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相席屋はやがて野良風俗化していくという話

    奢り奢られ論争

    YouTubeで奢り奢られ論争をしている動画を見た。

    個人的な意見を先に述べておくと「少なくとも初デートくらいは男性に奢ってほしい」「奢ってもらえないと女として見られてない気がする」と言った主張が多数派であるうちは、好意のある女性に対しては、基本的に男性が奢るべきだと考えている。

    実際問題「割り勘でいいという女性が増えている」という話もちらほらと耳にするようになってきたけれど、本音のところでは、建前でそう言っている女性も多いんじゃないかと思っている。

    というか、女性の好きなタイプとか、恋愛観とかって"理想の男性像"をまず想定して語られていることが多いと思っていて、つまり「優しい人が好き」とか「面白い人が好き」というのは"それなりに顔がタイプで〜"とか"まず最初から完全に恋愛対象に入っていて〜"という枕詞がついている。

    だから、彼女たちの好きなタイプというのは、本質的に「優しい人」が好きなわけでも「面白い人」が好きなわけでもなくて"いいかも"と思った男性が、その要素を兼ね備えていたらさらに最高という文脈であることを、私たち男性陣は肝に銘じておかなければならない。

    この事実を奢り奢られ論争に置き換えれば「私、別に割り勘でいい。いや、割り勘がいい」と言っている女性の発言には「佐野勇斗ならば」というステルス枕詞がついている可能性があることを理解しておかねばならないし、その女性が、一切興味のない男性とデートに行き、割り勘を要求されて、少しでもガッカリする気持ちが発生するのであれば、それはやはり「割り勘でよくない」ということになるだろう。

    というわけで「割り勘がいい」という女性が昔に比べて増えていることは事実であろうけれども、現実的には今でも多くの女性が「奢ってほしいと思っている」という前提に立てば「奢っておくのが無難」という結論に帰結していく。

    とはいえ、この奢り奢られ論争は、0か100かという話ではないわけだから、自分の中でナシの女性なら、普通に金を請求すればいいし、女性側も女性側で、それでナシになるならナシにすればいい。
    そもそも割り勘にされて完全にナシになる男なら、初めから大した期待値もなかったということだろう。


    女性余りと恋愛からの撤退

    マッチングアプリも、相席屋も無料な上に「奢られないと女として見られていないと感じる」と主張してもまかり通るのがこの世の中である。

    そのような現象は、恋愛市場において女性が圧倒的に優位であることから発生していることは、疑う余地がない。

    ここで、ふと考える。
    果たして、この状況はいつまで続くのか、と。

    というのも、婚活市場では、すでに女性余りの状況が発生し始めているらしい。
    30歳を超えたあたりから、婚活市場では急激に男性優位に転じる、と。
    実に興味深いデータである。

    実際のところは、女性余りというよりも、選択権がなくなるというのが実態に近い気はするが、なんにせよ女性から優位性のようなものが消失するのは間違いないのだろう。

    ついこの間もAbemaで「時計じかけのマリッジ」という番組がやっていた。
    30歳前後の美人タレントたちが、30日間というタイムリミットと番組のルールの中で、ああでもないこうでもないと婚活に悪戦苦闘する恋愛リアリティーショーである。

    正味な話、彼女たちは選り好みさえしなければ余裕で結婚できるハイスペック女性たちだから、今回の文脈とは厳密には少しズレるだろうけれども、少なくとも、彼女たちのような美人でハイスペックなタレントが婚活に悪戦苦闘する様が番組になってしまうくらいには、女性余りの現実が浮き彫りになっている、ということは、そこから受け取れるだろう。


    このような現象を観察した上で、考える。
    そもそも、なぜ30歳を超えたあたりから、女性は余り出すのだろうか。

    これは思うに、収入的に、あるいは生物的に下位層にいる男性がごっそり恋愛から撤退しているからに他ならないのではないか。
    早い話、生まれた時から女性はずーっと上位層の男性を見ている。上位層の男性だけを、見ている。

    若い時はいい。
    身の丈にあっていない上位層の男性にも相手にされるからである。
    上位層の男性は、複数人と関係を持つからだ。
    つまり女性側が1:1と思い込んでいるだけの、1:nがそこかしこで発生している。

    しかしこれが結婚となると話は変わってくる。
    上位層の男性とて、純粋な1:1を選ばねばならない。

    すると、1:nの「n」たちが一気に余り始める。

    ここまで読んで思った人がいるかもしれない。
    「そんなの、昔から同じじゃねえの?」と。


    何もかもうろ覚えで本当に申し訳ないのだが、何かの記事かラジオかYouTubeか新聞かで、どこかの寺のお坊さん的な誰かがこんなニュアンスのことを言っていた。

    「昔は確かに男尊女卑だったけれど、その代わり、いざという時は男性が女性を守るんだという意識が染み付いていた」と。

    確かに「女、子どもには手を出すんじゃねえ」なんて台詞が今やベタに聞こえてしまうのは、そういう価値観が根付いていた何よりの証拠だろう。

    つまり何が言いたいかというと、確かに上位層の男性が複数の女性と遊び回っているという構図は今も昔も変わらないだろうけれど、男尊女卑の価値観が根底にあった時代においては、中間層から下位層の男性も一定の威厳を保てていた。
    男性としての強者感みたいなものを、男尊女卑が手伝っていた側面があったのではないか。

