メインコンテンツへスキップ
見出し画像

摺師の願い「毎週ショートショートnote:お題【骨折祈願】」

    たらはさん、お題をありがとうございます。貼付記事以下、参ります。

    江戸の町に、一人の摺師すりしがいた。浮世絵師ならば後世に名を残しただろうが、腕前が評判を呼んでいた彼であっても、職人の名は今では時の流れに流されて、誰もそれを知らない。

    摺師が所属した工房の名は記録されている。数多くある版画の中でもその工房が手掛けたものは色が1段と美しく、並び立つ美の中でひときわ輝くものが、彼が刷り上げた絵だった。

    「こちとら商売でやってんだ。お前さんのこだわりも分からんじゃねぇが、ちょいと少し早く仕上げて貰えんかねぇ」

    地本問屋じほんどいやの主が、一人の摺師に苦笑いしながら納期の催促をすると、彼は決まってこう答えた。

    「てやんでぃ、べらぼうめ!半端な摺すりなんぞするぐれぇなら、俺ぁこの腕を折るぜ」と。


    21世紀、青が映える浮世絵の、その色をジャパンブルーと呼ぶことがある。有名な絵師や愛好家を魅了したその色は、萌葱もえぎ 色、草色、木賊とくさ 色などと呼ばれる。

    それを刷り上げた男の名は「骨ほね」だったと記した和装本が、袋小路のそのまた奥でひっそりと店を開く古書店の棚に眠っている。骨が摺りに込めた情熱と願い、祈りが記されているという。

    記された文字、その真偽のほどは誰も知らない。


    (499字)

    よろしくお願い申し上げます。

    #毎週ショートショートnote
    #骨折祈願
    #お題で書いてみた
    #ショートショートnote
    #Canva

    © 2023-2025 HarunagaMutsuki.

    ※記事ヘッダー画像は(ヘッダー画像挿入時のメニューで選べるサービス)Canva内で頒布されている素材を利用したものです。Canva内の検索→「浮世絵」で見つかるかと思います。

     
     
     
    アマチュア物書き、「子どもの権利条約 翻訳・創作コンテスト」ニュースステーション編採用。Follow前にプロフ記事をご一読を。#なんのはなしですか/書く部/AWC/シロクマ文芸部/AIイラスト研究室/ぴよ手帳の中の人を見守る会等。2026/02/05、1000日連続投稿達成。

    あなたへのおすすめ