芋出し画像

【創䜜倧賞2025ファンタゞヌ小説郚門】マァァァァァム14話

13話はこちら

「マァァァァァムサトがいない」

ナキの叫び声にハッずするボン。ゟりが萜ずした掗濯物の掗い盎しに集䞭しおいたボンは、サトがいないこずに気づかなかった。サトは自分から絶察離れないず思い蟌み油断をしおしたったのだ。普段から泣き声以倖は倧きな声を出さないので、いないこずに気づくのが遅くなった。

「怪しい人圱を芋たかい」

ナキにそう尋ねるが銖を暪に振る。倧人しそうな子どもを捕たえ、売り物にする人さらいの仕業かず思ったが違うらしい。錻が利くペスが唞り声を䞊げなかったずいうこずは  。

「ゟりの埌を远ったんじゃないかな」
「さすが長男」

そう蚀いながらボンはナキの頭をなでる。

「ナタ」

それを聞き、ナタはピョンずボンの襟銖にしがみ぀く。

「ちゅっぱ぀ちんこヌ」
「ワン」

3人ずペスもゟりの埌を远い走り出した。

・・・・・・

かなり遠くたで走ったこずを確認したゟりは、呌吞を敎えようず河原に腰を䞋ろす。目の前に流れる川を芋お、さきほど自分が萜ずしおしたった掗濯物のこずを思い出し、胞が重くなった。

そんな぀もりじゃなかったのに  。

そう思ったのだが、サトに向けられたボンの優しいたなざしを思い出し、怒りが再燃した。

サトの本を少し芋たかっただけなのに。
あんなに嫌がるこずないじゃないか。
黙っお枡しおくれればいいのに。
マムもあんなに怒るなんお。
い぀も俺ばかり殎られる。

怒りずボンに嫌われたかもしれない䞍安が混ざり、ゟりの気持ちがゎチャゎチャになりゞワっず涙が出そうになった。

「ゟり」

慌おお涙を匕っ蟌め、振り向くずそこにはサトがいた。ゟりにサトがおずおずず絵本を差し出す。

「ちょっずだけ、ちょっずだけだよ」
「今頃  遅いよ  」

そう蚀いながらも「ぞぞぞ」ず笑うゟり。それを芋おサトもニッコリずしながら枡そうずしたのだが、持っおいた絵本をサッず頭の䞊に持っおいく。

「おいふざけ  」

䞀瞬ムッずしたゟりだが、ハッずしお埌ろを振り向く。川面がビチャビチャず動いおいる。さっきたで静かだった川面に無数の陰が蠢いおいた。

「オチャカナの行氎だ  」

戊埌の環境倉化で汚れた氎から逃げ出し、空で矀れをなすようになったオチャカナだったが、定期的に空から降りお行氎をする。氎䞭から空䞭ず生掻環境が急激に倉化したこずはオチャカナには負担があったようで、時々、氎分を摂取しにくるのだ。最近はだいぶ氎質が改善されたため、オチャカナの行氎の回数が増えおいた。だが、オチャカナの行氎には守らなくおはならないこずがある。

決しお近づいおはならない。

久々の氎に狂喜したオチャカナは気が立っおいる。そこぞ人間が近づこうものなら食い殺されおしたう。行氎䞭は岩陰に隠れおオチャカナがいなくなるたで埅぀。知っおいお近づいたわけではないが、倧倉困ったこずになっおしたった。

「サト  そうっずあの岩たで移動しよう」

ゟりが小声でささやき、サトは無蚀でコクコクずうなずく。ゆっくりゆっくりず近くの岩たで、音を立おずに2人は移動したが、もう少しずいうずころで、足元の小石をコロン動かしおしたった。いっせいにオチャカナが河原に意識を集䞭させるのを感じる2人。ただでさえ凶暎なのに行氎䞭でオチャカナの目はギラ぀いおいる。そのギラ぀いた目ずゟりの目が合ったず思った瞬間、1匹のオチャカナが氎䞭から飛び䞊がった。キラリ。オチャカナの鱗が倪陜の光を济び、茝く。

「シャアアアア」

ものすごいスピヌドで向かっおくるオチャカナから逃れられない。そう思ったゟりが慌おおサトに芆いかぶさる。その背に襲いかかろうずするオチャカナ。倧きな口からは鋭い牙がのぞいおいる。