    それが良いことなのか悪いことなのかはなんとも難しいところだけれども、とにかく時代の流れとともに、そういった男尊女卑の価値観は徐々に是正されていき、男女平等の流れに乗りながらも「男は強くあるべき」「男はお金を持っててほしい」みたいな価値観だけが妙に残った結果、中間層から下位層の男性、中でも特に下位層の男性はごっそり恋愛市場、婚活市場から撤退してしまった。

    結果、若い時に上位層の男性に遊ばれ、1:1の1に選ばれなかったnたちが、30歳を超えて、余り始めているのではないか。

    若い時には、上位層の男性にウキウキで遊ばれておきながら、余り始めたらその怒りの矛先が下位層の男性に向き始めるというのは、なんとも救いようのない話だなと思う。

    というか、そら市場から撤退するだろう。
    「男でしょ?」みたいな目線に晒されながら、したくもない転職ですり減らして、年収をたった50万円アップさせたり、さっぱり興味のないレディファーストを覚えるよりも、カワラボのメンバーを全員覚えて、全国各地に遠征に行く方が、よほど楽しい人生だもの。


    なんてことを紐解いていくと、先ほどのいつまで男が奢るのか?という疑問が少しずつ輪郭を現す。

    冒頭でも触れたように「少なくとも初デートくらい奢ってほしい」「私のことが好きなら奢ってほしい」という主張が多数派である以上、恋愛市場に身を置くならば奢らない選択肢はない。
    「俺は奢らず恋愛するぜ!」という奇人は好きにしたらいいが、恋愛において、そんなハードモードを選ぶ得がない。

    しかしながら、すでに一定数の男性たちが「あれ?なんか恋愛ってコスパ悪くねえか?」と気づき始めている。
    彼らだって、恋愛が全くしたくないわけではないだろう。
    ないだろうけれど、好意を寄せたところで、女性は上位層の男性しか見ていない。
    少しずつ歳を重ねて、ようやく恋愛対象に入ったかと思えば、相手は奢ってほしそうにこちらを見ている。
    そして「女の子は解決より共感を求めてるの!」とか言われてしまう。
    彼らは女の子が「解決より共感を求めている」と知るチャンスすら与えてもらえなかったというのに。

    つまるところ、お金を持っていて余裕で奢ってくれる男がカッコよく見えるのはわかるんだけれども、せいぜい金銭的負担の荷だけでも、早いところ降ろしてあげないと、あなたの将来の選択肢がどんどん減っていくかもしれませんよ。


    相席屋はやがて野良風俗化していく

    さて、そんなわけでタイトルである。
    相席屋が野良風俗化するのではないか?というお話。

    先の話でも触れたように、一部の男性たちは「恋愛って、コスパ悪くねえか?」と気づき始めている。
    「お金を払って女の子と出会ったところで、もっと金持ってる男に吸い取られていくだけじゃねえかよ…」と嘆いている。

    そういう流れの影響は、相席屋を始めとした出会い系サービスにもしっかり波及してきているように見える。

    実際、ピーク時に80以上の店舗を構えていた相席屋は、今や6店舗にまで規模を縮小している。
    これは体感だけれども、相席屋に限らず、男女がカジュアルに出会うための場所って、全体的にピーク時よりもどんどん減ってきているように感じている。
    「なーんで、男が金払って、見返りなく女に飯食わすねん」と考える男性が、確実に増えている。


    ところがどっこいしょ。


    そんな中で爆裂に業績を伸ばしている業態がある。
    オリエンタルラウンジである。
    相席ラウンジと呼んだりもする。
    (ちなみに相席屋というと前述した「相席屋」という名前の相席屋があるのだが、一般的に相席屋は「相席屋」も「オリエンタルラウンジ」も「その他の相席屋」もひとまとめに指している人が多い)

    「相席屋」が居酒屋のような内装で、カジュアルに出会いを演出する一方で、オリエンタルラウンジは豪華な内装、VIPルーム、質の高い飲食などを全面に打ち出し、空間体験をもセットでサービスに組み込むことで、急速に規模を拡大していった。

    ラグジュアリーな空間を演出して「出会いの場」そのものを体験化する、というのが、ありそうでなかった切り口で、これが爆裂にウケているというわけだ。

    正直なところ「相席屋」が衰退した理由については、男性の恋愛市場からの撤退なんかもあるにはあるだろうが、大部分はこのオリエンタルラウンジに押し負けたからだろうな、と思っている。
    本末転倒ではあるが、そこに触れないのもズルしている気がするので、一応触れておく。


