
50代転職で年収はどれくらい下がるのか【全5回③】
50代で転職したら、年収はどれくらい下がるのだろう。
これは、転職を考えた人なら、一度は気になる問いではないだろうか。
年収は下がるのか。
どれくらい下がるのか。
生活は維持できるのか。
50代の転職で、多くの人が最初にぶつかるのは、結局このお金の問題だと思う。
前回、私は50代転職で本当に怖いのは、市場価値を知ることかもしれない、と書いた。
でも、市場価値を知った先で、もう一つ避けて通れない現実がある。
それが、
年収のリアル
だ。
実際、どれくらい下がるのか
よく、50代転職は年収が下がると言われる。
では、実際はどうなのだろう。
厚生労働省の雇用動向調査では、50〜54歳で転職後に賃金が増えた人と減った人は、ほぼ拮抗している。
この数字だけ見ると、
「50代前半なら、意外といけるのでは?」
と思うかもしれない。
でも、私はこの数字をそのまま楽観視しないほうがいいと思っている。
なぜなら、この統計には、
専門スキルを持つ人
ヘッドハンティングされる人
高い市場価値を持つ人
も含まれているからだ。
つまり、
50代前半だから年収が上がるわけではない。
市場で評価される強い武器がなければ、年収維持すら簡単ではない。
実際、55〜59歳になると、年収が減少する人の割合はさらに増える。
さらに、役職定年や管理職から外れるケースでは、
年収が2〜3割下がる
ことも珍しくない。
例えば、
年収800万円なら、
160〜240万円減。
700万円でも、
140〜210万円減。
かなり大きい。
この数字を見ると、50代で転職をためらう人が多い理由がよくわかる。
なぜ50代転職で年収が下がりやすいのか
では、なぜ下がるのだろう。
理由はシンプルだ。
今の年収には、実力以外のものも含まれているからだ。
例えば、
勤続年数
定期昇給
役職手当
退職金前提の賃金設計
こうしたものだ。
長く組織にいるほど、給与は積み上がる。
でも転職市場は、それをそのまま評価しない。
市場が見るのは、
これから何を生み出せるか
だからだ。
ここに、大きなギャップがある。
年収が下がりにくい人、下がりやすい人
ここで、少し現実的な話をしたい。
50代でも年収を維持、あるいは上げやすい人がいる。
例えば、
市場で通用する専門スキルがある
売上や利益に直結する実績がある
マネジメント経験が具体的成果につながっている
こうした人だ。
逆に、年収が下がりやすいのは、
組織内でしか通用しにくい経験が中心の人
かもしれない。
少し耳が痛い話だが、
社内調整
根回し
稟議
組織特有のルール運用
こうした能力は、組織では非常に重要だ。
しかし、外の市場では値段がつきにくいことがある。
ここが、50代転職の難しいところだと思う。
問題は「下がるか」ではない
私はここで、視点を少し変えたい。
大切なのは、
年収が下がるかどうか
ではない。
本当に考えるべきなのは、
どこまでなら下がっても耐えられるか
だと思う。
50万円減なのか。
100万円減なのか。
300万円減なのか。
数字が変われば、判断も変わる。
重要なのは、
下がる事実より、
どこまで受け入れられるか
なのだ。
年収より見なければいけないもの
実は、年収だけ見ても判断を誤ることがある。
本当に見るべきなのは、手取りと固定費だ。
例えば年収が100万円下がっても、
住宅ローンがあと5年
子どもの学費が終わる
教育費ピークを越えた
こうした条件なら、意外と耐えられることもある。
逆に、
住宅ローンが20年残る
子どもが大学生
親の介護費用が増える
なら、同じ100万円減でも重さはまったく違う。
つまり問題は、年収そのものではない。
家計全体で吸収できるか
なのだ。
最後に
私はFPの勉強をしてきた。
その中で強く感じたことがある。
それは、
借りられる額と、借りてよい額は違う
ということだ。
実はこれは、転職にも似ている。
転職できるかどうか。
それと、
転職して大丈夫かどうか。
この二つは違う。
転職できても、生活が崩れてしまえば意味がない。
逆に、年収が下がっても生活設計ができていれば、選択肢は広がる。
50代転職で考えるべきなのは、
いくら稼ぐかだけではない。
どこまで下がっても大丈夫か。
その線を知ることだと思う。
次回は、数字では測れないテーマを扱いたい。
50代の転職に、家族は賛成するのか。
そこには、お金以上に大きな葛藤がある。