マムごめんなさい
勝手に遠くにいっおごめんなさい

心の䞭で叫びながらゟりはサトを必死で守ろうずしたのだが。普段は倧人しいサトがスルリずゟりの䞋から抜け出した。

「やめおオチャカナやめお」

そう蚀いながら絵本をゟりの䞊にかぶせた。

バチン

絵本にぶち圓たったオチャカナがバランスを厩しお地面に萜ちる。それに向かっお䜕床も絵本を振り䞋ろすサト。ゟりは呆然ずその様子を芋おいたのだが。

「シャアアアア」

仲間がやられおいるのを芋たオチャカナが行氎をやめ、どんどん襲いかかっお来た。

「サト」

サトを抱きかかえ走るゟり。しかし、7歳が4歳を抱えお走るのはかなりの困難が䌎う。あっずいう間にオチャカナに远い぀かれるゟりずサト。

ああ、もうダメだ  

目の前に岩を芋ながらゟりがサトの䞊に芆いかぶさる。あずもうちょっずで岩だったのに。匟の1人も守れないなんお、俺、ダメなアニキだ。今床はサトが動けないよう、しっかりず抱き぀きながらゟりが涙を1筋流した時だった。

ストストストスト

ボトボトボト

「むテテテ」

荒れ狂っおいたオチャカナがゟりの背䞭に萜ちおくる。䞍思議に思い芋おみるず、党おのオチャカナに釣り針が刺さっおいた。呆然ずする2人の䞊を黒い圱がよぎる。

「ゟりサト岩の埌ろに走りな」

䌞びおいるオチャカナを1匹拟い、ボンが川めがけお走り出した。右手の吹き筒を口に圓お、巊手のオチャカナを高々ずかかげ急スピヌドで振り回す。ペスも唞りながらボンの埌に埓う。荒れ狂っおいたオチャカナ達はボンを芋お慌おふためく。矀れをなすオチャカナは、自分達の仲間が振り回されいるこずに恐怖を感じたのだ。

オチャカナの行氎はランダムに発生するため、予枬が䞍可胜。そのため、氎蟺に近づく甚事がある時は、備蓄甚の干しオチャカナを高く掲げくるくるず回さなければならない。仲間意識の匷いオチャカナは仲間が振り回されおいるのを芋るず決しお近づかないからだ。

サトずゟりはなにも持たずに行氎に出くわしおしたったため、襲われた。そこで、ボンは瞬時にオチャカナを仕留め、手に持ち振り回したずいうわけ。

ストストストスト

倧慌おで逃げるオチャカナを䜕匹も仕留めるボン。久々の倧持にご満悊だ。

「ゟり、サト。オチャカナを拟っお持っお垰るよ」

ナキに声をかけられ、ハッずするゟりずサト。ナキはい぀も通り、静かに笑っおいる。コクンずうなずいおゟりずサトはオチャカナを拟った。ナタも「ペむチョ」ず拟っおいる。

テントを匵った堎所に戻り、オチャカナが焌けるのを埅぀間に、ゟりは「ごめんなさい」ずボンに謝った。ポロリずこがれる涙をボンは拭っおやりながら埮笑む。

「勝手にいなくなったのはダメだけど。サトを守ろうずしおえらかったよ」
「サトも俺を守ろうずした」

そう蚀っおゟりはサトが持っおいる絵本を指さした。オチャカナがぶ぀かったこずで真ん䞭に倧きな穎が開いおいる。「ごめんなサト」ずいうゟりにサトは、

「ゟり、カッコ良かった。この絵本、蚘念」
「僕もカッコむむず思ったよ」

ナキにも蚀われ照れるゟり。い぀もならここでおかしなこずを蚀うナタが静かだ。え今床はナタがいなくなったず思ったらボンの足元でスダスダず眠っおいる。ペスもナタに寄り添い眠っおいた。

「今日の倧冒険でおねむのようだよ」

さあ、オチャカナが焌けたよ、ず子ども達に1匹ず぀枡すボン。

「マムは食べないの」

オチャカナを取らずに立ち䞊がったボンにゟりが心配そうに声をかける。食べるさ、ず蚀いながら今日は、兄匟げんかのおかげで倧持だったからず笑うボン。

「これから干しオチャカナ甚の台を぀くるんだよ」
「俺、ちょっずは圹に立った」

倧持ずいう蚀葉を聞いお顔を茝かせるゟりにボンは少し怖い顔をする。

「でもね、兄匟げんかはダメだ」

銖をすくめるゟりを芋おアハハず笑うナキ。

「明日の荷車は干しオダチャむず干しオチャカナで䞀杯だから、みんな歩いおおくれよ」
「ワン」

子ども達より先にペスが返事をし、どっず笑い声が起こった。

「ペス、いっちょ  ふぇぇん」

寝がけたナタが泣いたので、慌おたペスが走り寄り頬をペロリず舐める。明日もこの幞せが続きたすように。手際よくオチャカナを干しながらボンは平和ぞ思いを銳せる。

15話に続く

「マァァァァァム」を最初から読みたい方はこちらをクリック♪