メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bysuzumuraxxxjun

【#シロクマ文芸部 2月②】お題:待ち合わせ

    はそやm


    シロクマ文芸部の1カ月の全お題を使って一つの物語を作っています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。今年で3年目の挑戦となります。

    1回目は20字小説、2回目以降は文字数制限のないお話というスタイルで毎月挑戦中です。

    第1回はこちら👇

    待ち合わせの場所……マジ寒い。

    思わず声に出してしまうほど、その建物は冷えていました。

    「外より建物の中の方が暖かいから」

    そう彼に言われた時はなるほどと
    思ったのですが。

    冷気が足の裏から上がり、私の体温を徐々に奪っていきます。
    吐く息も真っ白。

    外で待ち合わせた方が暖かかったのではないか?

    そう思いたくなるほど、その待ち合わせ場所は冷凍庫のような室温で私を冷やしていきます。ここまで震えが止まらないなんて、スキー場で荒天に遭った時くらいです。いや、その時より寒いかもしれません。

    こちらの出身だから……
    全て任せていたのに。

    かじかむ指先に息を吹きかけながら、私は彼への不信感を募らせていきました。

    「ごめん、遅れて」

    歯の根が噛み合わなくなり始めた頃、
    ようやく彼は姿を現しました。口では謝っていますが、その顔には謝罪の色はひとつもありません。

    「……!」

    文句のひとつでも言いたかったのに、寒さで上手く口が動きません。

    パクパクパク。

    口は奇妙に動くだけで声が出ないのです。私の声は凍ってしまったのでしょうか?

    「どうしたの?今日、おとなしいね?」

    寒さで喋ることができないのを、遅刻が許されたと思ったのでしょう。ニコニコしながら私に近づき、こう言うのです。

    「こんな寒いのにずっと待っていたんだ」

    好きで待っていたんじゃないよっ!

    心の中でそう叫ぶのですが、私の口からはガチガチという音しか出ません。

    「あー寒いよね、でもここからが本番」

    へらへらとしていた彼の表情がスッと引き締まりました。

    (つづく)

    小牧幸助部長、今週もありがとうございました。

     
     
     
    第12回ブックショートアワード9月期優秀作品選出!カクヨムコン11ではホラー「きれいなものだけ」が中間選考突破!創作大賞2023~25年連続ベストレビュアー賞受賞!心に寄り添う文章を心がけるライターです。優しい文章ご入用ではありませんか?文章の依頼お待ちしております。

    あなたへのおすすめ