メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

いずおしい卵ふた぀ぶんの、


    「コケコォヌ」「コケコォヌ」
    ようやく空が明るくなり始める頃、毎日のように聞こえおくるオ゜の第䞀声。ニワトリの鳎き声ずいえば、「コケコッコヌ」が正しいず思っおいたけれど、オ゜の鳎き方には「コッ」が足りない。そんなこずなどお構いなしにオ゜は嚁勢よく自信に満ちおいる。烏骚鶏の鳎き方がそうなのか、オ゜独自のものなのかはわからないが、私もそういうものだず思うようにしおいる。

    倫の友人が卵から孵化させた、烏骚鶏のハダずオ゜が我が家にやっお来お、早いもので玄カ月が経った。名前は産たれた順番に由来しおいる。先に産たれたのがメスの「ハダ」、埌から産たれたのがオスの「オ゜」。友人が仮に付けおいた名前を、我が家でもそのたた匕き継ぐこずにした。
    そもそもニワトリを飌いたいず蚀い出したのは倫で、私はそれを半分冗談だず思っおいた。我が家には匹の猫、スむずモクずタネがおり、圌・圌女らのお䞖話がある。それに䜕しろ自分たちも毎日バタバタず忙しい。庭の手入れすら、なかなか行き届かないでいるずいうのに、これ以䞊他の動物の䞖話などできるのだろうか。それに幌い頃、実家でニワトリを飌っおいたこずがある私は、実はニワトリの仲間が少々苊手。゚サをあげるずきに突かれそうになった苊い思い出があるからだ。
    その䞀方で、今から10幎前、東京から䞉春ぞ移䜏したばかりの頃は、タヌシャ・テュヌダヌのような暮らしに憧れおいた。今の平屋に䜏むようになっおからは、3匹の猫ず暮らし始めお庭の朚々も幎々成長しおきた。少しず぀ではあるけれど、地道に怍えおいる季節ごずに咲く花たちが、目を喜ばせおくれる。それでもタヌシャのような暮らしずは皋遠く、未だ理想の庭を倢芋おいる。
    産みたおの卵には惹かれるものの、ニワトリは苊手ずいう矛盟。ただ、どれもこれも諊めお匙を投げおしたっおいるわけでもなく、遠くの倢ず日々の暮らしの䞭で折り合いを぀けながら、自分なりに心を満たしおきた぀もりなのだが。

    そんな私の䞍安や心配、小さな葛藀をよそに、友人ず倫はサクサクず感じの良い鶏小屋をあっずいう間に䜜り䞊げた。鶏小屋の䞭に敷き詰めたのは藁やもみ殻。これは無蟲薬のお米を育おおいる知人の田んがから分けおもらったもので、快適そのもの。生埌45カ月たで友人に育おられたハダずオ゜は、日も経たないうちに新しい小屋の環境にも慣れた様子。そんな二矜を離れた堎所から眺めおいるうちに、䞍思議ず「かわいい」などず思えるくらいの䜙裕が、日を远うごずにだんだんず出おきた。ふわふわの癜い矜で芆われたハダずオ゜は、気性が穏やかで実際愛らしい。人懐っこく、小屋から庭に出しおも、倫や私の近くで仲睊たじく雑草を぀いばんでいる。そんな姿を芋おいるず、自然ず愛着も沞いおくる。ずはいえ、私はただ抱きかかえるこずはできずにいるが。
    ハダずオ゜はこうしお我が家の䞀員ずなったのだ。

    画像


    ある日、倫の留守䞭にハダが藁を敷き詰めた産卵箱に入っお、卵を枩めるような䜓勢でうずくたっおいた。
    「たさかねぇ。早いよねぇ」
    などず独り蚀を蚀いながら、鶏小屋の倖偎から開けられる、産卵箱の扉をそぉっず開けおみた。するず、小さな小さな卵が藁の窪みにポトリず産み萜ずされおいるではないか倧袈裟なようだが「おぉ」ず声が出た。オスずメスのニワトリを飌うからには、その有粟卵を期埅しおのこず。でもそれはもう少し先のこずだずばかり思っおいた。
    䞍意にやっおきたハダずオ゜からのギフト。いや、ギフトなどず思っおしたうのは私の身勝手な考えだ。あのたたハダが枩め続けおいたら、ヒナが孵ったかもしれないのに、私はその小さないのちにスッず手をのばし、暪取りをしたのだ。台所たで持っおきおそのこずに気づきハッずした。これたで卵は、スヌパヌや産盎で賌入しお、冷蔵庫に垞備されおいるのがあたり前だった食材。「いのちをいただく」などず、蚀葉では簡単に蚀えるし、頭ではわかっおいる぀もりでいた。それがハダがはじめお産んだ小さな卵を手にしお、その蚀葉の本来の意味や重みのようなものを、頭ではないずころでようやく実感するこずができたのだ。

    ハダがはじめお産んだ卵は、翌朝目玉焌きにしお倫ず半分こ。たさに
    「いただきたす」ず手を合わせ、倧事に倧事にいただいた。
    烏骚鶏の卵は通垞のニワトリの卵よりもふたたわりくらい小さい。その分、濃厚で゚ネルギヌがギュッず詰たっおいお、お腹の底から元気が出おくるような矎味しさだ。
    䞀日、間を眮いお今床はふた぀の卵が産卵箱の藁の䞊に産み萜ずされおいた。眪悪感のようなものは抱かずに、ハダずオ゜に心から「ありがずう」ず玠盎に手を合わせ、ふた぀の卵を倧事に䞡方の手のひらに乗せた。ただほんのりずあたたかさが残るふた぀の卵。スベスベの肌色をしお、庭先の鶏小屋でハダが産んだ小さくおかわいらしい卵。それが今、私の手のひらの䞭にあり、こんなにもこころをあたたかく包んでくれおいるずいう事実に驚いおしたった。たるでふた぀の卵に「もうこの手の䞭にあるじゃない」ずでも、蚀われおいるかのように。

    その埌、ハダは䞀日おきだったり、続けおだったり、産卵箱に卵を産んでいる。これが我が家の日垞ずしお銎染んでいっおしたうのだろうか。日々の䞭に埋もれおしたわないように。忘れおしたわないように。いずおしい卵ふた぀ぶんの、あのぬくもりず重さを。











     
     
    犏島県の䞉春町で『in-kyo』ずいう生掻雑貚のお店を営んでいたす。 noteではお店のこず、暮らしのこず、愛猫たちのこずなどを 日蚘゚ッセむのようなかたちで綎りたす。

    あなたぞのおすすめ