    何はともあれだ。
    「タダで美味しいご飯も食べれるしぃ〜?お店も綺麗でなんかテンション上がるしぃ〜?VIPルームだったらお金持ってる人とも出会えるからぁ〜?いい人いれば二軒目行ってもいいかもぉ〜?」という女性をごっそりかき集めることに成功し、オリエンタルラウンジは今や相席業界の先頭をぶっちぎりで爆走しているわけである。
    ちなみに来店ポイントを貯めると、ディズニーランドのチケットがもらえるらしい。オリエンタルすぎる。

    そんな風にして、オリエンタルラウンジには女の子が集まるので、当たり前に男も集まってくる。
    週末になると、恵比寿のオリエンタルラウンジには行列ができるらしい。

    今はまだ、その行列に並んでいる男たちは、玉石混淆だろう。
    しかし、長い目で見た時、やはりオリエンタルラウンジとて、中間層から下位層の男性は離脱していくのではないかと思っている。

    だって、お金を払うだけ無駄だから。
    大きな流れの中で、やがて中間層から下位層の男性たちは、それに気づき始める。
    気づき始めている。

    30歳を超えたあたりから女性余りが進んでいる、という事実はつまるところ、男性側の二極化が進んでいる、と言い換えても差し支えないだろう。

    昔ならば、上位層の男性から選ばれなかった女性にも、受け皿となる男性がいた。
    しかし、今はそこがすっぽり抜け落ちている。
    男女平等の価値観が進んで、女性が男性と同じような収入を得るようになり、男尊女卑もなくなり、男性の威厳が消失した結果、上位層にいない男性が全く勝負できなくなってしまった。

    しかし、オリエンタルラウンジで飲み食いしている女性はそんなこと気にしていないだろう。
    美味しいご飯がタダで食べれて、内装もイケてて、ワンチャンディズニーランドにも行けて、上位層の男性しか目に入っていないからである。
    中間層や下位層の男性とエンカウントしたところで、上位層とエンカウントするまでの繋ぎくらいにしか考えていない。


    今回の話の核はここだ。
    それが一体、何を意味するのか?


    オリエンタルラウンジに限らず、こういった相席屋のサービスは、この先、一定のお金を持っている上位層向けの業態に突き進んでいくのではないか。
    今でもその傾向はあるだろうけれども、長い目で見れば、その傾向はより顕著になっていくような気がしている。

    それはつまり、上位層の男性しか目に入っていない素人女性を、上位男性が選びにくる、見せもの小屋のようなシステムと化すということである。

    キャバクラや、高級クラブ、ラウンジのような従来の夜の店も、同じようなシステムで運用されている。
    実際にキャストと結ばれるお客さんも多いと聞く。
    ある種、婚活の延長線上の気持ちで、勤務しているキャストもそれなりにいるのではないか。
    しかし、彼女たちはプロである。
    一定の線引きをして、一定の給与を得て、プロフェッショナルとして接客した上で、自分が認めた男と恋に落ちる。

    しかし、やがて来るであろうハイエンド向け相席ラウンジでは、そうはならない。
    キャバクラや高級クラブよりもはるかに安価な値段で、素人女性をキャスト化し、エンターテイメントとして提供する。
    肝は客対キャストではなく、あくまでも客対客である、という構造にある。
    これにより、男性は女性たちに自らのステータスを誇示し、まるで偶然の出会いを装って、家やホテルに連れて帰ることができる。
    1:nの「n」になっていることなど、気づく隙も与えずに。

    その姿は、さながら野良風俗のようではないか?
    ハイエンドに向けたラグジュアリー大久保公園の完成である。


    おわりに

    拡大解釈に次ぐ拡大解釈。
    妄想に次ぐ妄想。

    そう思っただろうか?
    こんな未来は、来るはずないだろうか?

    記事の冒頭で、奢り奢られ論争の話をしたけれど「2000円だけもらっていい?」と言われ「だけってなんだよ笑」と心の中で苦笑いして、帰り道でLINEをブロックしたあの男は、今頃どこで何をしているだろう?

    …まあ、これだけ「奢ってもらえた方が嬉しい」という意見が主流の中、それでも頑なに奢らない男が変であることは確かだ。
    「気になる人に奢られたら嬉しい」という純粋な気持ちを無碍にする必要もない。
    だが、あまりにそれに固執しすぎると、将来の選択肢を狭めるだけになるかもしれない。

    「たかが2000円払わずにケチって思われるくらいなら払えよ笑」と冷笑し呟いたあの日のポストは、一人、また一人と男性を恋愛市場から撤退させ、ラグジュアリー大久保公園の外周に立つ女性を増やしていないだろうか?

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    それでは、また。


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