
老子「企者不立」:つま先立ちは疲れる。
『老子』第24章より、一部を抜粋。
企者不立 (きしゃはたたず)
つま先立ちをする者は、長く立ち続けることができない。
跨者不行 (こしゃはゆかず)
大股で歩こうとする者は、長く歩き続けることができない。
一見、当たり前の事のようである。
しかし、つま先立ちをし過ぎていて、あるいは大股で歩き続けていて、くたくたに疲れてしまっている人も多いのではないだろうか。
周りから中々認めて貰えない時。そうだ、ちょっとだけつま先立ちしてアピールしてみようか。
他者から何か求められた時。普通に歩くと間に合わないけど、大股で歩けばなんとかなるかも。
そう思ってやってしまう時もあるだろう。
しかしこれ、一度やってしまうと、「疲れたからやめます」と普通に戻るのは中々難しい。
何故なら周囲は「つま先立ちする貴方」を、「大股で歩く貴方」を貴方の普通だと思ってしまうからだ。
やめてしまった時の、「あれ、本当は大したことないの?」「なぁんだ、実はその程度なんだ」という声に怯えてしまう。
そうすると、つま先立ちを、大股歩きをやめるタイミングを失ってしまう。
身体や精神は悲鳴をあげながらも、延々とやり続けるしかない。
自分を失ってしまうのが怖いから。
しかし、企者不立。跨者不行。ずっと続けるなんて不可能だ。
いつかどこかで挫けてしまう、倒れてしまう。
挫ける前に、倒れる前に、どこかでやめないといけないのだ。
と言っても、普通に立って、普通に歩くというだけのこと。
等身大の自分に戻るだけだ。
もしかしたら、それで離れる人もいるかもしれない。呆れる人もいるかもしれない。
それでいいじゃないか。それが貴方の普通なのだから。
つま先立ちをし過ぎて震えている人は、一旦地に足をつけて。
大股で歩き過ぎて疲れている人は、心地良いペースで歩いてみて。
深くゆっくりと息を吐き出しながら、
「いやぁ、疲れた疲れた。本当はね、こんなもんなんだよ」
と周りに言ってもいいかもしれない。結構息継ぎ、できるはずだ。
そして、地に足つけたまま認めてもらえるよう、成長していけばいい。
普通に歩いて間に合わないなら、今の私じゃ間に合わないですねと断ればいい。
そうした方が、長く立って、長く歩ける。
結果的に、色んな場所に行けるのではないだろうか。