物語は、まだまだ続きます。

    父親として後から気づいたこと。
    家族との距離のこと。
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    62歳、人生実験を続けています。 実際に自分がやってみて、感じたことを綴っています。実験なので上手くいかない日もあります。 【長期実験テーマ】 ①息子の弁当作り10年目 ②東京⇄福島の分散家族生活29年目 ③週2回階段上下で息を上げる運動15年目